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50年一括借り上げってどうよ?

公開日: 2024年01月12日

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こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。

先日のブログで「50年ローン」についてお話ししましたが、なんとこの賃貸業界にも「50年一括借り上げ」なるサービスが登場しました。

このサービスをぶち上げたのは“T建設”で、賃貸マンション業界ではとても有名な上場企業です。

僕の第一印象としては、“50年も家賃保証をするなんて、よくも大風呂敷を広げたな・・・”という感じですが、実際のところ、50年一括借り上げというのはどうなのでしょうか?


 

50年一括借り上げは単なるプロパガンダ?

最初に僕の考え・結論を言ってしまうと、今回T建設が「50年の一括借り上げを始めた」というのは、単なるプロパガンダに過ぎないと思っています。

なぜかと言うと、昨今サブリースに対する風当たりはとても強くなっていて、以前もレオパレスが30年のサブリース契約を14年で一方的に打ち切り、その打ち切られたオーナーと裁判をやって、レオパレス側が負けているんですよね。

レオパレスは最高裁に上告しましたが棄却され、2,730万円の損害賠償が確定しています。

この事例からも分かるとおり、“一括借り上げといっても、どうせ2年ごとに家賃を見直すんでしょ?”というのは、誰もが知っていることですし、本当に今の家賃を50年も保証してくれると信じているのは、ほんのごく一部の情弱地主くらいなわけです。

ですから、T建設も50年も家賃保証をするつもりはさらさらないと思います。

そもそも、今のT建設の役員さんたちが50年後もこの世にいるかどうか分からない中で、「50年間保証します!」と言ったところで、説得力に欠けます。

そういう意味で、単なるパフォーマンス・プロパガンダだと僕は思っています。

 

T建設の50年一括借り上げに潜むワナ

実は、今回のT建設の一括借り上げ50年保証というのは、建物を50年間保証する一環として出てきたようです。

「自分たちが造った建物を50年保証する」ということ自体は素晴らしいと思いますが、僕はこれもプロパガンダだと思っています

なぜなら、そもそも「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」の中で、新築住宅の売主は、構造耐力上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分について、10年間は保証することが義務付けられているからです。

保証が義務付けられているのは、建物の主要構造部についてで、主要構造部というのは、例えば基礎や柱、梁、防水に関することなどです。

いわゆる内装や外装については、この品確法の中では保証は義務化されていません。

そして、T建設の50年間の建物保証というのは、この品確法で定められた限られた部位(基礎・柱・梁・防水等)に関して、独自で50年まで保証するというものです。

その条件は、「10年ごとに適切な点検・メンテナンス工事をした場合に50年保証の対象になってくる」ということだと僕は思っています。

現に、「50年保証をするにあたっては、定期的な点検・メンテナンス工事していきます」みたいなことがプレスリリースに書かれていました。

では、この点検費用やメンテナンス工事費用を誰が負担するのか?というと、当然オーナーが負担することになるわけで、“50年保証”と言いながら、結局メンテナンスで儲けてやろうというスキームに僕には見えてしまいます。

そもそも、コンクリートの建物はちゃんとした施工をしていれば、保証範囲の基礎・柱・梁はノーメンテナンスでも全然もちます。

そもそも、コンクリートの建物は150年もつと言われているくらいです。

結局のところ、建物保証もプロパガンダでパフォーマンスの一環なのかなというのが正直な感想です。

とはいえ、こういうものは言ったもの勝ちで、情弱な地主たちは「50年建物を保証してくれる」+「家賃も50年保証してくれる」=これは安心だ!などと思ってしまうんでしょうね。

ですので、一定程度の受注は見込めるのではないかと思います。

T建設は業界に先駆けてこのようなサービスをぶち上げましたから、マーケティング的にはうまいやり方なのかもしれない・・・と思った次第です。


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