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「ブロック塀倒壊」事故は対岸の火事ではない!?

公開日: 2018年07月09日

6月18日に起きた大阪府北部の地震で、
小学生が倒壊したブロック塀の下敷きになった痛ましい事故は、
記憶に新しいと思います。

今回の地震に限らず、ブロック塀の倒壊による被害は、
地震が起きるたびに繰り返されました。

1978年の宮城県沖地震では、
犠牲になった28人のうち10人以上が
塀の下敷きとなって亡くなっています。

国は1981年に改正建築基準法を施行し、
耐震基準を強化しました。


そこには、補強コンクリートブロック造の
塀の高さは2.2メートル以下、組積造の
塀の高さは1.2メートル以下にするとあります。

補強コンクリートブロック造は鉄筋や基礎、
控壁の設置基準などが厳しいため、設置基準が厳しくない組積造で、
1.2メートル以下のブロック塀にする場合が多いのです。

ところが1981年の建築基準法の改正から
既に30年以上経過しているにも関わらず、
その後に築造したブロック塀が、
基準に適合していないケースが多くあります。

それはなぜか?

考えられる理由は、建物新築時には外構工事が分離発注され、
検査後にブロック塀を施工するケースがあるからです。

建築確認申請時にブロック塀に関する記載がなければ、
法に適合するかどうかを審査することができません。

また新築する施工側も、検査をする行政や民間検査機関も、
これまであまり厳格に運用してこなかったという経緯もあります。

ところが東日本大震災の後は、非常に厳格な運用となりました。

既存のブロック塀を新築時に残す場合についても、
構造耐力が不明な塀は、1.2メートル以下にするように指導されます。

1.2メートル以下ということは、ブロックの
高さが一般的に20cmなので6段までとなり、
8段の場合は、上部2段は撤去となります。

ブロック塀の所有者が申請する本人であれば良いのですが、
もし境界の芯でブロックが積んであった場合は、
共有の隣地にも承諾を得る必要があります。

仮に所有者側の境界内にブロック塀があり、
権利関係上は問題がなくても、一般的には隣接者に承諾を得る必要があります。

最近、当社で着工した物件でも、
既存ブロック塀が8段積になっており、
隣地の方には境界立会いの際に法律と安全対策の説明をして、
上部カットの承諾をもらいました。

今回、大阪で倒壊したブロック塀は市立の小学校のものなので、
占有者であり管理者である市が責任を負うと想定されます。

実は危険でありながらも、そのままになっているブロック塀は、
あなたの身の回りにも数多く存在しています。

そしてそのブロック塀の所有者があなた自身である場合には、
是正せずに放置していた責任を負う可能性があります。

人命が絡んだ場合は、知らなかったでは
済まない事態になるかもしれません。

今回の事故を対岸の火事とせずに、
まずはご自身が所有している物件のブロック塀が、
安全上問題ないかを確認してください。

※ブロック塀の点検のチェックポイントは、
 高さだけでなく複数項目あります。
 詳細は国土交通省のホームページ等で
 ご確認ください。

今回の「稼ぐ戸建賃貸」コラムが、
皆様のお役に立てば幸いです。

岡 宏