ブログ

コロナ禍で知っておきたい事業者向け家賃補助の概要

公開日: 2020年07月01日

店舗を貸しているなら自ら借主にアドバイス

今回は空室対策の特別編として、以前からコロナ対策で議論されていた、事業者向けの家賃補助(特別家賃支援給付金)を解説したいと思います。

理由は住居と同時に、飲食店などの事業者向け店舗を貸し出している大家さんが数多くいるからです。

しかも、緊急事態宣言が解除されても治療薬やワクチンがない状況では、すぐに飲食店などの活気がコロナ禍以前のように戻る可能性は低く、当面は売上減少による厳しい状況が続くと考えられます。

そのため、店舗を貸し出している大家さんは、特別家賃支援給付金の制度を理解しておくことが、安定経営を実現するうえで欠かせないのです。

事業者向けの家賃補助の対象者

まず、この制度の対象者ですが、中小企業の事業主となります。

持続化給付金の給付条件と一緒で、資本金が10億円以下、従業員が2000人未満の事業者です。

さらに、フリーランスなどの個人事業主も対象になります。

つまり、新型コロナウイルスの影響で収入が減少し、家賃の支払いに困窮している幅広い事業者に適用されるわけです。

しかも、テナントの業種に制限がありませんから、例えば倉庫業なども対象に入ってきます。

さらには、土地の賃料についての支払いなどもオーケーです。

要件としては「単月の売上で50%以上減少している」もしくは「3ヵ月連続で30%以上減少している」事業主となります。

給付額について

次に、給付額についてですが、基本的には家賃の2/3まで給付される形で最大6ヵ月となります。

また、中小事業者では月50万円が上限となり、最大6ヵ月で300万円、個人事業主やフリーランスの場合は月25万円が上限で、最大6ヵ月で150万円となっています。

なお、今回は複数の店舗を営まれている事業主さんを対象に、支給の措置が拡充されます。

中小事業者の方については、月100万円で最大6ヵ月=600万円まで、個人事業主なら月50万円で最大6ヵ月=300万円です。

では、店舗が複数ある場合の計算例を見てみましょう。

75万円までの家賃の場合は給付率は2/3で、50万円となります。

この75万円を超えて225万円までのケースでは、75万円までの部分の2/3は支給されています。

そのため、225万円から75万円を引いた150万円の1/3の50万円をプラスして最大100万円となるわけです。

225万円の家賃を複数店舗で支払っている場合は、最大100万円×6ヵ月=600万円まで受給できることになります。

給付の時期

給付時期については、7月スタート予定で6ヶ月分まで補助される形になります。

申請には必ず賃貸借契約書が必要になると思いますので、契約書のコピーなどは、あらかじめ準備しておいた方が良いと思います。

最後に、ほかの助成制度との併用についてですが、例えば、法人200万円、個人事業主100万円の持続化給付との併用も可能です。

さらに、各種コロナ対策の融資制度とも同時利用ができます。

現時点で、貸し出している店舗に、家賃の支払いに困窮しそうなテナントさんがいる場合は、事前に大家さんから、この特別家賃支援給付金について説明しておくと良いでしょう。

そして、受付開始になったら、すぐに書類を用意して申請できるような体制を取っておくのが理想的だと思います。

今後も経済産業省もしくは厚生労働省のホームページなどで、最新情報がアップされると思いますから、テナントさんに貸し出している大家さんは、こまめにチェックしておきましょう。

いずれにしても、テナントさんが、まだこの支援制度について知らない場合もありますから、まずは行政の家賃補助についてきちんと説明し、未然に滞納トラブルや退去などを防げるように賢く動きましょう。