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日本はなぜ外国人の不動産購入を規制できないのか?
公開日: 2025年05月17日
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こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。
北海道では、一昔前からニセコ、最近では富良野あたりで外国人による不動産購入が急増しています。
また、水源地が買われているという噂もありますし、少し前には沖縄の無人島を中国人が購入したというニュースが話題になりました。
さらに、東京の湾岸エリアを中心に、外国人がタワーマンションを買い漁っているという状況があります。
こうした外国人による不動産購入の中には、安全保障上好ましくないケースも散見されます。
しかし、日本には外国人の不動産購入を規制できない背景があるのです。
さらに興味深いことに、国土交通省は外国人による日本国内の不動産取引を円滑化させるためのマニュアルを作成しています。
僕も最近このマニュアルを見ましたが、その内容は契約手続きや税金に関する情報を英語のパンフレットにしたものです。
これは実質的に、「安心して日本の土地を買ってください」と読めなくもない内容になっています。
ということで本日は、日本はなぜ外国人による不動産購入を規制しないのか?この背景について解説していきます。ぜひ最後までご覧ください。
日本が外国人による不動産購入を規制できない3つの理由
諸外国の不動産購入規制の実態
日本の現状と今後の課題
規制強化がなければどのようなリスクが生じるか
日本が外国人による不動産購入を規制できない3つの理由
外国人による不動産購入を日本が規制できない理由は主に3つあります。
- WTOのサービス貿易に関する一般協定(GATS)による制約
この条約の中には“内国民待遇(ないこくみんたいぐう)の原則”というものがあります。内国民待遇とは「相手国の国民を自国民と同等に待遇すること」で、つまり外国人にだけ不利な扱いをしてはいけないということです。
日本は1995年にこのGATSに加盟しましたが、その際に土地取引に対する留保をしなかったのです。当時はバブルが崩壊した直後ですから、日本としては外資を呼び込みたいという背景もあったと思われます。
しかし、その後、中国を中心とした資本が日本各地の土地を買い漁るようになっても、日本はこの「内国民待遇の原則」を撤回せず、外国人による不動産購入の規制が困難になってしまったというわけです。
- 憲法による財産権の保証
財産権は日本人だけでなく外国人にも適用されます。最高裁の判例でも、外国人も日本人と同様に財産を持つ自由が保障されていると解釈されています。
したがって、外国人だからという理由で日本の土地取得を禁止することは憲法違反の疑いが生じるというわけです。
- 既存の規制法律が使われていない
実は日本にも「外国人土地法」という法律が存在します。
その第1条には、「その外国人・外国法人が属する国が制限している内容と同様の制限を政令によってかけることができる」と定められています。いわゆる“相互主義”というものです。また第4条では、「国防上必要な地域では、外国人・外国法人の土地に関する権利の取得を禁止、または条件もしくは制限をつけることができる」とされています。
しかし、この法律に基づく政令はこれまで一度も制定されたことがありません。つまり、外国人による不動産購入を制限できる法律はあるけれども、使われていないというのが実情というわけです。
諸外国の不動産購入規制の実態
国際法上では、“相互主義”の考え方が基本です。
つまり、日本人が海外の国で不動産の所有権を持つことができる場合には、その国の人にも日本での所有権を認めるべきという考え方があるわけです。
では、他国では不動産購入に関してどのような規制があるのでしょうか。主要国の不動産購入規制の実態をまとめたものが以下です。
・中国:
外国人による土地の所有は認められず、リース権(住宅用地の場合70年)のみが認められています。
・オーストラリア:
外国人は新築物件しか購入できません。以前は中古物件も購入でき、一定額以上を投資すれば永住権(ビザ)も取得できましたが、中国人投資家の急増により不動産価格が高騰したため、規制が強化されました。
・アメリカ:
基本的には所有権を取得できますが、国家安全保障上の懸念がある取引を審査・禁止できる制度が設置されています。国防上重要な地域については制限が可能です。
・シンガポール:
外国人は物件価格の60%という高額な税金(印紙税)を支払う必要があります。
・マレーシア:
基本的には所有権を取得できますが、地域によってはリース権のみであったり、外国人は100万リンギット以上の物件しか買えなかったり、という制限があります。安い物件を外国人が買い占めてしまうと地元の人が物件を買えなくなってしまうので、それを防ぐためです。
日本の現状と今後の課題
ということで、日本以外の国は自国の安全保障と国益を守るために、様々な規制や課税制度を整えています。
一方、日本では外国人がどこでも所有権を取得できてしまいます。
一応、2022年に「重要土地等調査法」が制定され、防衛上重要な施設の周辺の土地や離島などの状況を国が把握し、利用規制できるようになりましたが、水源地や無人島などの土地に関しては行き届いていません。
僕の考えでは、相互主義とは言っても、諸外国ではリース権しか取得できない場合もあるため、日本ももう少し土地・不動産取引に関する外国人規制を強化すべきだと思います。
例えば、外国人が購入する場合には不動産取得税を2~3倍にするなどの措置や、オーストラリアのように新築物件しか購入できないようにするなどの方法が考えられます。
規制強化がなければどのようなリスクが生じるか
もしも規制をせずに、外国人による無制限の不動産購入を許容すると、日本にはどのようなリスクが生じるのでしょうか。
例えば、次のようなリスクが生じる可能性があります。
- 税収リスク:外国人所有者からは税金の徴収が困難であり、滞納される恐れがあります。
- 安全保障上のリスク:国家安全保障への脅威となりうる場所が外国人所有になることで、問題が生じる可能性があります。
- 地域経済の破壊:湾岸エリアのタワーマンションなどのように、外国人が集中的に購入することで価格高騰し、地域住民が不動産を買えなくなるといった問題が発生します。
以上、本日は「日本はなぜ外国人の不動産購入を規制できないのか?」というテーマを解説してきました。
諸々のリスクを考慮すると、日本も外国人による不動産購入をしっかりと規制していくべきだと思います。ぜひ参考にしてください。
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こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。
北海道では、一昔前からニセコ、最近では富良野あたりで外国人による不動産購入が急増しています。
また、水源地が買われているという噂もありますし、少し前には沖縄の無人島を中国人が購入したというニュースが話題になりました。
さらに、東京の湾岸エリアを中心に、外国人がタワーマンションを買い漁っているという状況があります。
こうした外国人による不動産購入の中には、安全保障上好ましくないケースも散見されます。
しかし、日本には外国人の不動産購入を規制できない背景があるのです。
さらに興味深いことに、国土交通省は外国人による日本国内の不動産取引を円滑化させるためのマニュアルを作成しています。
僕も最近このマニュアルを見ましたが、その内容は契約手続きや税金に関する情報を英語のパンフレットにしたものです。
これは実質的に、「安心して日本の土地を買ってください」と読めなくもない内容になっています。
ということで本日は、日本はなぜ外国人による不動産購入を規制しないのか?この背景について解説していきます。ぜひ最後までご覧ください。
日本が外国人による不動産購入を規制できない3つの理由
諸外国の不動産購入規制の実態
日本の現状と今後の課題
規制強化がなければどのようなリスクが生じるか
日本が外国人による不動産購入を規制できない3つの理由
外国人による不動産購入を日本が規制できない理由は主に3つあります。- WTOのサービス貿易に関する一般協定(GATS)による制約
この条約の中には“内国民待遇(ないこくみんたいぐう)の原則”というものがあります。内国民待遇とは「相手国の国民を自国民と同等に待遇すること」で、つまり外国人にだけ不利な扱いをしてはいけないということです。
日本は1995年にこのGATSに加盟しましたが、その際に土地取引に対する留保をしなかったのです。当時はバブルが崩壊した直後ですから、日本としては外資を呼び込みたいという背景もあったと思われます。
しかし、その後、中国を中心とした資本が日本各地の土地を買い漁るようになっても、日本はこの「内国民待遇の原則」を撤回せず、外国人による不動産購入の規制が困難になってしまったというわけです。 - 憲法による財産権の保証
財産権は日本人だけでなく外国人にも適用されます。最高裁の判例でも、外国人も日本人と同様に財産を持つ自由が保障されていると解釈されています。
したがって、外国人だからという理由で日本の土地取得を禁止することは憲法違反の疑いが生じるというわけです。 - 既存の規制法律が使われていない
実は日本にも「外国人土地法」という法律が存在します。
その第1条には、「その外国人・外国法人が属する国が制限している内容と同様の制限を政令によってかけることができる」と定められています。いわゆる“相互主義”というものです。また第4条では、「国防上必要な地域では、外国人・外国法人の土地に関する権利の取得を禁止、または条件もしくは制限をつけることができる」とされています。
しかし、この法律に基づく政令はこれまで一度も制定されたことがありません。つまり、外国人による不動産購入を制限できる法律はあるけれども、使われていないというのが実情というわけです。
諸外国の不動産購入規制の実態
国際法上では、“相互主義”の考え方が基本です。つまり、日本人が海外の国で不動産の所有権を持つことができる場合には、その国の人にも日本での所有権を認めるべきという考え方があるわけです。
では、他国では不動産購入に関してどのような規制があるのでしょうか。主要国の不動産購入規制の実態をまとめたものが以下です。
・中国:
外国人による土地の所有は認められず、リース権(住宅用地の場合70年)のみが認められています。
・オーストラリア:
外国人は新築物件しか購入できません。以前は中古物件も購入でき、一定額以上を投資すれば永住権(ビザ)も取得できましたが、中国人投資家の急増により不動産価格が高騰したため、規制が強化されました。
・アメリカ:
基本的には所有権を取得できますが、国家安全保障上の懸念がある取引を審査・禁止できる制度が設置されています。国防上重要な地域については制限が可能です。
・シンガポール:
外国人は物件価格の60%という高額な税金(印紙税)を支払う必要があります。
・マレーシア:
基本的には所有権を取得できますが、地域によってはリース権のみであったり、外国人は100万リンギット以上の物件しか買えなかったり、という制限があります。安い物件を外国人が買い占めてしまうと地元の人が物件を買えなくなってしまうので、それを防ぐためです。
日本の現状と今後の課題
ということで、日本以外の国は自国の安全保障と国益を守るために、様々な規制や課税制度を整えています。一方、日本では外国人がどこでも所有権を取得できてしまいます。
一応、2022年に「重要土地等調査法」が制定され、防衛上重要な施設の周辺の土地や離島などの状況を国が把握し、利用規制できるようになりましたが、水源地や無人島などの土地に関しては行き届いていません。
僕の考えでは、相互主義とは言っても、諸外国ではリース権しか取得できない場合もあるため、日本ももう少し土地・不動産取引に関する外国人規制を強化すべきだと思います。
例えば、外国人が購入する場合には不動産取得税を2~3倍にするなどの措置や、オーストラリアのように新築物件しか購入できないようにするなどの方法が考えられます。
規制強化がなければどのようなリスクが生じるか
もしも規制をせずに、外国人による無制限の不動産購入を許容すると、日本にはどのようなリスクが生じるのでしょうか。例えば、次のようなリスクが生じる可能性があります。
- 税収リスク:外国人所有者からは税金の徴収が困難であり、滞納される恐れがあります。
- 安全保障上のリスク:国家安全保障への脅威となりうる場所が外国人所有になることで、問題が生じる可能性があります。
- 地域経済の破壊:湾岸エリアのタワーマンションなどのように、外国人が集中的に購入することで価格高騰し、地域住民が不動産を買えなくなるといった問題が発生します。
諸々のリスクを考慮すると、日本も外国人による不動産購入をしっかりと規制していくべきだと思います。ぜひ参考にしてください。
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