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オリラジ中田さんの移住は失敗しないか。海外移住の理想と現実

公開日: 2021年02月05日

先日、お笑い芸人で、チャンネル登録者300万人を越える超人気YouTuberでもある中田敦彦さんがシンガポールに移住するというニュースが話題になりました。

芸能人の海外移住というと、マレーシアに移住しているGACKTさんが有名ですが、最近では海外移住を目指す一般の方も増えてきました。

少なくとも、私がマレーシアに移住した2014年の頃よりは海外移住が身近になった感があります。

しかし、海外移住には負の側面もあります。

実際に夢の海外移住を実現しても、1~2年程度で帰ってきてしまう人も非常に多いのです。

そこで今回は、マレーシアに移住して丸7年、日本と現地で会社を経営してきた私が、以下の点についてわかりやすく解説していきたいと思います。

  • なぜ海外移住に失敗してしまう人が多いのか?
  • 海外移住に失敗しないためにはどうすれば良いのか?
  • そもそもどうすれば海外移住ができる状態になるのか?
  • 海外移住をするために準備することは何か?

海外移住アンケートの結果

先日、SNSを活用して海外移住に関するアンケートを取ってみました。

その結果を見ると、なんと「海外移住を具体的に計画している」「海外移住にとても興味がある」「海外移住に興味がある」の合計が57%にもなりました。

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ツイッターでも同様にアンケートを取ってみたところ、1000人以上の方が私のツイートにいいねをつけてくださいました。

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この結果を見ると、海外移住に興味を持っている人が今まで以上に増えているということは間違いないと思います。

では、なぜ海外移住に興味を持つようになったのか?さらにアンケートを取ってみました。

すると、「海外で悠々自適な暮らしをしたいから」と回答した人が44%にものぼりました。

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果たして中田敦彦さんも同じ理由でシンガポールに海外移住をするのでしょうか?

それとも税金対策のため?

いずれにしても、中田さんをきっかけとして日本人の海外移住がますます活発になってくることは間違いないでしょう。

なぜ中田敦彦さんはシンガポールに移住するのか?

まずは、誠に勝手ながら、なぜ中田さんがシンガポールに移住するのか、私なりの考えを書いていきたいと思います。

「どうせ節税目的だろう」という意見が多いですが、中田さんの動画を実際に見てみると、どうやらそういうことでもなさそうです。

中田さんの動画を見て、私は中田さんが「世界を見てみたい!」と思って海外に移住を決意したのだと思いました。

今まで中田さんは数々の冠番組を持って仕事に邁進してきたわけですが、忙しすぎて海外旅行に行く暇すらもなかったと言います。

タモリさんのように「毎日アルタに通い続けるのか・・・」と考えた時に、「日本から世界へ飛び出して世界を見てみたい! 世界でビジネスをしてみたい!」そう思って海外移住を決断したのだと、私はそう受け取りました。

中田さんがシンガポールを移住先にした理由としては、シンガポールのカリスマ、リー・クワンユーの思想と政策に影響を受けたからと自身のYouTubeの中で述べています。

また、シンガポールは英語だけでなく中国語も学べますし、子供の教育にも良いと考えた理由もあると思います。

もちろん、シンガポール移住には税制的なメリットもあるでしょうが、少なくとも中田さんの動画からはその印象は受けませんでした。

むしろ、海外でのビジネス展開についてしっかりと考えられていたので、そのあたりはさすが中田さんといったところでしょう。

具体的には、海外のメーカーやクリエイターを中田さんのYouTubeチャンネルで紹介することで、海外のクリエイターと日本を繋げるハブになりたいということです。

そして、何よりも「海外移住に対するワクワク感が止まらない」と、中田さんはそう語っていました。

「海外移住に対するワクワク感が止まらない」という気持ちは非常によくわかります。

なぜなら、私も7年前にマレーシア移住を決断した際は、ワクワク感が止まらなかったからです。

ということで次は、私ウラケンがなぜマレーシアに海外移住したのか?

その理由について解説していきたいと思います。

ウラケンがマレーシアに移住した理由

私が初めてマレーシアを訪れたのは2011年の11月頃、目的はマレーシアでの不動産投資の視察です。

当時は1ドル80円台の超円高でしたから、この強い円を活用して海外投資を活発にしていきたいと考えていたのです。

そして、実際にマレーシアで不動産投資をしつつ、投資仲間と一緒に頻繁にマレーシアに行くようになりました。

当然、お隣のシンガポールにもよく行くようになったわけですが、シンガポールでとある駐在員の方と知り合いました。

その駐在員の息子さんの様子を見て、私は驚きました。

というのは、その息子さんは中華系、インド系、中東系、欧米系など、実に様々な人種の人たちに囲まれながら、のびのびと勉強をしていたのです。

当時の私にとってこの事実は衝撃的で、「自分の子供たちにもインターナショナルな教育を受けさせたい!」そう思って私は海外移住を決断したのです。

シンガポールではなくマレーシアに移住した第一の理由は、「教育の選択肢が多かったから」からです。

マレーシアは元々イギリスが宗主国であり、イギリス式の教育はもちろんのこと、カナダ式やIB(国際バカロレア)方式の教育も受けることができます。

もちろん、英語は日常的に学べますし、中華系移民も多いので中国語も学べます。

第二の理由としては、私のビジネスの拠点がマレーシアだったからです。

私は海外の不動産ビジネスを2012年からマレーシアを拠点として行うようになりました。

移動も日本から7時間程度とそこまで遠いわけではないですし、時差も1時間程度なので日本の仕事にもほとんど支障はありません。

海外ビジネスと日本のビジネスを両立できるという意味で最適な国だったというわけです。

さらに、物価も日本の3分の1程度ですし、食事も和洋中全て揃っていますし、台風、地震、津波等の天災もなく、気候も年中温暖で過ごしやすいため、海外移住先としては最適でした。

しかし、そうは言っても全ての人が海外移住に成功できるわけではありません。

次に、海外移住に失敗する人と成功する人の違いについて解説していきたいと思います。

海外移住に成功する人、失敗する人の違い

海外移住に成功する人と失敗する人の違い、それはズバリ、現地人の友達ができるかどうかです。

日本は島国ですので、閉鎖的な島国DNAが染み付いています。

すると、仮に海外移住をしたとしても現地の日本人同士で集まってしまうことが非常に多いのです。

それだとせっかく海外移住をしても、日本に住んでいるのと大して変わらない状況になってしまいますし、現地の言語や慣習も理解できないのでいつまで経っても現地に馴染むことができません。

海外移住のパターンは基本的に次の3つ。駐在員かセミリタイアか教育移住です。

駐在員の場合は海外勤務が目的ですのでそう失敗することはないと思いますが、セミリタイアでの移住の場合、せっかく海外へ移住をしても日本人同士で集まってばかりの人が多いのです。

たとえば、リタイアしてマレーシアに移住した日本人の1日ルーティンを考えてみると、

毎朝起床して、
街に出かけ、
朝食をとり、
趣味のゴルフを嗜む・・・

というまさに夢のようなライフスタイルを送ることができるわけですが、この生活が毎日1年も2年も続くと考えたらどうでしょうか?

そうですね。飽きてしまうわけです。

私は仕事があるのでまだ良いのですが、仕事が一切なく、毎日が同じことの繰り返しだったらせっかくの移住ライフも途端につまらないものになってしまうと思います。

そのため、結局1~2年程度で海外移住に飽きてしまい、日本に戻ってきてしまう人が多いわけです。

また、教育移住が目的で海外移住をする人は日本にはまだ少ないですが、もし教育移住をする場合、さすがに物価の安いマレーシアといえども、それなりの学校で教育を受けようとするならかなりのお金がかかります。

さて、このように海外移住には3つのパターンがあるわけですが、海外移住に成功したいのであれば、現地人と積極的に交流をして現地で必要とされる人になるのが一番です。

せっかくリタイア移住をしたとしても、誰からも必要とされなければその生活に飽きてしまいます。

積極的にボランティア活動をしたりだとか、現地でビジネスをしたりだとか、何かしらの活動を自ら主体的にやることが重要になってきます。

私がマレーシアに移住した頃は、すでに一生食べていけるだけの資産とビジネスがありましたが、あえてチャレンジをして現地でビジネスを開始しました。

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現在はマレーシア人を3人雇い、日本の自動車部品の輸入総代理のビジネスをしています。

会社を設立してから1年間は赤字でしたが、ようやく去年、黒字転換することができました。

このように海外移住をしても常にチャレンジして現地人と積極的に交流をしていれば、飽きてしまうなんていうことはありません。

現地の文化や慣習を理解し、現地人と積極的に交流、常に能動的に動いてワクワク感を絶やさないこと、これこそが海外移住を成功させる秘訣だということです。

余談ですが、現地でのコミュニケーションはもちろん英語です。

最初はほとんど英語ができませんでしたが、なんとかできるようになりました。

英語ができるようになってからビジネスを始めたのではなく、やりたいことを見つけたら必然的に英語ができるようになったのです。

ビジネスでも何でもそうですが、心からやりたいことを見つけると、必要なことは後からでもできるようになります。

ですから、まずは飛び込んでみることが重要だと思うのです。

最後に海外移住をするには具体的にどうすれば良いのか、海外移住に必要なビザと経済的条件について具体的に見ていきましょう。

海外移住に必要なビザと経済的条件

まず、海外移住のためにはビザが必要です。

最も簡単なのはプチ移住です。

たとえばマレーシアの観光ビザは3カ月ですし、タイでは1カ月の観光ビザを入国時にもらうことができます。

ただし、帰りの航空券がないと入国できないので注意が必要です。

ただ、観光ビザでは家を借りられないケースもあるため、現地で家を借りる際は要注意です。

そのため、長期滞在目的であれば観光以外のビザを取ることが必要になるでしょう。

ちなみに、中田さんが移住するシンガポールで永住ビザを取得するためには、なんと約160億円以上の資産があることを証明して、さらに約2億円相当のお金をシンガポールのファンドに投資しなければなりません。

そのため、超大金持ち以外はシンガポールの永住権を取得するのはほぼ不可能です。

今回の中田さんの件に限っていえば、中田さんは恐らくシンガポールで現地法人を設立し、自ら就労ビザを発行するというスキームで移住するのだと思います。

ただ、シンガポールの就労ビザの要件も収入や学歴を重要視しているため、審査は年々厳しくなってきているようです。

一方、マレーシアやタイで長期のビザを獲得する方法としては、現地法人に就職して就労ビザを発行してもらうという方法があります。

ただし、現地法人に就職した場合は現地ベースの給料になるので注意しましょう。

そうなると多くの移住希望者にとっては長期滞在ビザを獲得するというのが現実的になってきます。

特に、日本の仕事の収入で海外移住することを考えている場合などは、長期滞在ビザが必要になってきます。

長期滞在ビザとしは、たとえばマレーシアの場合はMM2H(マレーシア・マイ・セカンドホームビザ)というビザがあります。

これを取得する条件は以下の通りです。

■50歳以上の場合

日本の金融資産(銀行預金、株、投資信託、国債等)で最低RM350,000(RM1.00=30円として約1,050万円)以上と、月々RM10,000(約30万円)以上の収入があることを証明する必要があります(直近3カ月間の給与明細、直近年度の源泉徴収票・確定申告書・課税証明書・年金証書等)。

■50歳未満の場合

日本の金融資産(銀行預金、株、投資信託、国債等)で最低RM500,000(RM1.00=30円として約1,500万円)以上と、月々RM10,000(約30万円)以上の収入があることを証明する必要があります(直近3カ月間の給与明細、直近年度の源泉徴収票・確定申告書・課税証明書・年金証書等)。

(注)RM:マレーシアリンギット

これらの条件をクリアしてビザを取得すると、マレーシア政府より10年間の長期滞在が許可されます(更新可能)。

ただし、マレーシアのMM2Hビザは一昨年首相が交代してから1年以上も申請も審査もストップしており、まだ再開の目処が立っていません。

一方、タイはビザをより取得しやすい国です。

まず、50歳以上の場合はリタイアメントビザというものがあり、こちらは最新月のもので日本の銀行の預金残高が800,000バーツ(約280万円)以上あることを証明する必要があります。

また、50歳未満の方が長期滞在したい場合にはエリートカードというものがあり、60万~200万バーツ(200万円~700万円)ほどでビザを購入することができます。

ちなみにタイの観光ビザは30日間ですので、観光ビザを利用してタイへ居住するのは少々難しいかもしれません。

以上を踏まえると、東南アジアの海外移住先としては、タイ、マレーシア、シンガポールあたりが候補かもしれません。

注意事項:ビザ取得の要件や詳細は上記以外にもあります。

また、最新の内容と異なる場合もありますので、実際に検討される際は、各ビザの公式HPや代理店等でご確認ください。

現地で必要な生活費

どのくらいの生活レベルを求めるかによってもちろん異なりますが、現地と同様の生活水準で生活するのであれば、クアラルンプール中心街であっても、家賃5万円もあれば日本の3LDKの広さの物件を借りることができます。

食費や水道光熱費についても、現地の食材であれば毎月5万円程度あれば十分です。

ただし、日本のクオリティと変わらない食材を買ったり、環境が良いエリアで日本の倍以上の広さの家に住んだりするのであれば、生活費は家賃込みで毎月30万円以上はかかるのではないかと思います。

教育については、日本人学校に通うのであればあまりお金はかかりませんが、現地のインターナショナルスクールに通うのであれば、それなりの費用がかかります。

学校の質もピンキリですので、子供1人当たり年間50万円~150万円程度をイメージしておくと良いのではないかと思います。

移住するのに必要な日本の収入は?

では、結局のところ移住に必要な日本の収入はいくらなのでしょうか?

例えば、子供2人を留学させて家族4人で移住する場合は、生活費が月30万円で年間360万円、学費が子供1人当たり100万円と考えれば、雑費等々を含めて年間600万円程度が必要になると思います。

ただし、子供もいないし教育移住でもなく、海外リモートが可能だったり、現地法人に就職したりするのであれば、月15万円程度の収入でも十分な移住生活が実現すると思います。

日本では月15万円の収入ではギリギリな生活ですが、タイやマレーシアで同じレベルの収入で生活をしようと思えば、現地での中間層程度の暮らしをすることはできてしまいます。

これに加え、各国のビザ取得費がかかってくることになります。

まとめ

今後、中田さんには日本人が海外移住で活躍できるようになるような、そんな情報配信をYouTubeで期待したいですね。

マレーシアの観光ビザであれば90日間プチ移住できますし、短期貸しのコンドミニアムも多いですから、興味のある方は休暇などを利用して、ぜひ一度、移住体験をしてみてはいかがでしょうか?

海外移住を一つの選択肢として人生設計を考えてみると、とってもワクワクしてくると思います。

本記事が海外移住を検討されている多くの方の参考になれば幸いです。

なお、あなたが移住の夢を実現するためには、まずは経済的な条件をクリアすることが重要になってきます。

給料以外に安定的な収入を作るには不動産投資が一番の選択肢です。

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