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【孤独死と不動産投資】孤独死への対処と予防法。大家はどう向き合うべきか?特殊清掃の実態とは?(後編)

公開日: 2020年08月21日

こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。

今日は、前編に続き「孤独死の対処法と予防策」というテーマでお話しします。

■孤独死が起こる背景、孤独死の原因、孤独死発見時の初動対応について解説した(前編)はこちら

不動産投資家になれば、いずれ誰もが「孤独死」と向き合わなければならない日が必ずやってきます

この記事をお読みいただければ、万が一孤独死が起きた場合でも、冷静に対処することができるようになります。

また、事故物件となっても、収益を減らさずに経営を続ける具体的な方法もわかります

さらに、孤独死の対処法とその防止策が分かれば、今後増えてくる高齢者も安心して受け入れることができるようになりますので、ぜひ前編と合わせて最後までお読みください。

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目次

④次の入居者への告知方法

原状回復をしてお祓いをしたら、次の入居者を募集しなければなりません。

しかし、次の入居者には「どのように」また「どれくらいの期間」事故物件であるということを伝えなければならないのでしょうか。

まず、事故死でない場合、つまり自然死で亡くなってすぐに発見された場合は、一切告知をする必要はありません

人が亡くなることは生まれることと同じで、自然なことです。

例えば、ご遺族に看取られて亡くなった場合や、亡くなってから2~3日ですぐに発見された場合は、自然死の括りで良いと思います。

一方、事故物件になってしまった場合、つまり亡くなってから何ヶ月も発見されなかったり、その部屋で自殺をしたりした場合はどうでしょうか。

このような事故物件で次の入居者を募集する際にどのように告知するかというと、備考欄に「心理的瑕疵あり」や「特殊事情あり」と必ず記載しないといけません。

日々、物件の募集条件を見ていると、駅近なのに相場の半額の家賃で募集されていたりする物件があり、「これはもしや?」と思って備考欄を見ると、やはり「心理的瑕疵あり」と記載されていることがあります。

また、このような募集チラシだけでなく、実際の契約の前に行う重要事項説明でも、心理的瑕疵があることを必ず告知しないといけません

⑤次の入居者への告知期間

次に、告知の期間は一体いつまですればいいのか?という点についてですが、明確な法令はありません

そのため、告知をしなくても法律的に罰せられることはありません。

しかし、「もし告知を受けていれば、この物件は借りなかった」といって、後になって入居者から訴えられる可能性はあります。

一般的には、亡くなってから5年か6年、または入居者が2、3回入れ替わるくらいまでは、次の入居者に対してこの心理的瑕疵がある物件であることを、しっかり告知しながら募集をしなければなりません。

この基準というのは、その事故が近隣住民の記憶にどのくらい長く残っているかによっても異なります。

例えば、非常に凄惨な殺人事件が起きて、大きな事件として報道されたような場合には、5年や6年ではなく、8年、9年ぐらい、または10年後ぐらいまで告知しなければいけないかもしれません。

しかし繰り返しになりますが、告知期間について明確な線引きはありません

そこまで事件性が大きくなく、近隣住民の騒ぎにもなっていないような場合は告知期間を短くできるかもしれませんが、一般的には概ね5、6年と言われています。

⑥家賃を下げなければ入居者が決まらないのか?

一般的に、このような事故物件の家賃は、半額近くまで値下げをして募集されることが多いです。

事故物件でも半額にすると意外と早く次の入居者が決まることがあります。

逆に事故物件を狙って物件探しをしている人もいるくらいです。

しかし、私の会社が管理している事故物件は、家賃を下げて募集しているのかというと、実際には家賃は下げていません

もちろん、心理的瑕疵があることは告知した上で、普通の物件と一緒に募集活動をしていますが、普通の物件より募集期間が長くなることもなく、次の入居者を決めることができています。

それはなぜかというと、ズバリ外国人を対象に貸しているからです。

実は、外国人はこの心理的瑕疵物件(事故物件)をそこまで気にしていません。

また、事故があった物件はかなりキレイにリフォームをしています。

具体的には、デザイナーを入れてオシャレに壁紙を張り替えたり、備え付けの家具をばっちり仕立てたりしています。

そうすることで、心理的瑕疵物件と告知をしても逆に人気の物件になっているのです。

⑦孤独死の予防策

最後に、孤独死の予防策について説明しましょう。

まずは、入居者同士のコミュニケーションを図ることが大切になります。

例えば、入居時に大家さんから入居者に対して、「入居者同士でしっかり挨拶を交わしましょう」と促したり、ある大家さんは、大家さん主催で入居者同士のバーベキューパーティーを開いたりして、コミュニケーションを取るきっかけを作ったりしています。

もちろん、バーベキューの費用は大家さん持ちで、無料で入居者さんを招待してパーティーを催しています。

入居者同士が顔見知りになることで、例えば単身の高齢入居者に何かあったとしても、「あのおじいちゃん、最近外に出てないよね、会ってないよね」ということで、孤独死や病死の早期発見につながることもあります。

また、防犯上においても、隣同士が知り合いで挨拶を交わしていると、不審者がいればすぐに分かりますから、大家さんや管理会社が迅速に対応できるようにもなるでしょう。

ですから、入居したらそれで終わりではなく、大家さんの側からもコミュニケーションをとって、予防に務めた方が絶対に良いと思います。

また、高齢者に関しては、実は行政、民間を問わず、今はさまざまな「見回り・見守りサービス」があります

例えば行政では、民生委員による見回りサービスや、デイサービスを使ったサービスがあります。また、無料の「安否確認サービス」もあります。

民間では、セコムやALSOKが有料の見回りサービスをやっているケースもあります。

高齢の入居者が入るときにはこのようなサービスを最初に調べておいて、サービスを使ってもらうことを条件にして入居をOKすることが、孤独死を未然に防ぐためにはとても重要になってきます。

⑧孤独死に対応した保険はあるのか?

上記以外の予防策としては、孤独死に対応した保険に入るということがあります。

孤独死に対応した保険は、オーナーが入る保険と入居者に入ってもらう保険の2種類があります。

これから時代は、入居者に何があるかわかりませんので、孤独死に対応した保険には絶対に入っておいた方が良いと思います。

大家さんが入る孤独死に対応した保険はいくつかありますが、代表的なものに、アソシアという会社の「大家の味方」という保険があります。

私の会社でも実際にこの保険を使いましたが、その保険内容は、まず6か月間の家賃補償が出ます。例えば、月5万円の家賃だった場合は、最大で30万円の保険がおります。

また、発見が遅れて悲惨な状態になっている場合や遺品を整理しなければいけない場合には、大規模な原状回復に相当なお金がかかりますが、この原状回復費用も300万円まで補償されます。

さらには臨時費用として、事件性がある死亡の場合には50万円、事件性のないものについても20万円がもらえます。

私の会社が管理している物件で自殺が起きたときには、発見が2か月ぐらい遅れてご遺体の腐敗が進み、異臭が充満し、原状回復もかなり大規模になりました。

しかし、全て保険金がおりましたので、オーナーは全く持ち出しをすることなく、原状回復をして新たな入居者を募集することができました。

このような経験から、孤独死のための保険には絶対に入っておいた方が良いと私は思います。

気になる保険料ですが、これは意外に安く、1室あたりだいたい月額300円くらいです。

ですから、10戸の1棟アパートを持っていた場合、月約3000円、年間にして3万6,000円くらいの保険料で入ることができるので、もしもの時のために、絶対に入っておくようにしましょう。

紹介した保険の他にも孤独死に対応する保険はありますので、ぜひ調べてみてください。

次に入居者の責任で入る死亡・孤独死の保険ですが、これは家財保険でカバーすることになります

家財保険は、賃貸契約の時に入居者に必ず入ってもらう、あるいは入っていることを確認して契約することが基本になりますが、孤独死に対応するためには特約を付ける必要があります

1つは「遺品の整理費用」がカバーされる特約が付いているか、もう1つは「原状回復の費用」もカバーされる特約が付いているかを必ず確認してください。

また、実際に事故が起こった場合の保険金請求についてですが、保険をかけた本人が亡くなっているため、基本的には相続人が請求を行うことになります。

しかし、相続人がいないと保険の請求が難しくなってしまうので、管理会社や大家さんが保険会社に対して代理で請求できるかどうかも事前に確認しなければいけません。

このように、入居者の保険でも特約が付いていれば補償を受けることはできますが、死亡した後で保険金を請求できずにトラブルになっては困りますので、私の意見としては、大家さん自身が保険に入った方が良いと思います。

いかがでしたでしょうか?

今日は前回に引き続き、とてもセンシティブな「孤独死」について解説しました。

今後、日本はますます高齢化社会になり、高齢の入居者さんはどんどん増えてきます。

これだけ空室が深刻化している中で、高齢者の受け入れを拒否しながら賃貸経営をすることは難しいと思いますので、むしろ環境を整えて、積極的に受け入れていく必要があるでしょう。

今回お話ししたような対応方法や予防方法をしっかり理解して備えておけば、単身の高齢者も安心して受け入れられるようになると思います。

不動産投資は、単に利己的な目的で資産を増やすだけではなく、「住」という大切な社会的基盤を負っているという責任を感じながら運営していく必要があると思います。

今回の話を参考に、入居者が安心してあなたのアパートで暮らせる環境を、ぜひ提供していっていただきたいと思います。

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