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建築途中でゼネコンが倒産!未完成の建物はどうなるのか?
公開日: 2024年05月17日
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こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。
最近、新築アパートを建設するゼネコンが立て続けに倒産しており、不動産投資家にとっては無視できない状況になってきています。
そこで今回は、建築を依頼していたゼネコンが潰れた場合、未完成物件の所有権はどうなるのか?について解説します。ぜひ最後までご覧ください!
- 法律上は、未完成建物の所有権は建設会社にあり
- なぜ、施主が依頼している建物なのに、施主に所有権がないのか
- ゼネコン側に担保が必要
- 支払い金額分までの所有権が発注者側にあるケースも
- 出来高以上の支払いは要注意
- 出来高以上の支払い要求は、計画倒産の可能性も・・・
- ゼネコンの下請けが部材を納入済みの場合
- まとめ
法律上は、未完成建物の所有権は建設会社にあり
建築を依頼していたゼネコンが潰れた場合、未完成物件の所有権はどうなるのでしょうか?
結論としては、たとえ建設会社が倒産しても、未完成建物の所有権は建設会社にある、というのが法律上の考え方です。
建設会社は、建築の材料を仕入れて加工して建物を建てていきますよね。
そして、建物が完成すると建設会社は発注者へ「引渡証明書」を渡します。
発注者は、その「引渡証明書」を「印鑑証明書」と合わせて法務局に提出することで、建物の所有権を得ることができます(=建物の保存登記)。
そのため、建物が完成して最終的な請負代金を支払って引き渡すまでは、建物の所有権は建設会社側にあります。
施主が依頼している建物なのに、なぜ施主に所有権がないのか
ここまでの説明を聞いて、「施主が依頼している建物なのに、施主に所有権がないのはおかしいのでは?」と感じた方もいるかもしれません。
そこで、施主と建設会社との関係を考えてみましょう。
施主と建設会社は、建設の「請負契約(=建築材料を加工して、建物を完成させて、施主に引き渡す契約)」を結んでいます。
建設=材料を仕入れて建物を建てていく過程を考えてみましょう。未完成建物というのは、建材が加工されて変化したもの、と捉えることができますよね。
そのため、(建材が加工されて変化した)未完成建物は、材料を仕入れた建設会社側に所有権がある・・・と考えれば、合点がいくのではないでしょうか。
ゼネコン側に担保が必要
また、建設会社は請負代金のすべてを受け取る前に、材料を持ち出しで仕入れ、建築を進める場合があります。
その場合、完成引き渡しをするまでは請負側(ゼネコン側)に所有権がある、としておかないと、ゼネコン側は担保になるものがない状態になってしまいますよね。
というわけで、完成引き渡しまでは、ゼネコン側の所有権が認められています。
支払い金額分までの所有権が発注者側に渡るケースも
ここまで、建物は完成引き渡しをもって建設会社から施主へと所有権が移転する、ということを解説してきました。
しかし、冒頭でもお話した通り、最近は建設途中でゼネコンが潰れてしまうケースが相次いで発生しています。
そうしたケースでは、未完成建物を施主が継続して建てていかないといけないため、施主が支払ったお金(手付金/中間金など)の分までは建物の所有権を施主側に持たせる、という裁判所の判断も出てきているようです。
出来高以上の支払いは要注意
ここで1つ気をつけておきたいのは、出来高以上にお金を払っていると、出来高以上のお金は返ってこない可能性がある、ということです。
潰れたゼネコンが請負契約を解除すれば、他の債権者に優先して過払いした請負代金は返金されるのが基本です。
ただし、場合によっては返金されない可能性もあるんですよね・・・。
こうしたトラブルを避けるためには、出来高以上の支払いをしないことが原則となります。
出来高以上の支払い要求は、計画倒産の可能性も・・・
ただし、建設の見積もりの交渉をする段階で、ゼネコン/工務店側から「そこまで値下げするなら、多めに手付金/中間金をください!」と、出来高以上の支払いを要求されることもあるんですよね。
そうした場合、ゼネコン/工務店は、先に代金を受け取って倒産する“計画倒産”を企んでいるかもしれません。
繰り返しになりますが、建設費用を支払う際には、出来高以上は払わないようにしましょう。
出来高と合わせた支払いにしておけば、たとえ途中でゼネコン/工務店が潰れたとしても、他所に発注して引継げば済む話です。
途中の工事を引き継ぐことで多少(1割程度とか)割高になっても、まったく完成しないよりは良いと思います。
下請け業者が部材を納入済みの場合は要注意
また、潰れたゼネコン/工務店の下請け業者が、お金を回収する前に建物に部材を納入しているケースがあります。例えば、ユニットバス、キッチン、サッシ・・・といった類のものです。
発注者である施主はこれらの部材のお金をゼネコンに払っているものの、ゼネコンが下請け業者に未払いのまま潰れてしまった・・・というパターンです。
これが非常にややこしいところです。
当然、発注者側はそれらの部材の支払いをしていますから、部材は発注者側のものになります。しかし、下請け業者はゼネコンの債権者になるので、現場に納入した部材が差し押さえられてしまうこともあるんですよね。
こうしたことが発生すると、下請け業者は施主に支払いを要求してくることがあり、二重払いになることも想定されるので注意が必要です。
まとめ
というわけで今回は、「建築途中でゼネコンが倒産!未完成の建物はどうなるのか?」というテーマでお話してきました。
そもそも潰れない経営体力のあるゼネコンに発注するのが一番ではありますが、インフレで建築費が上がっている中で、一円でも安くやってもらいたい気持ちはわからなくもありません。
しかし、安い金額で請け負う代わりに出来高以上の支払い(手付金/中間金)を要求された場合、計画倒産の可能性も十分ありますので、事前の企業調査を怠らないようにしましょう。
ぜひ参考にしてみてください!
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こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。
最近、新築アパートを建設するゼネコンが立て続けに倒産しており、不動産投資家にとっては無視できない状況になってきています。
そこで今回は、建築を依頼していたゼネコンが潰れた場合、未完成物件の所有権はどうなるのか?について解説します。ぜひ最後までご覧ください!
- 法律上は、未完成建物の所有権は建設会社にあり
- なぜ、施主が依頼している建物なのに、施主に所有権がないのか
- ゼネコン側に担保が必要
- 支払い金額分までの所有権が発注者側にあるケースも
- 出来高以上の支払いは要注意
- 出来高以上の支払い要求は、計画倒産の可能性も・・・
- ゼネコンの下請けが部材を納入済みの場合
- まとめ
法律上は、未完成建物の所有権は建設会社にあり
建築を依頼していたゼネコンが潰れた場合、未完成物件の所有権はどうなるのでしょうか?結論としては、たとえ建設会社が倒産しても、未完成建物の所有権は建設会社にある、というのが法律上の考え方です。
建設会社は、建築の材料を仕入れて加工して建物を建てていきますよね。
そして、建物が完成すると建設会社は発注者へ「引渡証明書」を渡します。
発注者は、その「引渡証明書」を「印鑑証明書」と合わせて法務局に提出することで、建物の所有権を得ることができます(=建物の保存登記)。
そのため、建物が完成して最終的な請負代金を支払って引き渡すまでは、建物の所有権は建設会社側にあります。
施主が依頼している建物なのに、なぜ施主に所有権がないのか
ここまでの説明を聞いて、「施主が依頼している建物なのに、施主に所有権がないのはおかしいのでは?」と感じた方もいるかもしれません。
そこで、施主と建設会社との関係を考えてみましょう。
施主と建設会社は、建設の「請負契約(=建築材料を加工して、建物を完成させて、施主に引き渡す契約)」を結んでいます。
建設=材料を仕入れて建物を建てていく過程を考えてみましょう。未完成建物というのは、建材が加工されて変化したもの、と捉えることができますよね。
そのため、(建材が加工されて変化した)未完成建物は、材料を仕入れた建設会社側に所有権がある・・・と考えれば、合点がいくのではないでしょうか。
ゼネコン側に担保が必要
また、建設会社は請負代金のすべてを受け取る前に、材料を持ち出しで仕入れ、建築を進める場合があります。
その場合、完成引き渡しをするまでは請負側(ゼネコン側)に所有権がある、としておかないと、ゼネコン側は担保になるものがない状態になってしまいますよね。
というわけで、完成引き渡しまでは、ゼネコン側の所有権が認められています。
支払い金額分までの所有権が発注者側に渡るケースも
ここまで、建物は完成引き渡しをもって建設会社から施主へと所有権が移転する、ということを解説してきました。しかし、冒頭でもお話した通り、最近は建設途中でゼネコンが潰れてしまうケースが相次いで発生しています。
そうしたケースでは、未完成建物を施主が継続して建てていかないといけないため、施主が支払ったお金(手付金/中間金など)の分までは建物の所有権を施主側に持たせる、という裁判所の判断も出てきているようです。
出来高以上の支払いは要注意
ここで1つ気をつけておきたいのは、出来高以上にお金を払っていると、出来高以上のお金は返ってこない可能性がある、ということです。
潰れたゼネコンが請負契約を解除すれば、他の債権者に優先して過払いした請負代金は返金されるのが基本です。
ただし、場合によっては返金されない可能性もあるんですよね・・・。
こうしたトラブルを避けるためには、出来高以上の支払いをしないことが原則となります。
出来高以上の支払い要求は、計画倒産の可能性も・・・
ただし、建設の見積もりの交渉をする段階で、ゼネコン/工務店側から「そこまで値下げするなら、多めに手付金/中間金をください!」と、出来高以上の支払いを要求されることもあるんですよね。
そうした場合、ゼネコン/工務店は、先に代金を受け取って倒産する“計画倒産”を企んでいるかもしれません。
繰り返しになりますが、建設費用を支払う際には、出来高以上は払わないようにしましょう。
出来高と合わせた支払いにしておけば、たとえ途中でゼネコン/工務店が潰れたとしても、他所に発注して引継げば済む話です。
途中の工事を引き継ぐことで多少(1割程度とか)割高になっても、まったく完成しないよりは良いと思います。
下請け業者が部材を納入済みの場合は要注意
また、潰れたゼネコン/工務店の下請け業者が、お金を回収する前に建物に部材を納入しているケースがあります。例えば、ユニットバス、キッチン、サッシ・・・といった類のものです。発注者である施主はこれらの部材のお金をゼネコンに払っているものの、ゼネコンが下請け業者に未払いのまま潰れてしまった・・・というパターンです。
これが非常にややこしいところです。
当然、発注者側はそれらの部材の支払いをしていますから、部材は発注者側のものになります。しかし、下請け業者はゼネコンの債権者になるので、現場に納入した部材が差し押さえられてしまうこともあるんですよね。
こうしたことが発生すると、下請け業者は施主に支払いを要求してくることがあり、二重払いになることも想定されるので注意が必要です。
まとめ
というわけで今回は、「建築途中でゼネコンが倒産!未完成の建物はどうなるのか?」というテーマでお話してきました。そもそも潰れない経営体力のあるゼネコンに発注するのが一番ではありますが、インフレで建築費が上がっている中で、一円でも安くやってもらいたい気持ちはわからなくもありません。
しかし、安い金額で請け負う代わりに出来高以上の支払い(手付金/中間金)を要求された場合、計画倒産の可能性も十分ありますので、事前の企業調査を怠らないようにしましょう。
ぜひ参考にしてみてください!
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