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地銀99行「衰退度」ランキングの読み解き方
公開日: 2024年06月14日
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こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。
先日の東洋経済に、「最新決算で採点!地銀99行『衰退度』ランキング~『金利のある世界』をモノにできる銀行はどこだ~」という記事が出ていました。
各銀行の経営体力の衰退度を分析してランキングにしたデータです。
早速見てみたところ、不動産投資家に馴染み深い銀行もランクインしていて非常に興味深かったので、今回はこのデータを基に銀行の経営指標の読み方を解説したいと思います。
この記事をご覧いただければ、
「各銀行の融資姿勢がどうなのか?」
「銀行を選ぶ際はどんな点を見ればいいのか?」
「この銀行はこういう理由で不動産投資への融資に積極的なのか!」
・・・というような裏読みができるようになります。ぜひ最後までご覧ください!
- まずは経営指標の基礎知識を整理
- 自己資本比率の規制は都銀の方が厳しめ
- 自己資本比率を維持するのが大変
- 衰退度上位の銀行のデータを読み解く
- スルガ銀行は不良債権比率が非常に高い
- その他、著名な上位ランクインの銀行
- 衰退度下位の銀行データを読み解く
- まとめ
まずは経営指標の基礎知識を整理
データを見ていく前に、まずは経営指標の前提知識をお話ししましょう。
自己資本比率の規制は都銀の方が厳しめ
銀行の経営指標で着目するのが、「自己資本比率」です。
各銀行には、「自己資本比率をこれ以上は保ってくださいね」というルールが定められています。
これは「バーゼル規制」といって、スイスで決められている国際的な統一基準です。
具体的な基準は地銀と都銀で異なっており、都銀は8%、地銀は4%となっています。
国際決済を担当する都銀の自己資本比率は、地銀より厳しめの水準になっているんですね。
自己資本比率を維持するのが大変
さて、各銀行はこの自己資本比率を維持するために躍起になっているわけですが、自己資本比率が下がる原因はなんでしょうか。
原因の一つは貸倒引当金です。
貸し倒れリスクの高い債権については、銀行は50~100%の貸倒引当金を利益準備金の中から積み立てないといけません。
しかし、そうすると自己資本比率が下がってしまいます。
だから銀行は、より安全性の高い貸出先に融資しようとするわけです。
例えば、住宅ローンは貸し倒れリスクの低い債権となっています。だから、ほとんど貸倒引当金を積まなくて良いんですよね。
一方で、企業への融資や不動産投資への融資となると、50~100%程度の貸倒引当金を積み立てないといけなくなります。
もし本当に貸し倒れてしまったら大変ですから、貸し倒れリスクのヘッジとして、銀行は多めに担保をとったり金利を上乗せしたりして貸し出すわけです。
このような銀行の内情をわかっていないと、
「担保はないけれど、利回りが良いんだから融資できるでしょ?」
というような、的を射ない交渉をすることになってしまいます。
バーゼル規制に基づくルールを守るがゆえの銀行のスタンスを前提としてランキングを見ると、非常に面白いですね。
衰退度上位の銀行のデータを読み解く
では、前提知識を頭に入れたところでデータを見ていきましょう。
スルガ銀行は不良債権比率が非常に高い
僕らに馴染みのあるスルガ銀行は、ワースト5に入っています。
不良債権比率は9.88%です。10件に1件は不良債権という、非常に高い割合ですね。つまり、リスクの高い融資をたくさんしているということです。
一方で、自己資本比率は14%です。バーゼル規制で地銀が必要と定められている自己資本比率は「4%」ですから、その3倍以上(!)もあります。
一昔前のスルガ銀行は、かなり危ない物件に対しても高金利でバンバン融資をしていました。
それゆえ不良債権比率が高いわけですが、それでもカバーできているのは、自己資本比率が高いからということです。
その他、著名な上位ランクインの銀行
また、東京、千葉方面で有名な東日本銀行も18位にランクインしています。
自己資本比率:8.25%
不良債権比率:3.2%
不良債権比率が3%を超えているのはなかなか高いです。
また、東和銀行も30位にランクインしています。
自己資本比率:10.05%
不良債権比率:2.49%
比較的自己資本比率は高いものの、貸し倒れている不良債権が多いようです。
衰退度下位の銀行データを読み解く
一方で、僕らにとっても馴染み深い「静岡銀行」「千葉銀行」「横浜銀行」は、衰退ランキング下位にランクインしています(衰退ではなく、伸びているということですね)。
データをみてみましょう。
順位
銀行名
自己資本比率
不良債権比率
97位
静岡銀行
14.86%
0.95%
98位
千葉銀行
15.16%
0.92%
99位
横浜銀行
15.41%
1.10%
これら3行の特徴は、自己資本比率が高く、不良債権が少ない=安全な融資をしているということです。
裏を返せば、担保もしっかり取っており、さらには担保だけでなく収益性が確保できる貸出先に融資をしているといえます。
つまり、これらの銀行で融資をしてもらおうと思ったら、しっかりした担保がある人や、収益性が高い物件でないとダメということですね。
まとめ
というわけで今回は、「地銀99行「衰退度」ランキングの読み解き方」というテーマでお話してきました。
このランキングの記事URLは冒頭に貼っていますので、皆さんがお付き合いのある銀行のデータがどうなっているかぜひチェックしてみてください。
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こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。
先日の東洋経済に、「最新決算で採点!地銀99行『衰退度』ランキング~『金利のある世界』をモノにできる銀行はどこだ~」という記事が出ていました。
各銀行の経営体力の衰退度を分析してランキングにしたデータです。
早速見てみたところ、不動産投資家に馴染み深い銀行もランクインしていて非常に興味深かったので、今回はこのデータを基に銀行の経営指標の読み方を解説したいと思います。
この記事をご覧いただければ、
「各銀行の融資姿勢がどうなのか?」
「銀行を選ぶ際はどんな点を見ればいいのか?」
「この銀行はこういう理由で不動産投資への融資に積極的なのか!」
・・・というような裏読みができるようになります。ぜひ最後までご覧ください!
- まずは経営指標の基礎知識を整理
- 自己資本比率の規制は都銀の方が厳しめ
- 自己資本比率を維持するのが大変
- 衰退度上位の銀行のデータを読み解く
- スルガ銀行は不良債権比率が非常に高い
- その他、著名な上位ランクインの銀行
- 衰退度下位の銀行データを読み解く
- まとめ
まずは経営指標の基礎知識を整理
データを見ていく前に、まずは経営指標の前提知識をお話ししましょう。自己資本比率の規制は都銀の方が厳しめ
銀行の経営指標で着目するのが、「自己資本比率」です。
各銀行には、「自己資本比率をこれ以上は保ってくださいね」というルールが定められています。
これは「バーゼル規制」といって、スイスで決められている国際的な統一基準です。
具体的な基準は地銀と都銀で異なっており、都銀は8%、地銀は4%となっています。
国際決済を担当する都銀の自己資本比率は、地銀より厳しめの水準になっているんですね。
自己資本比率を維持するのが大変
さて、各銀行はこの自己資本比率を維持するために躍起になっているわけですが、自己資本比率が下がる原因はなんでしょうか。
原因の一つは貸倒引当金です。
貸し倒れリスクの高い債権については、銀行は50~100%の貸倒引当金を利益準備金の中から積み立てないといけません。
しかし、そうすると自己資本比率が下がってしまいます。
だから銀行は、より安全性の高い貸出先に融資しようとするわけです。
例えば、住宅ローンは貸し倒れリスクの低い債権となっています。だから、ほとんど貸倒引当金を積まなくて良いんですよね。
一方で、企業への融資や不動産投資への融資となると、50~100%程度の貸倒引当金を積み立てないといけなくなります。
もし本当に貸し倒れてしまったら大変ですから、貸し倒れリスクのヘッジとして、銀行は多めに担保をとったり金利を上乗せしたりして貸し出すわけです。
このような銀行の内情をわかっていないと、
「担保はないけれど、利回りが良いんだから融資できるでしょ?」
というような、的を射ない交渉をすることになってしまいます。
バーゼル規制に基づくルールを守るがゆえの銀行のスタンスを前提としてランキングを見ると、非常に面白いですね。
衰退度上位の銀行のデータを読み解く
では、前提知識を頭に入れたところでデータを見ていきましょう。スルガ銀行は不良債権比率が非常に高い
僕らに馴染みのあるスルガ銀行は、ワースト5に入っています。
不良債権比率は9.88%です。10件に1件は不良債権という、非常に高い割合ですね。つまり、リスクの高い融資をたくさんしているということです。
一方で、自己資本比率は14%です。バーゼル規制で地銀が必要と定められている自己資本比率は「4%」ですから、その3倍以上(!)もあります。
一昔前のスルガ銀行は、かなり危ない物件に対しても高金利でバンバン融資をしていました。
それゆえ不良債権比率が高いわけですが、それでもカバーできているのは、自己資本比率が高いからということです。
その他、著名な上位ランクインの銀行
また、東京、千葉方面で有名な東日本銀行も18位にランクインしています。
自己資本比率:8.25%
不良債権比率:3.2%
不良債権比率が3%を超えているのはなかなか高いです。
また、東和銀行も30位にランクインしています。
自己資本比率:10.05%
不良債権比率:2.49%
比較的自己資本比率は高いものの、貸し倒れている不良債権が多いようです。
衰退度下位の銀行データを読み解く
一方で、僕らにとっても馴染み深い「静岡銀行」「千葉銀行」「横浜銀行」は、衰退ランキング下位にランクインしています(衰退ではなく、伸びているということですね)。データをみてみましょう。
順位 | 銀行名 | 自己資本比率 | 不良債権比率 |
97位 | 静岡銀行 | 14.86% | 0.95% |
98位 | 千葉銀行 | 15.16% | 0.92% |
99位 | 横浜銀行 | 15.41% | 1.10% |
これら3行の特徴は、自己資本比率が高く、不良債権が少ない=安全な融資をしているということです。
裏を返せば、担保もしっかり取っており、さらには担保だけでなく収益性が確保できる貸出先に融資をしているといえます。
つまり、これらの銀行で融資をしてもらおうと思ったら、しっかりした担保がある人や、収益性が高い物件でないとダメということですね。
まとめ
というわけで今回は、「地銀99行「衰退度」ランキングの読み解き方」というテーマでお話してきました。このランキングの記事URLは冒頭に貼っていますので、皆さんがお付き合いのある銀行のデータがどうなっているかぜひチェックしてみてください。
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