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築73年の荒廃団地に入居者が殺到した理由

公開日: 2025年01月07日

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こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。

先日、築古RCマンションや団地の再生に大きな希望が持てる事例を健美家のコラムで見つけました。

本日はこの記事について詳しく解説しつつ、築古物件の今後の可能性についてお話ししたいと思います。ぜひ最後までご覧ください!

参考:築73年4階建て総24戸のレトロ団地を90万円で購入するも、ライフライン修復に悪戦苦闘【団地再生物語・前編】|不動産投資の健美家


物件の購入経緯
築73年の物件に入居者が殺到!大家さんの秘策とは?
1.事前の内覧会を実施
2.物件の多用途利用を提案
3.DIY賃貸の導入
4.家賃設定の工夫
5.定期借家契約の活用
まとめ

 

物件の購入経緯

今回の物件は、北九州市の門司港にある築73年の団地です。

この団地が入札で販売されていましたが、1回目は入札者がおらず、2回目にとある大家さんが90万円で落札しました。

この物件は2棟で構成されており、1棟は全24戸のRC造、もう1棟は全10棟のコンクリートブロック造です。

この2棟を90万円という破格の価格で購入されたのですが、築73年で、最後の入居者が退去してから3年も経過していたため、老朽化がかなり進んでいました。

ただし、どこか味わいのある建物で、間取りは6畳と8畳そしてキッチンがあり、現在の感覚でいえば2Kの間取りとなっています。

この物件は1949年に建設され、住宅供給公社が70年の使用期限を設定していました。

そのため、築70年で全住民に退去してもらったという経緯があります。

実際、様々なデベロッパーが調査を実施したようですが、古いとはいえ建物が2棟もあり、しかも崖地に建っているため、解体費用や新築した場合の採算が合わないという理由で、応札者が現れませんでした

結果的に、入札者1人という状況で、この個人の大家さんが90万円で落札したというわけです。

そして、この大家さんの取り組みが非常に興味深いものでした。

 

築73年の物件に入居者が殺到!大家さんの秘策とは?

この物件は、落札後すぐに1棟目24戸が全て埋まり、現在は満室運営をしているそうです。

大家さんの特徴的な取り組みを5つのポイントにまとめましたので、順にみていきましょう。

1.事前の内覧会を実施


この物件は放置状態だったため、電気・ガス・水道が使用できないという制約がありました。

そもそも73年前の新築時にはお風呂がなく、後にベランダを改造して設置された形跡があります。

そのため、住居以外の用途も視野に入れ、クリエイティブな使用方法を想定した内覧会を実施したことが成功の鍵だったと考えられます。

2.物件の多用途利用を提案


また、自治体の習い事教室などにも内覧会を案内し、幅広い層へアプローチしたこともポイントです。

事前の内覧会では、住居以外のコミュニティースペースとしての利用を提案し、ライフライン未整備等のデメリットを逆手に取った工夫を施したということです。

このように、内覧会を通じて見学者の想像力を刺激し、様々な用途の可能性を提示した結果、秘宝館や占いの部屋、各種教室、私設図書室、設計士のオフィス、住宅会社の工務店のモデルルームなど、ほぼ全てが居住以外の用途での契約となりました。

3.DIY賃貸の導入


また、特に特徴的だったのは、リフォームをせずにそのまま貸し出すという発想です。

募集前の内覧会では、DIYが可能な賃貸であることをアピールしていました。

DIY型賃貸のメリットとして、入居者側で自由な改装が可能という点が挙げられます。

また、原状回復も不要なため、退去時の敷金精算の心配もありません。

オーナー側にとっても、リフォームしていない部屋を貸し出し、改装された状態で返却してもらえるため、双方にとってメリットのある仕組みとなっています。

4.家賃設定の工夫


さらに、家賃設定も非常に面白いです。

当初は月額1万円で、3年後に3万円に値上げするというスキームを採用しています。

この仕組みでは、当初3年間の家賃差額、つまり2万円×36ヶ月=72万円を入居者がDIY費用として負担するという発想になります。

オーナーとしては、1万円×24戸×12ヶ月で年間288万円の収入があり、3年間で850万円以上が貯まるため、これを3年後の外装改修費用に充てる計画です。

単純計算すると、年間収入288万円に対して投資額90万円という構図で、利回りは320%となります。

初期家賃を1万円に抑え、3年後に適正価格の3万円に引き上げることで、大家側は改修費用を確保しつつ、長期的な収益性も担保できる仕組みとしています。

5.定期借家契約の活用


コラムには明記されていませんが、3年後の家賃引き上げを円滑に行うため、定期借家契約を採用していると僕は推測しています。

まとめ

というわけで、今回は健美家のコラムを基に「築73年の荒廃団地に入居者が殺到した理由」について解説しました。

今回の事例は、今後の団地再生に大きなヒントを与えてくれる事例といえるでしょう。

今後、このような新しい形の再生方法は増えていくと予想されます。

当初は非常に安価な賃料でDIY型賃貸として提供し、クリエイティブな利用者や教室運営者などにPRしていく手法は、全国の空き家・古家問題の解決に期待が持てる内容だと思います。


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