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大家さんが知っておくべき孤独死との向きあい方①

公開日: 2020年08月01日

警察へ連絡してから近隣住民にも状況を説明

コロナ禍により世の中の経済状況が、この先どうなっていくか不透明な状況が未だ続いています。

だからこそ、今回は非常にセンシティブな内容ではありますが、賃貸経営において避けて通れない孤独死の対応法を、2回に分けてお伝えします。

実際に自分の所有物件で孤独死が起きた時に「どうするか」みなさんは日頃から想定できているでしょうか。

ご遺体や遺品の処理、家賃の滞納分の回収、近隣への対応など、問題は多岐に渡ります。

さらに、真剣に考えていけば「事故物件と何年告知し続ければ良いのか」「家賃を下げないと決まらないのか」「孤独死に対応する保険はあるのか」「損害賠償を請求できるのか」「孤独死を予防する方法はあるのか」など、数多くの疑問が湧いてくるはずです。

そこで万一、事故物件になっても収益を減らさずに経営を続ける具体的な対処法について、①孤独死が起こる背景、②事故物件になる原因、③発見時の初動対応の仕方、④次の入居者様への告知方法、⑤孤独死の予防方法という、5つの項目に分けて解説していきたいと思います。

①孤独死が起こる背景

年間で約3万件近く孤独死が発生しているとの調査結果があります。

賃貸の割合を全体の6割とすれば、おおよそ2万件ぐらいは賃貸物件でお亡くなりになっているわけです。

最近は高齢者の一人暮らしも増えていて、病死される場合もありますし、職を失い部屋で自殺してしまうケースなども見られます。

また、凄惨な殺人事件がアパート内で起こる可能性も否定できません。

②事故物件になる原因

原因としては、前述したように病死、さらに自殺や他殺の2つがあります。

病死の場合は、1〜3日ぐらいで発見されれば事故物件にはなりません。

お亡くなりになって、すぐに発見されれば通常の手続きで問題ないわけです。

しかし、病死でも数ヵ月後に近隣からの異臭のクレームなどで発見された場合は、事故物件になる可能性が高くなります。

これは自殺でも同じです。

さらに事件性のある他殺なども事故物件の扱いとなります。

③発見時の初動対応の仕方

初動対応の流れは次のような形になります。

●警察に連絡する
●近隣に挨拶(説明)する
●特殊清掃業者さんを手配する
●神主さんにお祓いを依頼する

実際に孤独死が発見された場合、すぐに警察に連絡することが大切です。

そして、現場検証を行い、ご遺体を搬出してもらうことになります。

この段階で「事件性があるか」ある程度判断されます。

次に、オーナーとして実践すべきなのが、近隣への挨拶(説明)です。

これは、事件性の有無に関わらず、必ず行なった方が良いと思います。

理由は「変な噂」を立てられないようにするためです。

もちろん、異臭などが出た場合は、その原因を「きちんと説明する」ことも忘れてはいけません。

例えば、他殺の場合はニュースになって噂が広がるケースなどもあると思います。

しかしそのような状況でも、噂に振り回されることがないように、しっかり近隣への挨拶(説明)を行うことが重要です。

自殺などでは、警察は最初に事件性を調べるため、アパートの住人以外の近隣にも聞き込み調査を行ったりします。

実際に「いきなり警察に来られてビックリした」というケースもあるので、その前に菓子折りを持って事情をソフトに伝えましょう。

以上の初動対応が終わったら、次は特殊清掃業者さんを手配します。

例えば、部屋でお亡くなりになって1〜2ヵ月発見が遅れると、体液が流れ出して腐敗が進み臭いも酷くなります。

場合によっては根太まで臭いが染み付いていることもあるため、通常の原状回復の業者さんでは対応できません。

さらに、遺品や粗大ゴミなども片付けなければいけないので、特殊清掃業者さんに依頼するわけです。

臭いの除去は短いもので3日間、ケースによっては1週間〜1ヵ月ぐらい実施しないと消えないケースもあります。

さらに、前述した根太などの基礎部分を変える必要が生じれば、大掛かりな工事も発生します。

そのため、特殊清掃業者さんを迅速に手配することが重要なわけです。

また、遺品に関しては「遺族に引き渡す」のが基本です。

これも特殊清掃業者さんが対応してくれるので依頼しましょう。

そして、原状回復が終了して部屋が綺麗になったら、お祓いをしましょう。

神主さんに依頼しに行って頂けば、大家さんの精神的な面はもちろんのこと、近隣に対しても安心感をアピールできます。

次号では引き続き、④次の入居者様への告知方法、⑤孤独死の予防方法の2つについて解説していきます。