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空室を減らし収益を改善「ヤドカリ運営法」とは!?

公開日: 2020年10月01日

空室に自分が住んでキャッシュフローを改善

今回は空室対策の番外編として、賃貸併用住宅の進化系とも言える「ヤドカリ運営法」について、ご紹介したいと思います。

あまり聞き慣れない言葉だと思いますが、この手法は収益を改善し所有物件の空室を減らすことにも繋がる裏技として効果を発揮します。

そもそも賃貸併用住宅には、

①戸建てを購入し2階部分を賃貸物件(ワンルーム3戸程度)に改装して貸し出す、
②二世帯住宅を建て片方に自分が住み、もう片方を貸し出し住居費を無料にする、


などの方法があります。

しかし、これには、

①2階をワンルーム3戸に改装できるような都合の良い戸建ては見つけにくい、
②賃貸部分1戸のみでは空室が出たらローン返済の負担が増えてしまう、
③土地を探し工務店を選んで新築を建てる工程を管理するのには幅広いスキルが必要、


などの難点があるのも事実です。

このようなリスクを大幅に軽減しながら、無料でマイホームが手に入るのが「ヤドカリ運営法」なのです。

「ヤドカリ運営法」とは?

具体的には、中古の一棟アパートを購入して「その空室に自分が住む」という形になります。

つまり、入居者様に物件購入のローンを支払ってもらいながら、無料で同じアパートに住むわけです。

ですから、結果的に所有物件の空室を自分が埋めることになります。

仮に空室に住む以前は賃貸物件で生活していて、10万円程度の家賃を支払っていたと仮定すれば、住居費が0になるため年間で10万円× 12ヵ月=120万円のキャッシュフロー改善も期待できます。

いわば120万円の貯蓄が毎年できるわけです。

しかも「ヤドカリ運営法」は、一棟アパートの1戸か2戸を改装し「自宅として住む方法」なので、一般的な賃貸併用住宅よりも、空室リスクが低くなるメリットがあります。

実例を基にしたシミュレーション

それでは、実際に「ヤドカリ運営法」で成功している、私の愛弟子の事例を基にシミュレーションをしてみたいと思います。

物件購入は10年ぐらい前で、概要は次のような感じです。

●木造一棟アパート、間取り=1K×6戸(25㎡)、売値=2800万円、家賃収入=月額4万円×6戸(年間288万円)、表面利回り=10.2%

このような一般的によくあるワンルームのアパートは、1階部分が空室になると埋めるのが難しい面があります。

そこで6戸中、2戸を繋げてマイホームとしてリノベーション。

改修費用は必要になりますが、合わせて50㎡あれば2DKや1LDKなど色々なバリエーションが選択できます。

実際のシミュレーションは次のような感じです。

①1階の空室2戸を繋げて自宅にする(50㎡)、
②家賃収入4万円×4戸=月16万円、
③購入費用=自己資金300万円、借入金2500万円、(利率2%・期間15年)、
④ローン返済額=月額約16万円。

つまり家賃収入の16万円をローン返済に充てることが可能で、オーナーさんは無料で自宅に住めることになります。

ただし、このシミュレーションには改修費用が入っていませんから、その分を考慮してもう少し安く物件を購入したり、自己資金を300万円ではなく最低500万円ぐらい用意する(リフォーム費用を200万円見込む)必要があるかもしれません。

とはいえ、普通に持ち家を購入することを考えると、一般的な住宅ローンでは35年間は返済の呪縛から逃れられませんが、アパートの空室を自宅として使えば借入返済も15年間で終わります。

しかも、すべて入居者様が支払ってくれるのです。

将来的に家族が増えライフスタイルが変わった時には、別の住まいに引越して今まで住んでいたアパートの一室を賃貸すれば問題ありません。

賃貸アパート自体も、ワンルームだけでなくファミリータイプの間取りが自動的に追加されるため、幅広いバリエーションとなり周辺のライバルと差別化できると思います。

「ヤドカリ運営法」のメリット・デメリット

最後に「ヤドカリ運営法」のメリットとデメリットについて、まとめておきたいと思います。

最初にメリットですが、

①賃貸戸数が多いため一般的な賃貸併用住宅よりも空室リスクを下げられる
②一般的に返済期間が長い住宅ローンと比較した場合に中古一棟アパートの方が短くなるケースが多い
③自分が住むことで所有物件の空室が埋まり住居費も無料になる
④これから賃貸経営を始める人は大家さんになることで青色申告や減価償却で節税メリットが生まれる

などになります。

反対にデメリットとしては、

①自宅よりも賃貸部分の面積が広くなるため低金利な住宅ローンを使用できない
②自宅にする部分が人気のない1階になってしまうケースが多い

などです。

以上のようにメリットの多い「ヤドカリ運営法」ですが、「テナントと一緒の建物には住みたくない」「チマチマした手法は面倒」という人には向かないと思います。

しかし、資産を増やしたいのであれば、一時的に何かを犠牲にすべき時もあるはずです。

私は「ヤドカリ運営法」を一生実践することをオススメしているわけではありませんが、こんなに良い資産運用法は他にないと思っています。

これから「賃貸経営を始めよう」と考えている人はもちろんのこと、現在のようなコロナ禍で少しでもリスクを減らしたい大家さんにとっては、選択肢のひとつになるのではないでしょうか。