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日銀が利上げしたにも関わらず、円安が進む理由

公開日: 2024年04月02日

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こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。

先日、日銀の金融政策決定会合にて、マイナス金利の解除が発表されました。

一般論で言えば、日本の金利が上昇すると円高になるのがセオリーです。

日銀がゼロ金利政策を解除すれば、円高が進んでインフレも緩やかになり、日本経済はさらなる成長軌道に乗ってくるだろう・・・という期待があったのですが、実際には円安がさらに進んでしまっています。「あれ?」という感じになっていますよね(笑)

3月28日の段階で1ドル151円台半ばにまで円安が進行し、財務大臣も為替介入を示唆していました。

では、なぜ円安だと困るのでしょうか?

それは、円安が収まらないと、輸入コストが下がらないからです。

現在日本で起きているコストプッシュ型のインフレが、今後さらに加速する可能性があるんですよね。

そこで今回は、

・日銀が利上げをしたのに関わらず、なぜ円安が進んだのか?
・円安が進む日本で、我々が取るべき行動は何か?

という内容を解説します。ぜひ最後までご覧ください!
   

利上げをしたのに円安が進む3つの理由

日銀が利上げ(今回はマイナス金利の解除ですが、これも1つの利上げです)をしたにも関わらず円安が進行したのは、大きく3つの理由があると僕は考察しています。


 

理由1、市場はマイナス金利解除を織り込んでいたから


まず、日銀がマイナス金利を解除するというのは24年2月頃からリークされていました。

連日の金融政策決定会合の中で、「マイナス金利を解除するか?」という議論は新聞にもリークされていて、市場関係者の間では「ほぼマイナス金利は解除されるだろう」という認識になっていました。

そのため、3月に入ってからは一時146円台にまで円高が進んでいました。

つまりマーケットは、既に日銀の利上げを織り込み済みだったというわけです。

「(マイナス金利が解除されるだろうという)予測で買われ、(実際にマイナス金利が解除されたという)事実で売られた」と解釈することができます。


 

理由2、金融緩和は継続されるから


また、日銀の植田総裁は、「マイナス金利を解除しつつも、金融緩和を続けていく」というメッセージを出しました。

急激な利上げは経済にも悪影響なので、金融緩和を続けるというわけです。

これは、インフレに対してブレーキ(金利の引き上げ)と同時にアクセル(金融緩和)を踏んでいると解釈することができます。


 

理由3、日米の金利差は変わらないから


3つ目は、アメリカの利下げが遠のいたため、結局のところ日米の金利差は変わらないからという理由です。

これまでは、アメリカが利上げをしているのに日本がまったく利上げをしないため、日米の金利差が拡大し、「円を持っているよりもドルを買った方が儲かる」ということで円売りドル買いが進み、為替レートが円安に振れていました。

しかし、アメリカもインフレが落ち着いて、そろそろ利下げがあるのでは?と予測はされているのですが、先日のFOMC(日本でいう金融政策決定会合)では利下げが見送られました。

その理由は、アメリカのインフレ率が安定的に2%に落ち着くという確信が持てないからです。

だからこそ、アメリカは利下げを見送ったんですよね。それで日米の金利差はほとんど変わらないため、円安トレンドが継続しているというわけです。

もしアメリカが「利下げをします!」と言い出すようだと、日米の金利差が縮まるので、それは円高圧力になります。


 

円安が進むのは確実。投資をして資産を分散せよ

以上3つの理由で円安になったと、僕は考察しています。

日本では、マイナス金利が解除されて円高になるどころか、円安がますます加速しています。そうなると、インフレもますます加速する可能性が出てきます。

もちろん、2%前後の安定したインフレであれば大歓迎です。一般的に、経済成長は適度なインフレ率の上昇を伴うからです。

もっと言えば、インフレ率に応じて所得も増えていけば良いと思います。実際に今年の春闘では、大手企業の賃金が5%程度上がっていると回答していますよね。

ただ、これは名目賃金であって、インフレ率を考慮した実質賃金は未だマイナスです。

この状況に危機感を感じ、新NISAで資産運用を始めている人も多いとは思いますが、日本人に大人気の「オルカン」「S&P500」は円を売って外貨を買っているのと同じですから、円安トレンドに拍車をかけているといえます。


 

急激な利上げが歓迎されない理由


もちろん、日銀がさらに金利を上げれば円安は止まると思います。しかし、日銀は急激な利上げはしないだろうと、僕は見ています。

利上げが歓迎されない理由は2つ考えられます。

まず、国民の借金の6割ほどは住宅ローンだからです。金利が上がって住宅ローンが上がると、世論も黙っていないわけです。

そして、政府の財務コストも上がります。

そのため、バンバン利上げをすることは政府からしても容認できません。

となると、円安を食い止めるための打ち手は、アメリカがいつ利下げをするのか?という他力本願になります。

直近では為替介入の話も出ていますが、一時的な対処療法にすぎません。いわば“焼石に水”のようなものです。


 

長期的な円安トレンドの流れには抗えない


そもそも過去の歴史を振り返ってみれば、1985年のプラザ合意以降、2007年のリーマンショックまでの20数年間は、長期の円高トレンドでした。

そして、2011年に戦後最高値(1ドル75円)を更新した後、この時期を境にドル円は長期の円安傾向に突入したと僕は捉えています。

まとめると、

・1985年~2011年:円高トレンド
・2011年~現在:円安トレンド

ということです。この流れには抗えないといえるでしょう。

日本では、少子高齢化で労働人口が減少し、大きなイノベーションもこの30年間起きていません。

日本企業が今からアップル、マイクロソフト、テスラなどの米国企業に追いつくことは非常に難しいでしょう。それゆえ、円安になってしまうわけです。

また、海外勢にとっては日本が円安になっていた方が半導体工場なども設置しやすいですし、何かと都合が良いんですよね。


 

我々がとるべき対処法


では、我々はこの状況下でどんな対策を取れば良いのでしょうか?

現在の市況では、円を持っているだけでは円安&インフレで価値が毀損されていってしまいます。ですから、価値のある資産に投資する以外に生き残る術はありません

なので、投資は絶対にすべきです。

円に偏った資産を外貨に分散していかないと、絶対に生き残っていけませんので、グローバルな通貨でポートフォリオを組むのが良いと思います。


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