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崖地や擁壁物件の投資について

公開日: 2026年09月30日

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こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。

まずは、台風25号で被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

9月下旬に千葉・神奈川を襲った台風25号は、9月28日時点で死者14人・行方不明1人という大きな被害になりました。

千葉では印旛沼の堤防が1968年の管理開始以来初めて決壊し、8月の豪雨からの復旧途中で再び被災した地域もあります。

そして9月22日には、神奈川県横須賀市で自宅裏の崖が崩れ、64歳の女性が亡くなりました。

8月の豪雨で水を含んだ地盤に、追い打ちの雨です。

崖や擁壁がいちばん危ないのは、まさに今なんですね。

先日のブログでハザードマップ、水災補償、災害後の見積もりの話をしましたが、「土地そのもの」の話はまだしていませんでした。

そこで今日は、崖や擁壁のそばにある物件を持っている方、これから買おうとしている方に向けて、お金と責任の話をしたいと思います。

 

私有地の崖に、行政は手を出せません

横須賀の事故で胸が痛むのは、ご家族が何年も前から危険を訴えていたことです。

報道によると、ご家族は「斜面が崩れている」と2年前から県や市に相談し、2024年6月には県に崖の補強を求める要望書も出していました。

崖の所有者にも対応を求めていたそうです。

横須賀に収益物件を持つ大家さんが楽待に書いたコラムによると、崖は私有地だったため、市としては所有者に修繕をお願いすることしかできなかったようです。

そして、県の工事も実施されませんでした。

国や県が崖崩れ対策の工事をするには「守られる家が5戸以上」といった要件があり、それを満たしていなかったからです。

県の担当者は「税金を使う以上、決められたルールに従わざるを得ない」と話しています。

冷たいと感じる方もいると思います。

でも、これが制度の現実なのです。

つまり、崖も擁壁も、所有者のものです。

直すのも所有者、崩れたときに責任を負うのも所有者。

行政はお願いはしてくれても、代わりに直してはくれません。

ここをまず押さえておいてください。

 

補修で数百万円、作り直せば1,000万円を超えます

では、直すとしたらいくらかかるのでしょうか。

東京理科大学の高橋治教授の試算では、擁壁の面積50㎡の場合で、部分的な補修が最大150万円、全面的な補修で最大300万円、取り壊して新しく作り直すと1,500万円を超えるそうです。

面積が100㎡なら、ざっくり倍です。

規模によっては、軽く1,000万円単位のお金が飛んでいくわけです。

家賃収入で積み立てられる額ではありませんね。

例えば、家賃6万円のアパート6戸なら、家賃収入は満室で年432万円です。

ローンの返済や固定資産税、日々の修繕を払って、手元に残るのが年100万円だったとしましょう。

擁壁の作り直しに1,500万円かかれば、15年分の手残りが一度に消える計算になります。

しかも擁壁は、家賃を1円も生みません。

だから多くの大家さんが、ひびに気づいていても手を付けられないのが実情です。

高橋教授によると、擁壁の多くは1970年代に造られていて、寿命を迎えたものが全国に200万カ所以上あると推計されています。

他人事ではありません。

 

利回りの高い擁壁物件、買う前に見るべきこと

今も昔も、僕のところに来る投資相談で多いのが、崖地や擁壁のある物件です。

「利回りは高いんですけど、擁壁があるんです。どうでしょう?」というご相談ですね。

崖地や擁壁のある物件は、相場より安く出てきます。

安いから、利回りが高く見えるわけです。

ところが、その利回りは将来の出費を差し引く前の数字です。

擁壁の作り直しが必要になれば、10年分、15年分の利益が吹っ飛びます。

先ほどのコラムにも、なるほどと思う話がありました。

神奈川はもともと擁壁の多いエリアで、家賃の安い横須賀では、真面目に擁壁を直しても採算が合いません。

家賃5万円のために1,000万円の擁壁修繕をする投資家はいないというわけです。

だから、直されないままの擁壁を抱えた高利回り物件が、市場にたくさん出回っています。

試しに横須賀の物件を利回りの高い順に並べてみると、危ない擁壁を含んだ物件ばかりが出てくるそうです。

では、それでも検討するなら何を見ればいいのでしょうか。

僕が相談を受けたときに必ずお伝えしているのは、次の3つです。

 

擁壁や崖に補強がされているか


擁壁が役所の確認を受けて造られたものか、崖に補強工事がされているかを確認します。

不動産業者に聞いても「分かりません」と言われたら、そのままにせず、市区町村の建築指導課などに問い合わせてください。

 

使える面積が、公簿面積よりだいぶ小さくないか


土地の面積は真上から見た水平投影面積で測るので、登記簿の面積には斜面や擁壁の部分も含まれています。

当然その部分は使えません。

 

既存不適格になっていないか


建てた当時は適法でも、今の基準では同じものが建てられない物件があります。

建て替えのときに擁壁の作り直しを求められたり、思ったより小さな建物しか建てられなかったりするわけです。

これ、特に2つ目は見落とされがちです。

「土地が広いのにこの値段は安い」と思って買ったら、実際に使える平らな部分は半分しかなかった、ということもあり得るんですね。

 

崩れたら、責任は大家に来ます

もう一つ、大家の責任の話もしておきます。

最初に書いたとおり、崖も擁壁も所有者のものです。

崩れて隣の家や通行人、そして自分の入居者に被害が出れば、損害を賠償する責任は所有者に来ます。

危ないと分かっていて放置していたとなれば、なおさらです。

家賃5万円の部屋のために、入居者さんの命を危険にさらすことになります。

大家として、これほど重いことはありません。

上記コラムの筆者は、これは制度の問題だと書いています。

オーナー1人を悪者にしても根本は解決しません。

解決するなら、擁壁の修繕は市が無料でやるか、逆に危険な擁壁のそばでは賃貸経営を禁止するか、どちらかのルール変更が必要だということです。

一人の大家を責めても解決しない、というところは僕も同感です。

ただ、ルールが変わるのを待っている間にも、雨は降ります。

そして今のルールでは、崩れたときの責任は所有者に来ます。

結局、自分の物件は自分で守るしかありません。

では、どうすればいいのでしょうか。

僕の答えはシンプルです。

入居者の立場なら、崖の下には住まないこと。

これがいちばんの予防です。

横須賀の事故も、崖の下の家で起きました。

部屋を探すときは、家賃や駅からの距離だけでなく、建物の裏に崖や高い擁壁がないかも見ておいてください。

投資家の立場なら、崖地の物件は極力避けること。

そして見落としがちですが、崖の下の物件も買わないことが一番かと思います。


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