戸建賃貸で入居募集する際、同じエリアで
他の戸建賃貸と競合することは稀です。

ですので、戸建賃貸にとってのライバル物件は、
必然的に同じ広さのマンションになります。

このとき、

「戸建賃貸は建物が独立していて、さらに上下階を使えるので、
もちろんマンションより高い賃料をもらえるんでしょ？」

と、思われるかもしれませんね。

しかし、実際はそうではありません。

当社では、いくつもの戸建賃貸を企画し、
様々な戸建賃貸の入居募集に携わってきました。

過去の成約事例から、戸建とマンションの賃料差が
実際にどのくらいあるのかを見ていきましょう。

同じ地域で、「駅、駅からの距離、広さ、築年数」が
同程度の物件同士の成約賃料を比較します。

◆東武東上線「中板橋」駅

・マンション
　徒歩14分、77.50平米、2006年竣工、賃料18.3万円

・戸建
　 徒歩13分、79.80平米、2008年竣工、賃料17.7万円

◆千代田線「西日暮里」駅

・マンション
　徒歩5分、74.55平米、2007年竣工、賃料22万円

・戸建
　徒歩9分、80.20平米、2015年竣工、賃料22万円

◆都営浅草線「西馬込」駅

・マンション
　徒歩15分、80.07平米、2008年竣工、賃料21.5万円

・戸建
　徒歩13分、82.80平米、2013年竣工、賃料22万円

◆東海道線「藤沢」駅

・マンション
　徒歩6分、70.61平米、2011年竣工、賃料16.8万円

・戸建
　徒歩4分、72.85平米、2013年竣工、賃料18万円

これを見ると、成約賃料には
ほとんど差がないことが分かります。

マンションは、防犯カメラやオートロック、
宅配BOXなどがあるため、安全性が高く、便利です。

しかし、あくまで隣・上下の部屋に他の入居者がいる
「共同住宅」のため、ある程度は神経を使いながら
生活しなければなりません。

一方の戸建は、敷地内に庭スペースがあり、独立性も
あるので、隣・上下の騒音に悩まされることはありません。

しかし、防犯面ではマンションに比べ、少々不安なところがあります。

だからといって、戸建賃貸にオートロックや宅配BOXなどを
設置するのは、コスト面でも現実的ではありません。

また、専有面積には階段や廊下も含まれているため、
同じ平米数だとしても、マンションより少し狭くなります。

つまり、

「戸建だから高い賃料をとれる」

ということは言えないのです。

それぞれにメリット・デメリットがあり、
どちらを選ぶかは入居者次第です。

逆を言えば、デメリットを補うことができなければ、
ライバル物件に勝つことはできません。

例えば戸建賃貸であれば、夜中でも安心できる
明るい共用灯や、防犯シャッター、庭スペースに
フェンスなどを標準設備として設置します。

そうすることで、防犯面の不安等をカバーでき、
選ばれる物件にできるのです。

鹿股　恭平