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ヤバい不動産仲介会社「汚い手口」の基礎知識。損しないための撃退法は?

公開日: 2021年11月03日

最近、大手不動産仲介会社の不祥事が相次いでいます。

たとえば、今年(2021年)5月下旬、A社の男性社員が物件案内をした際に女性に対して強制わいせつ行為を働いたとして逮捕されました。

また、7月には同じA社の管理物件で、架空の修繕費を請求されて損害を受けたとしてオーナー側がA社に対し2億8000万円の損害賠償を求める提訴をしています。

強制わいせつなどは言語道断ですが、修繕や原状回復の現場では、A社に限らず入居者やオーナーの無知を逆手に取った卑劣なボッタクリ行為がまだまだ横行しています。

退去時の原状回復で敷金が返ってこないばかりか、さらに家賃1ヶ月分の修繕費を請求される・・・などというのは、その最たる例です。

また、契約時に仲介業者指定の火災保険に強制加入させられたり、部屋の消毒費用を請求されたり、24時間のサポート費用を請求されたり、室内消火器を売りつけられたり・・・ボッタクリの事例は枚挙にいとまがありません。

せっかく仲介手数料が半額になったのに、結果として仲介手数料1ヶ月分を上回るサービス費用を押し売りされては本末転倒です。

そこで今回は、悪徳仲介業者の汚い手口に関する基礎知識とそんな業者を撃退する方法を解説していきます。

この記事をお読みいただければ、部屋探しで悪質な仲介業者に損をさせられるのを防ぐことができますし、もしあなたがオーナーであれば、こうした仲介業者の所業によって不利益を被ることもなくなります。

ぜひ最後までご覧ください。

契約時によくあるトラブルと対処法

まず、契約時によくあるトラブルとしては、仲介手数料などの「初期費用」にまつわるものがほとんどでしょう。

冒頭に記した不祥事で話題となったA社は、業界に先駆けて「仲介手数料半額」を謳い、多くの仲介客を獲得してきました。

しかし、仲介手数料半額というのは、別にA社が特別というわけではありません。

そもそも法律上、居住用賃貸の仲介手数料は貸主、借主からそれぞれ0.5ヶ月分ずつしか取ってはいけないことになっています。

ただし、借主が同意した場合にのみ、借主に1ヶ月分の仲介手数料を負担してもらうことができるようになっています。

そのため、借主は部屋を借りる際に「仲介手数料は0.5ヶ月分しか払いません!」と主張することも実はできます。

しかし、オーナー側から「仲介手数料を1ヶ月分負担してくれないなら、部屋は貸さないよ」と言われたら困りますから、長年の間、慣例的に借主が1ヶ月分の仲介手数料を負担することになっているのです。

前述のA社は、仲介手数料の半分をオーナーに負担してもらうことによって、「仲介手数料半額」としてライバル業者との差別化を図ってきました。

ところが、仲介手数料半額につられて契約しようとすると、結果的に余計な費用を請求してくる悪徳業者も中にはいます。

つまり、先ほど例に挙げたように、契約時に様々な「初期費用」が自動的についてくるケースが多いということです。

たとえば、仲介業者指定の火災保険に入ることが契約の条件になっていたり、年数万円の24時間サポートに入ることが条件になっていたり、入居前の防カビ対策や排水管洗浄を勧められたり・・・といった初期費用があります。

これらは大抵の場合、オーナーが指定しているものではありません。

仲介業者が独自に営業しているものがほとんどですので、当然その全てを断ることができます。

それにも関わらず、流れでそのまま契約してしまう借主が多いため、ボッタクリが発生してしまうというわけです。

しかし、万が一、借主が仲介業者の営業に怒って契約が白紙になってしまえば、オーナーもたまったものではありません。

そのため、仲介業者がどんな契約をしているのかを、オーナー側もしっかり把握しておくことが必要です。

また、あなたが物件を借りる側であれば、もし契約時に上記のような初期費用を請求された場合は、「必要ありません!」としっかり伝えることが非常に重要です。

もし「これをやらないと入居できません」などと言われたら、「それは任意でしょ?」と切り返せば良いでしょう。

さらに食い下がって「大家さんが指定している」などと言ってきたら、「国交省のガイドラインでは消毒は貸主負担になっていますよね?」などと言い返せばOKです。

火災保険については、どんな物件でも加入が必須ですが、管理会社指定の保険に入る必要はありません。

たとえ管理会社指定の保険へ加入することが契約の条件と言われても、自分で安い保険に入れば何も問題はありません。

ここで食い下がられたら、「それは独占禁止法に違反しますよ!」とでも言って、軽くビビらせておけば良いでしょう。

まとめると、仲介業者が独断で指定してくる初期費用は、大抵の場合は断ることができるということです。

ぜひこれは覚えておきましょう。

入居中によくあるトラブルと対処法

次に入居中によくあるトラブルと対処法を解説します。

これはなんといっても更新時のトラブルでしょう。

ほとんどの賃貸借契約は2年ごとの更新になっていますが、更新料は地域によってかなり幅があります。

良心的な管理会社なら地域の相場の更新料・事務手数料を請求されるだけで済むと思います。

しかし、ぼったくり業者は家賃数ヶ月分の費用を請求してきたりします。

これは大家さんが請求している場合もありますし、大家さんには内緒で管理会社が請求しているケースもあります。

更新料や事務手数料を請求すること自体は違法ではありませんし、相場レベルの費用であれば問題ないとは思います。

しかし、後々のトラブルを避けるためにも、「更新にまつわる費用がいくらかかるのか」を契約時にしっかり確認しておくようにしましょう。

また、大家さんの知らないところで管理会社が勝手に高額な費用を請求している場合、入居者は契約を更新せずに引っ越してしまうこともあります。

これは大家さんにとっては機会損失です。

そのため、オーナー側は業者と管理契約をする前に、更新料や事務手数料の額をあらかじめしっかりと協議しておくようにしましょう。

ちなみに「定期借家契約」の場合は、契約期間の満了時に元の契約がいったん解除となり、「更新」ではなく「再契約」をする形になります。

この場合は更新料ではなく、管理会社に仲介手数料を受け取ってもらって再契約業務を行ってもらうことになります。

とはいえ、入居者を一から探す手間はないわけですから、手数料は半額にするなど、あらかじめ管理会社と取り決めておきましょう。

そうすれば、「手数料が高いから」という理由で退去されることもないと思います。

まとめると、あなたが物件を借りる側であっても、オーナー側であっても、「更新にまつわる費用がいくらかかるのか」をあらかじめ協議しておくべきということです。

なお、「定期借家契約」の解説は本筋から離れてしまうため割愛しますが、入居者にとってもオーナーにとっても非常にメリットが大きい契約方法です。

「定期借家契約」について詳しく知りたい方は、ぜひ私のYouTubeチャンネルで関連するコンテンツをご覧ください。

悪徳業者とトラブルになった場合、わずか1日で決着をつける方法

最後に、悪徳業者とトラブルになった場合の対処法を解説します。

たとえば、契約時や退去時に納得がいかないことがあった場合はどうすれば良いのでしょうか?

そんな時は、まずは消費生活センターに相談したり、無料で法律相談が受けられる法テラスに相談したりすると良いでしょう。

そして、最終的な解決手段は裁判しかありません。

裁判というとハードルが高いように思えますし、費用も時間もかかるイメージがありますが、少額訴訟であればわずか1日で決着をつけることができます。

少額訴訟は60万円以下の少額の金銭の支払いについてのみ提訴ができて、費用も実費で数千円程度しかかかりません。

かなりお手軽な裁判ということになります。

さらに、敷金の返還請求など代表的な訴訟については専用の書式もありますので、弁護士に依頼しなくとも簡単に訴状を作ることができます。

もし、管理会社やオーナーが悪意をもって敷金の返還を拒んだり、過大な原状回復費用を請求してきたりした場合には、少額訴訟をちらつかせれば敷金はあっけなく返されることが多いと思います。

以上、契約時と入居時によくあるトラブルとその対処法を解説してきました。

今回、文字数の関係で解説できませんでしたが、実は「退去時」にもトラブルは起こりがちです。

「敷金が返ってこない」「家賃1ヶ月分の修繕費を請求された」というような話を聞いたことがある方も多いかもしれませんね。

そこで次回は「退去時によくあるトラブルとその対処法」についてお話しします。

今回の記事と次回の記事の内容を完璧に理解していただければ、いらぬトラブルに巻き込まれることはなくなると思います。

ぜひ参考にしてください。