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政府系民泊ファンドの闇について

公開日: 2024年11月08日

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こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。

先日のPRタイムズに、「政府系の民泊ファンドが立ち上がった」というプレスリリースが出ていました。

今回はこのニュースについて、僕独自の見方と、政府系民泊ファンドに潜んだ闇について解説をしてみたいと思います。ぜひ最後までご覧ください!


ファンド設立の概要と背景
設立の経緯
ファンドの動き
政府系民泊ファンドが“民業圧迫”といえる理由
受け皿が必要なら、180日ルールを撤廃すれば良い話
民泊新法により、約半分の民泊事業者が廃業へ
民泊はホテルの事業を圧迫しない
政府系ファンドの参入により、競争環境が歪む
真の狙いは天下り先確保の可能性・・・
インバウンドの需要増だけでは説明がつかない
政府は規制緩和、運営面でのルールづくりを

 

ファンド設立の概要と背景

設立の経緯


まず、政府系金融機関の日本政策投資銀行が、民泊に特化した不動産ファンドを設立しました。

最近はインバウンド客が増えてきたということで、国内のホテルが足りていない状況です。

政府は、2030年までに訪日外国人旅行者数6,000万人達成の目標を掲げており、訪日外国人旅行者数は今後も増加することが見込まれます。

そのインバウンド客の受け皿として、都市型の既存マンションを活用して民泊施設の整備を後押しするという狙いがあるようです。

ファンドの動き


この民泊ファンドはすでに都心の1 棟マンションを 5 棟入手したとのことです。

運営は民間の「matsuri technologies株式会社」(僕は知らなかったのですが、民泊事業を運営している会社とのことです)が一括で借り上げて運営していくとのこと。

さらに、将来的には旅行会社や民間の金融機関からも出資を募り、100億円規模もの不動産保有ファンドを目指すということのようです。


政府系民泊ファンドが“民業圧迫”といえる理由

さて、このニュースを聞いて僕が率直に思ったのは、「これは民業圧迫以外の何者でもない」ということです。

一体どういうことでしょうか?

受け皿が必要なら、180日ルールを撤廃すれば良い話


まず、宿泊施設が足りないという状況を解決するのであれば、民泊運営の180 日ルールを外すだけでいいと思うんですよね。

現在、民泊運営には180 日ルールというものがあります。

これは、旅館業法の許可を取っていない民泊や特区民泊以外の民泊は、年間で 180 日以上の運営をしてはいけないという謎のルールのことです。

民泊新法により、約半分の民泊事業者が廃業へ


この180日ルールは、 2018 年の民泊新法によって制定されました。

この影響で、約半数もの民泊事業者が廃業に追い込まれているんですよね。

実際に、僕も保有しているアパートで民泊を運営してみましたが、180 日ルールがあるおかげで、普通に 2 年契約で賃貸に出した時と収益性はあまり変わらなかったです。

そもそも、民泊はホテルの事業を圧迫しない


このルールは、民泊が既存のホテル事業を圧迫しないように、という目的で制定されたのだと思います。

しかし、今やホテルはどこに行っても満室ですから、民泊が既存のホテル事業を圧迫するはずがありません。

その上、現在はインフレによるコスト高で新規のホテル建設もなかなか進んでいない状況なわけです。

以上の理由から、インバウンドの受け入れ先を確保したいというのであれば、民泊の180日ルールの制限を解除すれば済む話なんですよ。

政府系ファンドの参入により、競争環境が歪む


政府系ファンドが民泊業界に参入するようになったら、民泊業界全体の競争環境は歪みますよね。

しかも、政府系ファンドがターゲットとしているのは、都市部の中古マンションを丸ごと購入して民泊に活用するというやり方です。

こんなの、個人の民泊事業者が真似できるスケールじゃないわけですよ。

明らかに民業圧迫じゃないですか?

民間企業が同じことをやろうとしても膨大な初期投資が必要ですし、180 日ルールがある限り、収益の面で見合ってこないというリスクが伴います。

ですので、この状況下で政府が民泊ファンドを作るというのは、民業を圧迫するどころか、小規模な民泊事業者を市場から排除することにもなりかねないわけですよ。


真の狙いは、天下り先確保の可能性・・・

では、どこにこの問題の本質があるのか?と考えた時に、僕がパッと思い浮かんだのは、「天下り先の確保」ですよね。

インバウンドの需要増だけでは説明がつかない


繰り返しになりますが、インバウンド客の受け入れ問題に関しては180 日ルールを撤廃するだけでいいはずです。

なのに、なぜ政府系の機関がこんなファンドを作るのか?

結局は、この祭りなんとかという民泊業者に政府の天下りを受け入れさせ、その見返りとして一括運営を任せる・・・というところがもう透けて見えるわけです。

もちろん、本質はわからないですよ。しかし、僕が邪推するのであれば、もう天下りの受け皿にしか見えてこないわけです。

ということで、僕はこの政府系民泊ファンドに関しては強い疑念を抱きましたよね。

政府は規制緩和、運営面でのルールづくりを


そもそも、政府は天下り先を確保する前にもっとやることがあるだろう、と僕は思っています。

例えば、規制緩和やサポートがきちんと行き渡れば、民泊の民間事業者もインバウンドの需要にすぐに対応できるし、貢献もできるわけです。

そうすれば、現在の空き家問題も解決するわけじゃないですか。

その運営面でのルール作りというものを、政府はもっとしていった方がいいんじゃないかなと僕は思います。


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