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定借マンションが過去最多の意外な理由

公開日: 2026年07月15日

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こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。

先日、日経を読んでいて「へえ」と思ったニュースがあったんです。

定期借地権付きマンション、いわゆる「定借マンション」の供給が急増しているというんですね。

どのくらい増えたかというと、不動産調査会社の東京カンテイによれば、2026年に竣工予定の定借マンションは全国で4808戸

前年比で約6倍、これまで最多だった2003年と比べても約2倍という、過去最多の伸びだそうです。

新築マンション全体はどうかというと、真逆なんです。

2026年の首都圏の新築供給は約2.3万戸と、過去50年で最低水準になる見込みです。

全体が細っているのに、定借だけが伸びている

これ、ちょっと面白いと思いませんか?

今日は「なぜ今、定借マンションが増えているのか」を、地主・デベロッパー・買い手という三者それぞれの事情から掘り下げてみます。

実はこの現象、土地を持っている人にとっても、都心にマイホームを考えている人にとっても、他人事じゃない話なんです。

 

そもそも定借マンションって何?

定借マンションというのは、建物は自分のもの、でも土地は地主から借りているマンションのことです。

一般的な所有権マンションが「土地も建物も自分のもの」なのに対して、定借は土地を一定期間だけ借りる契約になっています。

肝心なのが、この「一定期間」の設定年数です。

定借マンションのほとんどは、一般定期借地権というタイプで設定されていて、期間は法律で50年以上と決められています。

これまでは下限の50年ものが中心でしたが、最近は70年で設定される物件も増えてきているんですね。

期間が長ければ、それだけ「価値がゼロに向かうまでの猶予」も長くなるので、買い手にとっては安心材料のひとつではあります。

とはいえ、50年だろうと70年だろうと「あらかじめゴールが決まっている」ことに変わりはありません。

そして――ここが後で効いてくるので覚えておいてください――この期間は延長も更新も原則できません

70年なら70年で、キッチリ終わります。

買い手にとってのメリットは、なんといっても価格が安いこと。

土地代がまるまる乗っていないので、同じ立地の所有権マンションより1〜3割安く買えるケースもあります。

地価が高すぎて手が出ない都心で、「なんとか手が届く数少ない選択肢」になっているわけですね。

一方でデメリットもハッキリしています。

ひとつは毎月の地代がかかること。

もうひとつは、契約期間が終わると建物を解体して更地で返さなければならないこと。

だから多くの定借マンションでは、通常の管理費・修繕積立金に加えて、解体費用を積み立てる「解体準備金」を毎月払う仕組みになっています。

その代わり、土地を持たない分だけ固定資産税は建物分だけで済みます。

※ ここで注意。「定借」という言葉は「定期借家契約(=建物を期限付きで貸す契約)」と混同されやすいですが、今日話しているのは土地を借りる「定期借地権」のほうです。

まったくの別物なので、そこだけ押さえておいてください。

 

なぜ今、急増しているのか

さて、ここからが本題です。

なぜ今、定借マンションがこんなに増えているのか。

表向きの理由は「地価高騰で所有権マンションが高くなりすぎたから、安い定借にニーズが集まっている」という買い手側の話です。

もちろんこれも事実。

でも僕の見立てでは、本当のエンジンは地主側の事情にあると思います。

 

定借マンション急増:地主の事情


というのも、都心に土地を持っている地主さんの多くは、相続や高齢化の局面にいます。

この土地をどうするか。

売ってしまえばまとまった現金が入りますが、売却には譲渡税がガッツリかかる

取得費がわからない古い土地だと、売却額の2割前後が税金で消えることも珍しくありません。

ところが、売らずに「定期借地」で貸し出せばどうなるか。

土地の所有権は手元に残したまま、毎月の地代収入が入ってくる。

しかも土地を貸している状態は相続税評価上も有利に働きやすい。

つまり地主にとって定借は、「売却の税負担を避けながら、土地を現金製造機に変える」土地活用なんです。

わかりやすい実例があります。

東京・文京区で建設中の522戸の大規模マンション、この土地の持ち主は128年この地に本社を構える老舗の印刷会社なんですね。

本館が老朽化して建て替えたいけれど、土地を売ろうにも簿価が安すぎて売却益に多額の税金がかかることがわかった。

そこで選んだのが定借でした。

地代を前払いで受け取ることで、借り入れなしで本社ビルを建て替えられた。

まさに「売らずに活かす」を絵に描いたような話です。

ちなみにこの動きは企業だけではなく、お茶の水女子大や一橋大といった大学の土地でも定借マンションの計画が動いています。

土地を持っているプレイヤーにとって、それだけ魅力的なスキームだということですね。

 

定借マンション急増:デベロッパーの事情


そしてもうひとつ、忘れてはいけないのが作り手であるデベロッパーの事情です。

ここ数年、都心の地価はとにかく上がっていて、まとまった土地を買って仕入れること自体が難しくなっています。

おまけに建築費も職人不足と資材高でずっと高止まり。

土地も建物も高い――このまま所有権マンションとして売り出したら、もう普通の人にはとても手が届かない価格になってしまうんですね。

そこでデベロッパーは考えた。

土地を「買う」のではなく「借りる」ことにすれば、一番重い土地代を販売価格から外せる

つまり定借は、高すぎる時代になんとか売れる価格まで抑え込むための、デベロッパー側の苦肉の策でもあるわけです。

実際、ある不動産準大手は「都心の新築はタワマンか定借か、という選択になっていくかもしれない」と漏らしていましたが、僕もそうなりつつあると見ています。

 

定借マンション急増:買い手の事情


そして需要側も変わってきました。

国交省の調査では「土地・建物の両方を所有したい」と考える人の割合が、この5年で10ポイントも下がって65%になっている。

専門家はこれを「時間を買う感覚」と表現していますが、要するに「土地を持つことにこだわらない。便利に住めればいい」という価値観が広がってきた。

地主・デベロッパー・買い手、それぞれの事情がキレイに噛み合った結果が、この「過去最多」なんだと僕は見ています。

 

買い手はどう考えるべきか

では、買う側はどう考えればいいか。

ここで検証したいのが、定借マンションを語るときによく出てくる「残り35年で価値ピーク」説です。

どういう話かというと、定借は契約満了に向けて残存期間が減っていくので、50年ものだと築15年くらい(=残り35年)を過ぎたあたりから、期限が近づくほど資産価値が落ちていく、という考え方です。

所有権マンションのように「土地の値上がりで含み益」というシナリオが、定借には基本ありません

もっとも、さきほど触れたように最近は70年ものも増えてきていて、その分だけ値下がりが本格化する時期は後ろにずれます。

ここは50年ものより有利な点ですね。

ただ、それでも「いつかゼロになる」というゴールそのものは動きません

はっきり言います。

投資目的なら、僕は全くおすすめしません。

「あまり」ではなく「全く」です。

なぜなら、期限が来たら建物を解体して更地で返す=資産価値はゼロになるからです。

何十年もかけて価値がゼロに向かっていく資産を、投資対象に選ぶ理由が僕には見当たりません。

これ、極端に言えば賃貸と同じです。

住んでいる間はお金を払い続けて、最後には何も残らない。

だったら初めから賃貸でいいじゃないか、という話にすらなってしまう。

値上がり益を狙う、長く持って子や孫に残す――こういう出口を描いているなら、定借は選んではいけません

ただ、実需――つまり「自分が住むため」なら話は変わります

都心の便利な立地に、所有権より1〜3割安く住める。

しかも老後に建物を持て余す心配も、期限が来れば管理から解放されるという意味では逆にメリットにもなり得る。

「値上がりは期待しない。その代わり割安に都心のいい場所に住む」と割り切れる人にとっては、十分アリな選択肢だと思います。

結論を言うと、投資なら絶対にダメ、実需なら割り切れるならアリ

これが僕の見立てです。

ちなみに海外、特にイギリスのマンションは99年の借地(リースホールド)がほとんどなんですが、あちらは期限が来ても延長が当たり前で、実態はほぼ所有権に近い。

日本の定借は延長も更新も原則できず、期限が来たら本当に終わる

同じ「借地」のマンションでも中身はまったく別物なんですよね。

 

まとめ

今日のポイントを一言でまとめると、「定借マンションの急増は、買い手のニーズというより地主の税・相続の事情が生んだ現象」だということ。

そして買う側は、投資目的なら手を出さない、実需で「値上がりは期待しない」と割り切れるならアリ、という判断になる、ということですね。

イギリスのように更新前提の借地とは違って、日本の定借は期限が来たら本当にゼロになる

ここだけは絶対に勘違いしないでください。


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