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リフォームコストを抑える見積りチェック法と交渉術

公開日: 2021年07月01日

見積りは単価だけでなく数量のチェックも行う!

入居を決めるための重要なポイントのひとつに「物件が魅力的に仕上がっているか」というのがあります。

そして、これを実現するには、やはりリフォームが鍵を握ります。

なかでも、空室の築古物件などを入手した際は、物件のバリューアップを「いかに低コストで行うか」が、その後の運営の明暗を分けるといっても過言ではありません。

ところが、多くの大家さんが低コストで物件を仕上げるために欠かせない「リフォームの見積書のチェックの仕方」や「それをベースにした業者さんとの交渉術」などについて、今も明確になっていない部分が多いように感じます。

そこで今回は、これらについて私の会社で最近購入した築古戸建ての事例を基に解説したいと思います。

見積書のチェック方法

入手したのは千葉県の築42年の戸建てです。

最寄り駅からは車で10分、エリア的には不動産投資としてそれほど人気がない場所といえます。

元々1700〜1800万円だった価格が1280万円まで下がったところで、指値を行い最終的に1150万円で購入しました。

建物は木造2階建てで土地の面積は48.5坪、部屋の間取りは5DKです。

この物件を手に入れた目的は、私の会社で実施しているグループホームとしての運営です。

目指したのは、リフォームを行っても利回りが20%を超える形でした。

実際にリフォーム工事を依頼したのは、すでに何度も私の物件で施工実績がある馴染みの業者さんです。

基本的に信頼しているため、見積りに不審な点はないと考えていますが、それでも見るべきポイントは念のためチェックします。

まずリフォーム総額は約500万円となっていました。

グループホームとして常駐の世話人を設け運営していく予定のため、間取り変更なども行うので金額的には妥当です。

経験値のある人は、総額で相場とかけ離れていないか気づける場合もありますが、やはり施工項目別に金額をチェックしていくことが大切です。

例えば、今回の事例ではクロスの平米単価が900円になっていました。

安く手に入れようと思えば600〜700円でも仕入れは可能ですが、この900円は「材工」です。

「材工」というのは、張る手間も含めた金額ですから、1000円以下であれば許容範囲となります。

もしも、単価が1200〜1300円になっている場合は、材質の良い1000番台のクロスでなければ妥当とはいえません。

また、床は低コストを実現するためにフロアタイルで仕上げる計画で、部材については私の会社から支給しました。

平米単価は2000円ぐらいです。

コストを抑えたい時は、このような施主支給も有効です。

以上のような感じで、見積書の施工項目と単価を順番にチェックしていくわけですが、この作業は大抵の大家さんが実践していると思います。

しかし、それだけでは不十分なのです。

実は「数量」のチェックが物凄く重要になってきます。

見積書の「数量」が大事な理由

理由は、「数量」をごまかされてしまうケースがあるからです。

当然ですが、実際の使用量よりも多く見積書に明記すればトータル金額を上げられます。

「数量」の項目をチェックする大家さんが少ないためか、平米数を増やした形で見積りを出してくる業者さんも結構存在します。

単価が安く明記されていると「こんな感じか」と思いがちですが、見積金額は「単価×数量」で決まることを忘れてはいけません。

それでは「数量が正しいか」チェックするには、どうすれば良いのでしょう。

基本的には、施工予定の現場に足を運んで調べる形になります。

その時に、見積書のクロスの部分に○○㎡と明記されていたとします。

場所がリビングであれば、屋根の高さは大抵2.3〜2.4mです。

また、一般的にリビングなどの大きな掃き出し窓の場合はサイズが1間(約1.8m)のケースも多いと思います(部屋により違うこともあります)。

これらを基準に、壁のおおよその面積を確認し見積書に記載された数量と「大きな違いがないか」確認するのも手だと思います。

もちろん、メジャーを使用して計ってもいいですし、今はスマートフォンのアプリケーションでも計測できるものがありますから、より正確な数量を算出可能です。

その他のチェック方法

ほかにも、事前にリフォーム予定の箇所の数量を計測し、それを明記した「単価と合計金額が入っていない見積書」を業者さんへ渡す方法もあります。

大家さん自らが、いわゆる「金抜きの見積書」を作成し業者さんへ提示するわけです。

この時に「トータルで○○○万円にしたいんです」と依頼します。

一度完成した見積書から値引き交渉を行うよりも、このような形にした方が、希望金額で発注できる可能性は高くなります。

なぜなら、業者さんは提示金額で実現可能な部材を探してくるからです。

例えば、在庫が余ってるものを安く仕入れてきたりします。

ただし、この方法はすでに発注実績があり「信頼関係が構築できている業者さん」に対して実施した方が良いと思います。

一見でこのような行為をすると、相手に不信感を抱かさせてしまう可能性もあるため注意が必要です。