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隣地を地上げしてマンション建て替え?に思うこと
公開日: 2025年01月27日
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こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。
先日、国交省が新たなマンション建て替えの推進のために法整備を進めているというニュースがありましたので、この件について解説していきたいと思います。
国交省がマンション建て替え推進の法改正を検討
マンション建て替えの難しさとは
人口減少社会で、従来の建て替え成功スキームは通用しない
建て替えの難しさ①住民の費用負担
建て替えの難しさ②住民間の合意形成
国土交通省の法改正の動きとは
即効性のある解決策とは全然言えないワケ
結論、建て替えは難しい。今ある建物を大切に使おう
国交省がマンション建て替え推進の法改正を検討
今や、全国には数え切れないほどたくさんの分譲マンションがあります。
そんな中、昨年秋くらいに、
「マンションの建て替えを1世帯あたり追加で2,000万円負担したとしても、建て替え可能になる築古のマンションは1%未満」
という衝撃的なデータが発表されました。
僕のYouTubeでも「日本のマンションの99%は建て替え不可能です」というテーマで動画をアップし、大きな反響をいただきました
参考: 【悲報】日本のマンションの99%は建て替え不可能です【647】
正直なところ、現実問題としてマンションの建て替えはほぼ不可能です。
しかし、国土交通省もこの状況を放置するわけにはいかず、マンションの建て替えを推進しやすくするための法改正を検討しているということなんですね。
マンション建て替えの難しさとは
そもそもマンションの建て替えは、どうすれば実現できるのでしょうか。
基本的には、マンションの容積率を2倍にすると床面積も2倍になるため、増えた分の住戸を新たに分譲することで、再開発の費用を賄うという手法が取り入れられています。
現在成功している建て替えは、容積率をアップさせて分譲戸数を増やし、それを分譲することで建て替え費用に充てるというものです。
人口減少社会で、従来の建て替え成功スキームは通用しない
ところが、容積率を2倍にすれば全てのマンションの建て替えが成功するかというと、そうではありません。
分譲マンションの戸数が現在の2倍になるということは、住む人もそれだけの数が必要になるということです。
人口がこれからどんどん減っていく日本の中で、このスキームが成立する可能性は極めて低いといえます。
さらに、10階建ての分譲マンションが20階になれば、近隣に影が落ち、日照や圧迫感などの問題も生じます。
建て替えの難しさ①住民の費用負担
加えて問題なのは、容積率をアップさせたとしても、もともとの世帯が1世帯あたり約2,000万円を負担しなければ建て替えができないということです。
これは現在の建築費の高騰が大きな理由となっています。
建て替えの難しさ②住民間の合意形成
また、住民間の合意形成の難しさも建て替えが難しくなる原因です。
現在の区分所有法では、全体の5分の4以上の賛同がないと建て替えの決議ができません。
ですので、これを4分の3に引き下げて合意形成を容易にしようとする動きがあります。
しかし、建て替え問題に直面するマンションの住民は、おそらく現役世代ではなく、年金生活者が中心でしょう。
70歳や80歳になれば人生の終わりが近づいていますし、1世帯当たりの貯蓄が2,000万円に満たないケースもあります。
その中で、マンションの建て替えのために2,000万円を負担するか(できるか)どうかは疑問です。
つまり、合意形成が非常に困難になっているのです。
仮に全員が2,000万円を負担し、建て替えすることに同意したとしても、他にもさまざまな問題があり、建て替えができるマンションは1%以下しかないという現実があります。
国土交通省の法改正の動きとは
では、こういった状況に抗って、国土交通省はどのような動きをしているのでしょうか?
国土交通省は、5分の4の合意形成の条件を3分の4に引き下げるだけでなく、近隣の土地所有者と合意し、再開発地域を拡大することを考えています。
つまり、縦ではなく横に広げることで再開発をしやすくしようとしているのです。
具体的には、近隣の地主や戸建て住宅所有者に土地を提供してもらい、その見返りとして区分所有権を与えるという法整備を検討しています。
即効性のある解決策とは全然言えないワケ
開発地域を隣地まで広げることで、建物の高さを抑えながら容積を2倍にし、床面積を稼ぐことができれば、近隣への日影の問題は解決できるかもしれません。
しかし、これは以前から建設会社が行なってきた地上げ、つまり等価交換の手法にすぎません。
僕は開発が得意な建設会社で働いていたので分かりますが、実際のところ、土地を提供してもらい、その代わりに完成したマンションの上層階に住んでもらう・・・というスキームは、何十年も時間がかかる上、すべての人が隣地を提供してくれるとは限りません。
法整備をしたところで強制力はないため、即効性のある解決策とは言えません。
結論、建て替えは難しい。今ある建物を大切に使おう
結論として、再開発による再建築はやはり難しいと僕は思います。
結局のところ、今ある建物を長期的に大切に修繕し、できるだけ長く使用できるためのメンテナンスを継続していくことが、唯一の現実的な解決策といえるでしょう。
この建て替え問題については、動画でもっと詳しく解説していますので、ぜひご覧いただければと思います。
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こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。
先日、国交省が新たなマンション建て替えの推進のために法整備を進めているというニュースがありましたので、この件について解説していきたいと思います。
国交省がマンション建て替え推進の法改正を検討
マンション建て替えの難しさとは
人口減少社会で、従来の建て替え成功スキームは通用しない
建て替えの難しさ①住民の費用負担
建て替えの難しさ②住民間の合意形成
国土交通省の法改正の動きとは
即効性のある解決策とは全然言えないワケ
結論、建て替えは難しい。今ある建物を大切に使おう
国交省がマンション建て替え推進の法改正を検討
今や、全国には数え切れないほどたくさんの分譲マンションがあります。そんな中、昨年秋くらいに、
「マンションの建て替えを1世帯あたり追加で2,000万円負担したとしても、建て替え可能になる築古のマンションは1%未満」
という衝撃的なデータが発表されました。
僕のYouTubeでも「日本のマンションの99%は建て替え不可能です」というテーマで動画をアップし、大きな反響をいただきました
参考: 【悲報】日本のマンションの99%は建て替え不可能です【647】
正直なところ、現実問題としてマンションの建て替えはほぼ不可能です。
しかし、国土交通省もこの状況を放置するわけにはいかず、マンションの建て替えを推進しやすくするための法改正を検討しているということなんですね。
マンション建て替えの難しさとは
そもそもマンションの建て替えは、どうすれば実現できるのでしょうか。基本的には、マンションの容積率を2倍にすると床面積も2倍になるため、増えた分の住戸を新たに分譲することで、再開発の費用を賄うという手法が取り入れられています。
現在成功している建て替えは、容積率をアップさせて分譲戸数を増やし、それを分譲することで建て替え費用に充てるというものです。
人口減少社会で、従来の建て替え成功スキームは通用しない
ところが、容積率を2倍にすれば全てのマンションの建て替えが成功するかというと、そうではありません。
分譲マンションの戸数が現在の2倍になるということは、住む人もそれだけの数が必要になるということです。
人口がこれからどんどん減っていく日本の中で、このスキームが成立する可能性は極めて低いといえます。
さらに、10階建ての分譲マンションが20階になれば、近隣に影が落ち、日照や圧迫感などの問題も生じます。
建て替えの難しさ①住民の費用負担
加えて問題なのは、容積率をアップさせたとしても、もともとの世帯が1世帯あたり約2,000万円を負担しなければ建て替えができないということです。
これは現在の建築費の高騰が大きな理由となっています。
建て替えの難しさ②住民間の合意形成
また、住民間の合意形成の難しさも建て替えが難しくなる原因です。
現在の区分所有法では、全体の5分の4以上の賛同がないと建て替えの決議ができません。
ですので、これを4分の3に引き下げて合意形成を容易にしようとする動きがあります。
しかし、建て替え問題に直面するマンションの住民は、おそらく現役世代ではなく、年金生活者が中心でしょう。
70歳や80歳になれば人生の終わりが近づいていますし、1世帯当たりの貯蓄が2,000万円に満たないケースもあります。
その中で、マンションの建て替えのために2,000万円を負担するか(できるか)どうかは疑問です。
つまり、合意形成が非常に困難になっているのです。
仮に全員が2,000万円を負担し、建て替えすることに同意したとしても、他にもさまざまな問題があり、建て替えができるマンションは1%以下しかないという現実があります。
国土交通省の法改正の動きとは
では、こういった状況に抗って、国土交通省はどのような動きをしているのでしょうか?国土交通省は、5分の4の合意形成の条件を3分の4に引き下げるだけでなく、近隣の土地所有者と合意し、再開発地域を拡大することを考えています。
つまり、縦ではなく横に広げることで再開発をしやすくしようとしているのです。
具体的には、近隣の地主や戸建て住宅所有者に土地を提供してもらい、その見返りとして区分所有権を与えるという法整備を検討しています。
即効性のある解決策とは全然言えないワケ
開発地域を隣地まで広げることで、建物の高さを抑えながら容積を2倍にし、床面積を稼ぐことができれば、近隣への日影の問題は解決できるかもしれません。
しかし、これは以前から建設会社が行なってきた地上げ、つまり等価交換の手法にすぎません。
僕は開発が得意な建設会社で働いていたので分かりますが、実際のところ、土地を提供してもらい、その代わりに完成したマンションの上層階に住んでもらう・・・というスキームは、何十年も時間がかかる上、すべての人が隣地を提供してくれるとは限りません。
法整備をしたところで強制力はないため、即効性のある解決策とは言えません。
結論、建て替えは難しい。今ある建物を大切に使おう
結論として、再開発による再建築はやはり難しいと僕は思います。結局のところ、今ある建物を長期的に大切に修繕し、できるだけ長く使用できるためのメンテナンスを継続していくことが、唯一の現実的な解決策といえるでしょう。
この建て替え問題については、動画でもっと詳しく解説していますので、ぜひご覧いただければと思います。
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