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新築不動産投資がプロの領域である理由
公開日: 2024年04月19日
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こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。
先日、「不動産投資家の間で重宝されていた建設会社が倒産した」というニュースが飛び込んできました。
その会社は、埼玉県戸田市の「暁建設」という会社です。ここ数年は都内でバンバン投資用マンションを建設していたようですね。
聞けば、都内の新築系の不動産投資家が一度は検討する建築会社の1つだったようです。
今回の負債総額は55億円ということで、被害を被った投資家さんもかなり多いのではないでしょうか。
去年も同様に、投資家からマンション建築を請け負っていた「ユービーエム」という江戸川区の会社が、負債総額30億円で破綻しています。
どちらも共通点は、社歴が非常に浅い会社ということです。新興の建設会社は要注意だと、改めて思いましたよね。
僕は、土地購入から新築マンションを建てる、いわゆる新築投資はプロの領域だと思っています。
それはなぜかというと、資金面、建築のノウハウはもとより、建設会社のマネジメントが素人には手をつけられない領域にあるからです。
そこで今回は、なぜ新築不動産投資が難しいのか、この倒産のニュースに絡めて解説していきます。ぜひ最後までご覧ください!
- 暁建設が倒産した経緯
- 安請け負により、4年で9倍の売上急成長
- 事業の急拡大が招いた、杜撰な管理体制
- とどめの一撃は、建築費の高騰
- 建築のプロからの視点とは
- 不動産投資家が、新規業者の発注時に気をつけるべきこと
- まとめ
暁建設が倒産した経緯
Yahoo!ニュースによると、今回倒産した暁建設は、2014年にコンクリートの基礎工事業者として創業しました。
その後、マンション建築を自ら請け負うようになり、都内で新築RCマンション投資を行なっている投資家から発注を受けるようになっていきました。
4年で9倍の売上急成長
暁建設は、通常は坪150万円のところ、110万円という破格の金額で請け負っていたようですね。
安い単価で、とにかくたくさん発注を受けて業績を伸ばしていったようです。
実際に、売上自体は
・2019年7月:6億5,100万円
・2023年7月:53億1,700万円
と、急成長しています。
ちなみに僕は、25年前はサラリーマンとして某ゼネコンに勤めていました。
そこの年間売上も50~60億円くらいでしたが、わずか4年で売上が9倍になるということは、人事や社内教育、安全管理が全く行き届かなくなることが容易に想像できます。
事業の急拡大が招いた、杜撰な管理体制
実際、ネット情報によると、なんと!現場監督が1人で10現場を掛け持ちしていたそうです。
僕がゼネコン現場にいた時、エース級の現場監督ですら3つ現場を掛け持ちしたら、管理は精一杯でした。10現場掛け持ちなんて、到底ありえない話です。
お金はどんぶり勘定になるし、施工管理も疎かになるのは火を見るより明らかです。
監督がいないのに業者が来ることになり、現場は指示もなしに作業を進めてしまいます。
例えば、
・壁が乾く前に壁紙を貼ってしまう→乾く過程でひび割れたり、クロスがぶかぶかになってしまう
といった具体で、まるで指揮者不在のオーケストラみたいになってしまうわけです。
また、法律上整備しないといけない安全管理書類もぐちゃぐちゃだと思います。
労働基準監督署からも改善命令が出されていたことが容易に想像できます。
とどめの一撃は、建築費の高騰
とどめの一撃は、建築費の高騰です。
建築現場の工期は、順調な場合でも
・基礎:2~3か月
・階数分の月数(3階建てなら3か月)
という期間がかかります。
例えば、地上5階建てであれば、【基礎2か月+5か月=7か月】がかかる計算です。現在は5階建てでも7か月は難しく、9か月はかかるかもしれません。
そして、建設中にも建築材料の価格単価は高騰していきます。
そのため、当初の請け負い単価では材料を購入できなくなる、という事態も発生してしまいます。
同社は施主に、資材高騰を理由として追加代金を払ってほしい旨を通知していました。
ただ、現場の工期が遅れていることを理由に、追加請求に応じなかった投資家も多かったようです。
結局、追加代金を払ってもらえないことで下請けへの支払いも滞り、工事が行き詰まって、倒産してしまったということです。
建築のプロからの視点とは
実は、僕ら建築のプロの間では、こうした建設会社の倒産話は珍しいものではありません。
ですから、安請け負いをする業者については徹底的に調べるのがプロの常識です。
昔、僕は銀座で8階建てのマンションを建築したことがありました。
その時に見積もりをとった一社は、他社より2割も安かったんですよね。
「これは怪しい」と思って調べたら、売上と同じだけの債務があり、さらに不渡手形をつかまされたという情報まで出てきました。
このように、資金繰りの怪しい業者は、安請け負いをして着手金をもらった後に計画倒産・・・という手口を使ってくるのです。
不動産投資家が新規業者の発注時に気をつけるべきこと
ということで我々不動産投資家は、安易に安値の業者に発注してはいけません。
新規の業者に発注する際は、発注前に
・これまでに施工した物件の完成状況やクオリティを確認
・今まさに施工している現場を視察
ということをした方が良いと思います。
また、現場の担当者(監督)には、現場の掛け持ちはしないよう予め伝えた方が良いでしょう。
先方は、「現場の掛け持ちをしないと、現場経費がかかります」と言うと思いますが、それでも現場の掛け持ちは2~3つまでに留めてもらうことが賢明です。
まとめ
というわけで今回は、「新築不動産投資がプロの領域である理由」というテーマでお話してきました。
このように、新築投資は土地を買って建築企画をして、融資を受けさえすれば成功!というわけではありません。
新築投資は、建築の知識はもとより施工管理の知識も必要で、まさしく建築のプロの領域です。
ですから、知識や経験もなく、安易に新築投資に手を出すべきではありません。やるなら相応の知識をつけてからチャレンジした方が良いでしょう。
ちなみに、不動産実務検定のマスター資格なら、そのあたりのプロの知識も身につきますので、興味のある方はぜひこちらをご覧になってみてください。
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こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。
先日、「不動産投資家の間で重宝されていた建設会社が倒産した」というニュースが飛び込んできました。
その会社は、埼玉県戸田市の「暁建設」という会社です。ここ数年は都内でバンバン投資用マンションを建設していたようですね。
聞けば、都内の新築系の不動産投資家が一度は検討する建築会社の1つだったようです。
今回の負債総額は55億円ということで、被害を被った投資家さんもかなり多いのではないでしょうか。
去年も同様に、投資家からマンション建築を請け負っていた「ユービーエム」という江戸川区の会社が、負債総額30億円で破綻しています。
どちらも共通点は、社歴が非常に浅い会社ということです。新興の建設会社は要注意だと、改めて思いましたよね。
僕は、土地購入から新築マンションを建てる、いわゆる新築投資はプロの領域だと思っています。
それはなぜかというと、資金面、建築のノウハウはもとより、建設会社のマネジメントが素人には手をつけられない領域にあるからです。
そこで今回は、なぜ新築不動産投資が難しいのか、この倒産のニュースに絡めて解説していきます。ぜひ最後までご覧ください!
- 暁建設が倒産した経緯
- 安請け負により、4年で9倍の売上急成長
- 事業の急拡大が招いた、杜撰な管理体制
- とどめの一撃は、建築費の高騰
- 建築のプロからの視点とは
- 不動産投資家が、新規業者の発注時に気をつけるべきこと
- まとめ
暁建設が倒産した経緯
Yahoo!ニュースによると、今回倒産した暁建設は、2014年にコンクリートの基礎工事業者として創業しました。その後、マンション建築を自ら請け負うようになり、都内で新築RCマンション投資を行なっている投資家から発注を受けるようになっていきました。
4年で9倍の売上急成長
暁建設は、通常は坪150万円のところ、110万円という破格の金額で請け負っていたようですね。
安い単価で、とにかくたくさん発注を受けて業績を伸ばしていったようです。
実際に、売上自体は
・2019年7月:6億5,100万円
・2023年7月:53億1,700万円
と、急成長しています。
ちなみに僕は、25年前はサラリーマンとして某ゼネコンに勤めていました。
そこの年間売上も50~60億円くらいでしたが、わずか4年で売上が9倍になるということは、人事や社内教育、安全管理が全く行き届かなくなることが容易に想像できます。
事業の急拡大が招いた、杜撰な管理体制
実際、ネット情報によると、なんと!現場監督が1人で10現場を掛け持ちしていたそうです。
僕がゼネコン現場にいた時、エース級の現場監督ですら3つ現場を掛け持ちしたら、管理は精一杯でした。10現場掛け持ちなんて、到底ありえない話です。
お金はどんぶり勘定になるし、施工管理も疎かになるのは火を見るより明らかです。
監督がいないのに業者が来ることになり、現場は指示もなしに作業を進めてしまいます。
例えば、
・壁が乾く前に壁紙を貼ってしまう→乾く過程でひび割れたり、クロスがぶかぶかになってしまう
といった具体で、まるで指揮者不在のオーケストラみたいになってしまうわけです。
また、法律上整備しないといけない安全管理書類もぐちゃぐちゃだと思います。
労働基準監督署からも改善命令が出されていたことが容易に想像できます。
とどめの一撃は、建築費の高騰
とどめの一撃は、建築費の高騰です。
建築現場の工期は、順調な場合でも
・基礎:2~3か月
・階数分の月数(3階建てなら3か月)
という期間がかかります。
例えば、地上5階建てであれば、【基礎2か月+5か月=7か月】がかかる計算です。現在は5階建てでも7か月は難しく、9か月はかかるかもしれません。
そして、建設中にも建築材料の価格単価は高騰していきます。
そのため、当初の請け負い単価では材料を購入できなくなる、という事態も発生してしまいます。
同社は施主に、資材高騰を理由として追加代金を払ってほしい旨を通知していました。
ただ、現場の工期が遅れていることを理由に、追加請求に応じなかった投資家も多かったようです。
結局、追加代金を払ってもらえないことで下請けへの支払いも滞り、工事が行き詰まって、倒産してしまったということです。
建築のプロからの視点とは
実は、僕ら建築のプロの間では、こうした建設会社の倒産話は珍しいものではありません。ですから、安請け負いをする業者については徹底的に調べるのがプロの常識です。
昔、僕は銀座で8階建てのマンションを建築したことがありました。
その時に見積もりをとった一社は、他社より2割も安かったんですよね。
「これは怪しい」と思って調べたら、売上と同じだけの債務があり、さらに不渡手形をつかまされたという情報まで出てきました。
このように、資金繰りの怪しい業者は、安請け負いをして着手金をもらった後に計画倒産・・・という手口を使ってくるのです。
不動産投資家が新規業者の発注時に気をつけるべきこと
ということで我々不動産投資家は、安易に安値の業者に発注してはいけません。
新規の業者に発注する際は、発注前に
・これまでに施工した物件の完成状況やクオリティを確認
・今まさに施工している現場を視察
ということをした方が良いと思います。
また、現場の担当者(監督)には、現場の掛け持ちはしないよう予め伝えた方が良いでしょう。
先方は、「現場の掛け持ちをしないと、現場経費がかかります」と言うと思いますが、それでも現場の掛け持ちは2~3つまでに留めてもらうことが賢明です。
まとめ
というわけで今回は、「新築不動産投資がプロの領域である理由」というテーマでお話してきました。このように、新築投資は土地を買って建築企画をして、融資を受けさえすれば成功!というわけではありません。
新築投資は、建築の知識はもとより施工管理の知識も必要で、まさしく建築のプロの領域です。
ですから、知識や経験もなく、安易に新築投資に手を出すべきではありません。やるなら相応の知識をつけてからチャレンジした方が良いでしょう。
ちなみに、不動産実務検定のマスター資格なら、そのあたりのプロの知識も身につきますので、興味のある方はぜひこちらをご覧になってみてください。
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