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高齢化社会で増え続けるワケあり物件の貸出し術

公開日: 2022年04月27日

死をタブー視せずに大家として向き合う

こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。

今後の日本は、ますます高齢化社会が加速していきます。

それに伴い、高齢者の入居問題と死の在り方について、大家さんも考えていかなければいけません。

もしも入居者様がお亡くなりになった時に、次の入居者様に「どのように貸せば良いのか」について、正しい知識を身につけておく必要があるわけです。

一般的には、ワケあり物件=事故物件と見られていますが、これには種類があります。

そのひとつが、事件・事故物件です。

例えば、殺人事件や火事などの事故や自殺などはこれに該当します。

このような事態が部屋で発生した場合は、いわゆる心理的瑕疵という問題が出てきます。

そして、もうひとつは自然死です。

この時、部屋で家族に看取られてお亡くなりになるケースなどは事故物件には該当しません

そして、一人暮らしで孤独死された方も1~2日ぐらいで発見されれば、事故物件には当てはまらないといえます。

つまり、心理的瑕疵ではないわけですから、普通に次の入居者様に貸し出すことができます。

ただし、孤独死のケースで1~2週間、あるいは1ヵ月など長期間発見されない場合で、ご遺体が腐乱しているようなケースではワケあり物件となります。

ワケあり物件になってしまった場合

では、実際にワケあり物件になってしまった場合は、どのように対応すべきなのでしょうか。

まずは、次の入居者様に対して、心理的瑕疵がある点を告知しないといけません

その際には、賃貸物件の重要事項の説明ではなく、募集チラシなどの中に「ワケあり物件、あるいは事故物件」という形で告知する必要があります。

例えば、URなどは「特例募集住宅」という形で募集をしていますが、実際に告知する期間は、概ね入居者様が2回ぐらい入れ替わる…もしくは5〜6年経過するまで…と言われています。

しかし、この期間などについては、法律で明確に定められているわけではありません

理由は、心理的瑕疵は、人の感じ方によって違うからです。

ですから「何年経過すれば良い…何回入れ替われば良い」という規定は存在しません。

一般的に、世の中の記憶が薄れるのが5〜6年と考えられているため、「5〜6年は告知した方が無難ですよ」と業界内で謳われているわけです。

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ワケあり物件・事故物件の家賃

事故物件になると「家賃を半額にしないと決められないのでは」などの疑問が出てきます。

実際に、ワケあり物件や事故物件と告知して募集されている場合は、相場の半額ぐらいまで家賃が下がっているケースが多く見られます。

「安いな!」と思ったら事故物件と書かれていたというのは、よくある話です。

URなども1年間は家賃を半額にしています。

これは「家賃が安ければ入居が決まる」ということですが、私の経験からいえば、そこまで安くしなくても入居が決まると考えています。

例えば、ご遺体が腐乱し異臭を放っていたとしましょう。

このような場合には、例えば部屋にデザイナーズ物件のような要素を加えたり、ホームステージングなどを行うことでグレードをアップします。

すると、相場より1〜2割安いだけでも決まるケースが多くなるのです。

もちろん、しっかり告知をしたうえで決められますし、そういうワケありの事故物件を狙って探している入居者様などもいます。

例えば、私が管理している物件で実際に行ったのは、外国人向けの募集サイトに事故物件として掲載する方法です。

外国人は心霊的なことを気にしない人が多いため、相場の1割程度の値引きで十分に募集できますし、割と早期に入居も決まると思います。

また、最近は「自然な状態でお亡くなりになった部屋」を集めたサイトなども存在します。

今後も高齢化が加速度的に進むなかで、このような自然死に関する事案やコンテンツなどが増えてくるのではないかと思います。

いずれにしても、大家さんとしては入居者様と今以上のコミュニケーションを取り、「孤独死をさせない」という体制を構築していく必要があります。

そして、仮に事故物件になってしまった場合でも、前述した外国人向けにして募集するなどの対策を行い、損失を可能な限り抑えた運営を目指していくのが理想でしょう。

むしろ、今後は高齢者の入居を躊躇するのではなく、積極的に受け入れて「安心できる経営」を実現していくべきでしょう。

今、賃貸アパートを運営しているオーナーのみなさんもいずれは死を迎えます。

ですから、死をタブー視せずに、大家業をしているからこそ向き合っていくように心掛けましょう。