ブログ

指値が通らない本当の理由

公開日: 2026年10月01日

▼今日の記事を音声で楽しみたい方はこちら


こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。

「300万円台なら、買取再販に回すのが会社のルールなんです」

先日、当社の賃貸管理部のマネージャー高橋くんが、不動産会社の担当者からこう言われたそうです。

高橋くんは団地投資が得意で、以前このブログでも、千葉の団地を700万円で買って今は1,200万円以上になっているという話を紹介しました。

その彼が、420万円で売りに出ていた団地に目をつけました。

事故物件だったので、そのぶん指値を入れて買いたいと相談したところ、返ってきたのが冒頭の一言です。

「それなら買取再販より高い金額で買います」と食い下がっても、答えは同じでした。

「300万円台なら買取再販に渡す、それが会社のルールです」と。

買取再販業者より高く買うと言っているのに、売ってもらえない。

一見するとおかしな話ですよね。

ところが、不動産会社の「手数料の仕組み」を知ると、これが実に合理的な判断だということがわかります。

そこで今日は、なぜ指値が通らないのかを、売る側の損得勘定から解説したいと思います。

 

手土産を持って通っても、「掘り出し物」は回ってこない

実は先日、楽待で不動産芸人のせらっきょさんが書いたコラムを読みました。

そのコラムの結論が、なかなかビターなんですね。

手土産を持って営業担当のもとへ通う。

連絡にはすぐ返事をして、断るときも角が立たないように気を配る。

そうやって不動産会社と仲良くなれば、未公開の掘り出し物を優先的に紹介してもらえる——と考えている投資家は多いと思います。

ところが彼の答えは「どれだけ仲良くなっても、超格安の優良物件は一般の投資家には回ってこない」というものでした。

そもそも、相場より格安な物件が出てくるのは、たいてい売主に事情があるときです。

リストラでローンが払えなくなった、会社の資金繰りが苦しい、建物が古すぎて普通の買い手がつかない、事故物件である——。

いずれも売主が急いでいるので、価格は安くなりやすいわけです。

高橋くんの団地も、まさにこのパターンでした。

 

レインズに載る前に、買い手は決まっている

あまり知られていないようですが、売主が1社だけに売却を任せる「専任媒介」や「専属専任媒介」では、7営業日(専属専任は5営業日)以内にレインズという業者間のネットワークに物件を登録するルールがあります。

ところが、本当に安い物件は、その登録期間のうちに内々で買い手が決まってしまうのです。

あるいは、そもそもレインズへの登録義務がない「一般媒介」にして、最初から広く紹介しない前提で売る物件もあります。

相場よりずっと安いので、多くの人の目に触れなくても、すぐに買い手が現れるんですね。

では、その「内々の買い手」とは誰なのか。

それは一般の投資家ではなく、買取再販業者か、不動産会社自身なのです。

 

手数料の計算をしてみると、答えは明らか

なぜ一般の投資家ではないのか。

仲介手数料を計算してみると、理由はすぐにわかります。

仲介手数料の上限は、ざっくり売買価格の3%です。

不動産会社が売主と買主の両方から手数料をもらう「両手」なら、合計で約6%。

これが一般の投資家に売った場合です。

一方、買取再販業者に売るとどうなるか。

まず仕入れの段階で、売主と買取再販業者の両方から手数料をもらって約6%。

さらに、買取再販業者はリフォームして物件をもう一度売りに出します。

このとき「再販のときもうちに仲介させてくださいね」という約束が最初から交わされているので、再販売でもう一度、両手で約6%。

1つの物件で合計約12%になるわけです。

業界では「専任返し」と呼ばれている商習慣です。

つまり、同じ値段で売れるなら、不動産会社にとって一般の投資家に売る理由はないんですね。

しかも、安い物件ほどこの差は効いてきます。

例えば420万円の団地なら、通常の計算で仲介手数料は片側で約18万円しかありません。

2024年7月からは800万円以下の物件に特例ができて、片側最大30万円(税別)まで受け取れるようになりましたが、それでも両手で最大60万円です。

これを1回で終わらせるか、2回転させて最大120万円にするか。

高橋くんが「買取再販より少し高く買います」と言っても、数十万円上乗せした程度では、2回転の手数料には到底かなわないのです。

 

リピート率でも、個人は勝てない

「次も御社から買いますから、リピーターになりますから」とアピールする方もいると思います。

気持ちはよくわかります。

でも、残念ながらこれも買取再販業者には勝てません。

個人の投資家が次の物件を買うまでには、1年以上空くことも珍しくないですよね。

それに比べて買取再販業者は、翌月、場合によっては同じ月にもう1件買います。

不動産会社から見れば、どちらを大事にするかは明らかだと思いませんか?

さらに言えば、不動産会社が自社で買い取ってしまうこともあります。

1億円の物件を仲介しても、両手で手数料は約600万円。

ところが自社で1億円で買って1億2,000万円で売れば、経費を引いても1,000万円以上が残るわけです。

営業担当が自分で買ってしまう、なんてケースもあるそうです(笑)。

高橋くんが言われた「会社のルール」とは、つまりこういうことなのです。

個人の担当者がいじわるをしているわけではなく、会社として、いちばん儲かる相手に売るように仕組みができているんですね。

 

それでも、指値は入れてください

このようなお話をすると、「じゃあ指値なんて入れても無駄なのか」と言われそうですが、そうではありません。

僕は以前のブログで「物件を買えない人は指値をしない」「必ず指値を入れてください」と書きましたが、その考えは今でも変わりません。

大事なのは、業界のルールがわかれば、指値がなぜ通らないのかも、どうすれば通るのかも見えてくるということです。

せらっきょさんも、仲良くなった投資家に回ってくるのはせいぜい「中の上」の物件だと書いています。

自社で買い取ったり、買取再販業者に回したりするにはちょっと高い。

でも相場よりは安い。

個人の投資家が指値で戦うべきなのは、まさにこのゾーンなんですね。

そして、そのゾーンで選ばれるために必要なのは、手土産でもお世辞でもなく「継続取引」です。

不動産会社にとって魅力的なのは、1回きりのお客さんではなく、何度も手数料が入るお客さんだからです。

僕は管理会社も経営していますが、その立場から言うと、買ったあと管理までまとめて任せてくれるオーナーさんは、1回きりの仲介のお客さんとはまったく違う存在です。

毎月の管理料が入り、いずれ売却するときもまた声がかかるかもしれない。

つまり、買取再販業者が持っている「もう一度取引できる」という強みを、個人でもつくれるわけです。

もちろん、そのためには融資の内諾や自己資金の準備をしておいて、「この金額なら、いつまでに決められます」と即答できる状態にしておくことが前提です。

買取再販業者の強みは、リピートだけでなく、決断の速さでもありますからね。

 

まとめ

指値が通らないのは、あなたの交渉が下手だからでも、不動産会社に嫌われているからでもありません。

相手が誰と、何回取引したいか——その仕組みの問題なのです。

だからこそ、不動産会社に媚を売る必要はまったくありません。

次に物件を問い合わせるときは、「いくらなら買うか」と一緒に、「いつまでに決められるか」「買ったあと、管理や売却をどうするか」まで伝えてみてください。

それだけで、担当者のあなたを見る目は変わるはずです。


▼ウラケンに質問できるオンラインサロンはこちら

▼LINE登録すると最新情報をいち早くゲットできます