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「0円」で物件を買った時の税務上の注意点について

公開日: 2024年02月07日

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こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。

最近、

「物件を10万円で譲渡してもらいました!」
「物件をタダでもらいました!」

という話を色々なところで聞きます。

先日も公開コンサルをやっていたところ、0円で不動産を譲り受けた時の税金関係について質問がありました。

その時は僕が想像で回答してしまったのですが、後で聞き返してみたら、ずいぶん適当な回答をしてしまっていたんですよね・・・。

そこで今回、改めて「0円」で物件を買った時の税務上の注意点について調べてみましたので、お答えさせていただきます。ぜひ最後までご覧ください!

   

まずは無償譲渡についておさらい

そもそも、なぜ1円や0円といった価格で物件の取引が行われるのでしょうか?

それは、売主が「タダでも良いからもらってくれ!」と思っているからです。

不動産というのは持ち続けるだけで固定資産税がかかりますし、管理をしないと特定空き家に認定され、住宅用地の特例から外れて固定資産税が高くなったり、最悪の場合には行政代執行として取り壊されたりすることもあります。

しかも当然、取り壊し費用はオーナーに請求が行きます。

つまり、物件の所有者にとって、古くて使い勝手のない家は持ち続けるメリットがないのです。

だからこそ、1円や0円といった価格で物件を売りたい人がいるわけですね。

 

公開コンサルにおける質問と回答


先日、公開コンサルで受けた質問は以下の通りでした。

知り合いから0円で土地建物を譲ってもらった。鉄骨造の3階建てなので壊して更地にすれば売れるものの、壊すためには相当なお金が必要で、売主は処分に困っていたとのこと。

無償譲渡ではあるが、元オーナーからゴミ処理代を10万円もらい、10万円の物件を購入したということで契約書を作成し、差し引き0円ということにしようと思っている。売買ではあるものの、価格があまりにも安すぎるため、みなし贈与とみなされて税務署から追徴されないか心配。

この質問に対して、

「解体するのにはお金がかかるから、とりあえず解体費用の見積もり書などを取っておけば大丈夫じゃないか」という、なんとも適当な回答をしてしまいました。

しかし、実際に色々調べてみると、みなし贈与に認定される可能性もあるということがわかったのです。

 

タダ同然でも、みなし贈与に認定される可能性があり!

物件を無償譲渡した時の税金については、誰から誰に無償譲渡したのか?によって取り扱いが変わってきます。

基本的な考え方としては、無償譲渡であっても価値あるものを譲り受けたらそこに対して税金をとります、というのが税法上の原理原則です。

以下、この4つのパターンが税務的な取り扱いになります。
 
  売主  買主
1、個人⇒個人 なし 贈与税
2、個人⇒法人 所得税 法人税
3、法人⇒個人 法人税 所得税
4、法人⇒法人 法人税 法人税
      
1つずつ、具体的にみていきましょう。
 

1、個人から個人


まず、個人から個人への無償譲渡ですが、これは贈与に該当するので、贈与税が課せられます。

贈与税は重い税金なので、二重課税を防ぐため売主には税金は発生しませんが、買主に贈与税が課せられます。

いくらかかるのかというと、物件の相続税評価額を元に、贈与税の掛け値をかけて計算されます。
 

2、個人から法人


続いて、個人から法人への無償譲渡については、個人には所得税、法人には法人税が発生します。

本来は時価で売却したものとして所得税がかかりますので、「みなし譲渡所得」と呼ばれ、相場で売却したとして譲渡所得が課せられます。

一方で法人は、価値あるものを無償で譲り受けることになるので、受贈益に対して法人税が課せられます。

例えば500万円のものを0円で買い受けたとしたら、500万円分の受贈益に対して法人税が課せられるということです。
 

3、法人から個人


また、法人から個人への無償譲渡については、所有者である法人には法人税、受け取る個人には所得税が発生します。

売主の法人には、簿価と実際の価格の差額に利益が発生するなら、そこに法人税が発生します。

買主である個人には、本来価値のあるものを無償で譲り受けたとして、一時所得が発生すると見なされ、所得税が発生します。
 

4、法人から法人


最後に、法人から法人への無償譲渡ですが、これは売主にも買主にも法人税が発生します。

売主は時価で売却したとみなされて、簿価との差額に法人税が発生し、買主は時価相当額のものを譲り受けたとみなされて、そこに法人税が発生します。

 

ただし実際のところは、暗黙の了解

以上が無償譲渡に関する基本的な税務ルールです。

しかし、実務的には二束三文の土地建物をもらって、そこに贈与税なり法人税なりが課せられた、という話は聞いたことがありません

おそらく、申告すらしていないことが多いのではないでしょうか。

税務署側も、あまりガミガミ言っても大してお金が取れないのでスルーしているのかと思います。

ですが、SNSなどであからさまに「無償譲渡を受けました!」というのは言わない方が賢明です。

いきなり税務署が入ってきて、トラブルになってしまう可能性がありますので、税務の取り扱いについてはしっかり理解しておいた方が良いでしょう。

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