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大家さんが知っておくべき孤独死との向きあい方②

公開日: 2020年09月01日

外国人を対象にして損失を最小限に抑える

前号では孤独死の対処方法を、①孤独死が起こる背景、②事故物件になる原因、③発見時の初動対応の仕方、④次の入居者様への告知方法、⑤孤独死の予防方法の5項目に分け、そのうちの①〜③について解説しました。
そこで今回は、④次の入居者様への告知方法、⑤孤独死の予防方法についてお話しします。

次の入居者様への告知

最初に、④次の入居者様への告知方法ですが、基本的に自然死で事故死ではない場合、亡くなってからすぐに発見されれば告知する必要はありません。
例えば、ご遺族に看取られたり、死後1〜2日程度で見つかったケースなどは自然死になると思います。
反対に何ヵ月も発見されなかったり、部屋で自殺が起きた場合などは事故物件になってしまいます。
このような時は、新規募集の広告などの備考欄に「心理的瑕疵あり」や「特殊事情あり」などと記載し告知する必要が出てきます。
さらに、募集広告だけではなく重要事項説明など、契約前に心理的瑕疵がある旨を説明すべきです。

とはいえ、今は告知期間についての明確な法令がないため、告知しなくても法律的に罰せられたり、罰金が科せられることはありません。
しかし「心理的瑕疵の事実を知っていれば部屋を借りなかった」という理由で、後で入居者様から訴えられる可能性があるため、告知はしっかり行うべきだと思います。
期間としては、一般的には亡くなってから5〜6年程度が妥当です。
もしくは、入居者様が2〜3回入れ替わるぐらいまでは心理的瑕疵があることを伝えるようにします。
ただし、全国的に報道され、地域住民の記憶に長く残るようなケースでは8〜10年ぐらいまで告知した方が良いと思います。
逆に事件性が低い場合は、5〜6年を基準としつつ少し短くすることも可能かも知れません。
これは明確な線引きがないため、ケースバイケースで考えることになります。

また、このような心理的瑕疵がある事故物件では、一般的に半額近くまで家賃を下げて新規募集をすることが多いと思います。
そして、家賃を半額にすると、意外に早く入居者様が決まったりするのです。
理由は、安く住める事故物件を狙って探している人もいるからです。
しかし、私の場合は事故物件になっても家賃を下げての募集はしません。
心理的瑕疵があることを告知したうえで、普通の物件とほとんど同じ条件で募集しています。
実際に、この方法で入居が決まっているのです。

理由は、対象を外国人にしているからです。
そもそも外国人のなかには、心理的瑕疵があることを気にしない人が結構います。
さらに、事故が発生した物件の多くは、次の募集にあたり綺麗にリフォームされます。
そして、入居を決めやすくするために、デザイン性の高い壁紙に変えたり、備え付けの家具などを用意するケースなどもあります。
このようなバリューアップも、心理的瑕疵を告知しても入居が決まる要因になるわけです。

コミュニケーションを取ることが予防になる

最後に、⑤孤独死の予防方法についてお話しします。
まずは、「入居者様同士のコミュニケーションを促進する」ことが大切です。
例えば、大家さんから新規の入居者様に対して、引越し時に近隣への挨拶を促すのも良いと思います。
さらに、大家さんのなかには、入居者様同士のバーベキューパーティを自ら主催して、コミュニケーションを取るきっかけ作りをしている方もいます。
これらにより、単身の高齢な入居者様と別の方が顔見知りになり、孤独死の早期発見に繋がるケースなどもあります。
防犯上も隣同士が知り合いの方が、不審者の通報などが入りやすい環境になるはずです。

とはいえ、今はコロナ禍でバーベキューパーティなどを開催するのは難しいかも知れません。
ですから、メールや電話などを上手く活用し大家さん自ら入居者様とのコミュニケーションを活性化していきましょう。
特に、単身の高齢な入居者様がいる場合は注意が必要です。
例えば、高齢者に関しては様々な見守りサービスがあります。
行政では民生委員の見回り、デイサービス、無料の安否確認などがあり、民間にも有料の見守りサービスがあります。
そのため高齢者は、前述のようなサービスを使ってもらうことを前提に入居をオーケーするといいでしょう。

さらに、孤独死に対応した保険に入るのもオススメです。
このような保険には、大家さんが加入するものと入居者様に入って頂くタイプの2種類があります。
実際に、過去に私の会社が管理している物件で自殺の発見が遅れ、原状回復が大規模になったことがありました。
しかし、孤独死保険に加入していたため、持ち出しなく原状回復を完了できた経験があります。
このように、大家さん自らが孤独死保険に加入しておくのが良いと思います。

また、入居者様の責任で入る死亡保険については、家財保険などでカバーする方法があります。
家財保険は、賃貸借契約の時に入って頂くのが基本ですが、孤独死への対応は特約になるケースが多くなります。
内容としては、遺品整理や原状回復の費用などが担保されるかがポイントです。
実際の保険金の請求は掛けた本人が亡くなっているため、原則として相続人が行うことになります。
しかし、相続人がいない場合もあるため、管理会社さんや大家さんが代理で請求可能な特約などが付いているかもチェックしておきましょう。