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キクラゲ×不動産投資はアリかナシか?
公開日: 2025年10月14日
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こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。
先日、ある会社さんが「キクラゲ栽培×築古戸建て」の販売サービスを始めたという記事を目にしました。
近年、「キクラゲ×不動産投資で高利回りを叩き出す!」といった話を耳にすることが多くなったので、僕もちょっと気になっていました。
そこで今回は、この投資法は一体どのような手法なのか?投資としてアリかナシか?について考察してみたいと思います。ぜひ最後までご覧ください。
キクラゲ不動産投資とは
リスク1:固定資産税の特例除外
リスク2:インボイスの問題
リスク3:賃貸借契約の落とし穴
リスク4:建物の劣化リスク
まとめ
キクラゲ不動産投資とは
まず、キクラゲ不動産投資がどんなものかについて簡単に説明しておきましょう。
キクラゲ不動産投資というのは、空き家をキクラゲ栽培施設に改装する手法です。
改装といってもほとんど何もすることはありません。
キクラゲを栽培する会社に一棟貸しをして、オーナーが賃料を受け取るというスキームです。
あるいは、自ら築古戸建てを購入して設備を整え、自分で栽培をされているケースもあるようです。
冒頭で述べた会社さんは、地域の空き家問題を解消するという社会的意義もあると謳っていて、確かにそうだなと思うところはあります。
では、もしあなたが築古戸建てを購入したとして、あるいは既に所有しているとして、キクラゲ栽培のために一棟貸しするとしたらどんなリスクがあるのか?を考えてみましょう。
リスク1:固定資産税の特例除外
まず押さえておくべきは、キクラゲ栽培業者に一棟貸しする場合、“住宅”を貸すわけではないということです。
“事業用”として建物を貸すことになるので、この点が行政に見つかってしまうと、固定資産税の支払いで問題が発生します。
具体的には、土地の固定資産税が住宅用地の特例の対象外になります。
住宅用地だと固定資産税の評価額が6分の1、都市計画税は3分の1になっているのですが、“事業用”となると、この特例がなくなってしまいます。
つまり、固定資産税評価額は6倍に跳ね上がり、都市計画税の評価額は3倍に跳ね上がってしまう可能性があるわけです。
キクラゲ栽培業者に戸建てをいくらで貸せるか分かりませんが、その賃料が固定資産税の増加分で消えてしまったら意味がありません。
用途変更の扱いなどに関しては自治体によって判断が異なるかもしれませんが、住居ではなく事業用と見られることは間違いありません。
この事実を行政に黙って運用するのもどうかと思うので、このリスクはすごく気になるところです。
リスク2:インボイスの問題
2つ目のリスクは、インボイスの問題です。
このビジネスの大前提として、物件をキクラゲ栽培業者に貸し出すわけですよね。
もしこのキクラゲ業者が課税事業者であれば、家賃に対してインボイスを発行してくださいと言ってくる可能性があります。
ところが、大抵の大家さんは免税事業者だと思うので、インボイスを発行できないわけです。
となると、このキクラゲ栽培業者が課税事業者の場合には、支払った消費税を取り戻すことができないので、その分の家賃を下げて欲しいと交渉されることが考えられます。
なので、事前にインボイスの発行が必要かどうかを聞いておかなければいけません。
また、大家さんがインボイスを出さないのであれば、家賃の値下げを要求される可能性があることを念頭に置いて、家賃交渉をした方がいいと思います。
リスク3:賃貸借契約の落とし穴
次に重要なのが、賃貸借契約の落とし穴です。
「普通の貸家だから、普通借家契約でいいだろう」と思うのは危険です。
なぜなら、普通借家契約にしてしまうと、相手が撤退したくなったら途中解約がすぐ可能になってしまうからです。
「儲からなくなったから撤退します」ということが簡単にできてしまうのでは、オーナーさんは困ってしまいますよね。
また、住宅として再利用を図りたくても、事業用に貸していた建物を居住用に転用するには修繕や用途変更が必要かもしれません。
さらに、キノコを栽培しているわけなので、湿気の問題で部屋にカビが生えていたりすれば、大掛かりなリフォームが必要になるかもしれません。
また、逆のパターンも考えられます。
延々と更新されていってしまい、住居用に転用したくてもいつまでも退去してくれないというリスクもあります。
こういったリスクを考えると、できれば定期借家契約で契約するのがいいでしょう。
もしくは事業用定期借家契約にしておくべきかと思います。事業用定期借家契約であれば、契約期間中の一方的な解除は許されません。
途中解約するためには、残存期間の家賃を支払わないと退去できないというペナルティーが課されることになるので、キクラゲ業者の突然の撤退リスクを軽減できるかなと思います。
リスク4:建物の劣化リスク
これは先ほどの話とも重なりますが、建物の劣化リスクが考えられます。
キノコの栽培は、基本的には菌を栽培するわけなので、屋内に必然的に高温多湿の環境が作られると思います。
するとカビや湿気が蔓延し、建物が腐敗するリスクが高まります。
なので、そもそも借り手が見つからないような築古物件の活用方法としては魅力的ですが、湿度管理や換気を怠ってしまうと、建物が後々使い物にならなくなる恐れがなきにしもあらずということです。
そんなわけですから、契約としては、栽培設備の設置・撤去、あるいは建物の修復などは借主が負担する、などしっかり特約に謳っておくことが不可欠だと思います。
また、火災保険や施設賠償責任保険も、住居用ではなく事業用の内容にしておく必要があると思います。
まとめ
というわけで今回は、「キクラゲ不動産投資はアリか?ナシか?」というテーマで解説しました。
結論としては、キクラゲ栽培での戸建て賃貸は条件次第でアリかなと思います。
特に、キクラゲは国内の需要も伸びているようですし、空き家の活用法としても社会的意義が大きいと思います。
ただ、社会貢献になるからとか、単に利回りが高いからといって安易に飛びつくのは危険ということだけは、覚えておくようにしましょう。
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こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。
先日、ある会社さんが「キクラゲ栽培×築古戸建て」の販売サービスを始めたという記事を目にしました。
近年、「キクラゲ×不動産投資で高利回りを叩き出す!」といった話を耳にすることが多くなったので、僕もちょっと気になっていました。
そこで今回は、この投資法は一体どのような手法なのか?投資としてアリかナシか?について考察してみたいと思います。ぜひ最後までご覧ください。
キクラゲ不動産投資とは
リスク1:固定資産税の特例除外
リスク2:インボイスの問題
リスク3:賃貸借契約の落とし穴
リスク4:建物の劣化リスク
まとめ
キクラゲ不動産投資とは
まず、キクラゲ不動産投資がどんなものかについて簡単に説明しておきましょう。キクラゲ不動産投資というのは、空き家をキクラゲ栽培施設に改装する手法です。
改装といってもほとんど何もすることはありません。
キクラゲを栽培する会社に一棟貸しをして、オーナーが賃料を受け取るというスキームです。
あるいは、自ら築古戸建てを購入して設備を整え、自分で栽培をされているケースもあるようです。
冒頭で述べた会社さんは、地域の空き家問題を解消するという社会的意義もあると謳っていて、確かにそうだなと思うところはあります。
では、もしあなたが築古戸建てを購入したとして、あるいは既に所有しているとして、キクラゲ栽培のために一棟貸しするとしたらどんなリスクがあるのか?を考えてみましょう。
リスク1:固定資産税の特例除外
まず押さえておくべきは、キクラゲ栽培業者に一棟貸しする場合、“住宅”を貸すわけではないということです。
“事業用”として建物を貸すことになるので、この点が行政に見つかってしまうと、固定資産税の支払いで問題が発生します。
具体的には、土地の固定資産税が住宅用地の特例の対象外になります。
住宅用地だと固定資産税の評価額が6分の1、都市計画税は3分の1になっているのですが、“事業用”となると、この特例がなくなってしまいます。
つまり、固定資産税評価額は6倍に跳ね上がり、都市計画税の評価額は3倍に跳ね上がってしまう可能性があるわけです。
キクラゲ栽培業者に戸建てをいくらで貸せるか分かりませんが、その賃料が固定資産税の増加分で消えてしまったら意味がありません。
用途変更の扱いなどに関しては自治体によって判断が異なるかもしれませんが、住居ではなく事業用と見られることは間違いありません。
この事実を行政に黙って運用するのもどうかと思うので、このリスクはすごく気になるところです。
リスク2:インボイスの問題
2つ目のリスクは、インボイスの問題です。
このビジネスの大前提として、物件をキクラゲ栽培業者に貸し出すわけですよね。
もしこのキクラゲ業者が課税事業者であれば、家賃に対してインボイスを発行してくださいと言ってくる可能性があります。
ところが、大抵の大家さんは免税事業者だと思うので、インボイスを発行できないわけです。
となると、このキクラゲ栽培業者が課税事業者の場合には、支払った消費税を取り戻すことができないので、その分の家賃を下げて欲しいと交渉されることが考えられます。
なので、事前にインボイスの発行が必要かどうかを聞いておかなければいけません。
また、大家さんがインボイスを出さないのであれば、家賃の値下げを要求される可能性があることを念頭に置いて、家賃交渉をした方がいいと思います。
リスク3:賃貸借契約の落とし穴
次に重要なのが、賃貸借契約の落とし穴です。
「普通の貸家だから、普通借家契約でいいだろう」と思うのは危険です。
なぜなら、普通借家契約にしてしまうと、相手が撤退したくなったら途中解約がすぐ可能になってしまうからです。
「儲からなくなったから撤退します」ということが簡単にできてしまうのでは、オーナーさんは困ってしまいますよね。
また、住宅として再利用を図りたくても、事業用に貸していた建物を居住用に転用するには修繕や用途変更が必要かもしれません。
さらに、キノコを栽培しているわけなので、湿気の問題で部屋にカビが生えていたりすれば、大掛かりなリフォームが必要になるかもしれません。
また、逆のパターンも考えられます。
延々と更新されていってしまい、住居用に転用したくてもいつまでも退去してくれないというリスクもあります。
こういったリスクを考えると、できれば定期借家契約で契約するのがいいでしょう。
もしくは事業用定期借家契約にしておくべきかと思います。事業用定期借家契約であれば、契約期間中の一方的な解除は許されません。
途中解約するためには、残存期間の家賃を支払わないと退去できないというペナルティーが課されることになるので、キクラゲ業者の突然の撤退リスクを軽減できるかなと思います。
リスク4:建物の劣化リスク
これは先ほどの話とも重なりますが、建物の劣化リスクが考えられます。
キノコの栽培は、基本的には菌を栽培するわけなので、屋内に必然的に高温多湿の環境が作られると思います。
するとカビや湿気が蔓延し、建物が腐敗するリスクが高まります。
なので、そもそも借り手が見つからないような築古物件の活用方法としては魅力的ですが、湿度管理や換気を怠ってしまうと、建物が後々使い物にならなくなる恐れがなきにしもあらずということです。
そんなわけですから、契約としては、栽培設備の設置・撤去、あるいは建物の修復などは借主が負担する、などしっかり特約に謳っておくことが不可欠だと思います。
また、火災保険や施設賠償責任保険も、住居用ではなく事業用の内容にしておく必要があると思います。
まとめ
というわけで今回は、「キクラゲ不動産投資はアリか?ナシか?」というテーマで解説しました。結論としては、キクラゲ栽培での戸建て賃貸は条件次第でアリかなと思います。
特に、キクラゲは国内の需要も伸びているようですし、空き家の活用法としても社会的意義が大きいと思います。
ただ、社会貢献になるからとか、単に利回りが高いからといって安易に飛びつくのは危険ということだけは、覚えておくようにしましょう。
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