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将来の空室削減に繋がる定期借家契約の活用法

公開日: 2022年06月04日

不良入居者の退去を促しトラブルの長期化を防ぐ

こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。

賃貸経営における空室対策は、入居を決めれば完璧というわけではありません。

入居後、借主さんに長く住んで頂き、家賃滞納などのトラブルを少なくすることも、空室対策の一環といえます。

そういう意味で、定期借家契約を上手く活用していくことも必要なのです。

大きく分けて、賃貸借契約には普通借家契約定期借家契約の2種類が存在し、それぞれ特徴があります。

普通借家契約は、契約期間が経過しても更新により継続入居が可能ですが、定期借家契約には更新の概念がないため、借主さんは原則として契約期間満了とともに退去という形になります。

その後、継続入居するには貸主さんと借主さん双方の合意のもとに再契約をする必要があるのです。

つまり、定期借家契約なら不良入居者との再契約を拒むことも可能です。

定期借家契約を成立させる要件

ただし、定期借家契約を成立させるには、以下のような満たすべき要件が存在します。

①書面による契約を行う

原則として、定期借家契約は公正証書等の書面で締結しなければなりません。

しかし、必ずしも公正証書である必要はないため、通常の書面による契約で要件を満たすこともできます。

②書面交付と説明義務

貸主さんは、あらかじめ借主さんに対し「本契約は定期借家契約であり、契約の更新がなく期間の満了により終了する」旨を記載した書面を交付し説明しなければいけません。

この説明は貸主さんがするように規定されていますが、実務上は宅建業者さんに委任し、事前説明が行われるケースが多くなります。

なお、この説明義務は重要事項説明書に記載が出ていても、別書面で説明する必要があります。

③契約終了手続き

定期借家契約を終了する場合は、期間満了の1年前から6ヵ月前までの間に、借主さんに対して期間満了により賃貸借契約が終了することを伝える必要があります。

この通知がない場合、期間満了しても明け渡しを求めることはできません。

ただし、通知期間を過ぎた後でも、通知の6ヵ月後に明け渡しを求めることは可能です。

しかも、この通知は契約期間が1年未満の定期借家契約には適用されません。

つまり、1年未満の定期借家契約なら事前通知なしに期間満了と同時に契約終了できるのです。

定期借家契約のメリット

次に、これらを踏まえたうえで、私が考える定期期借家契約のメリットについてもお話したいと思います。

①契約終了と同時に不良入居者を退去させられる

前述しましたが、滞納癖やマナーを守らない不良入居者を、契約満了と同時に退去させることが可能です。

例えば、ペット可マンションなどを定期借家契約にすることで、トラブルの長期化を防止できます。

②家賃の改定が比較的容易

再契約時に家賃の改定を比較的容易に行なえます。

普通借家契約のように、話し合いがまとまらず、調停や裁判で決着がつくまで家賃改定ができないということもありません。

家賃を改定する場合は、契約終了6ヵ月前までに送る「契約終了に関する通知書」のなかに、再契約に関する賃料などの条件を明記しておくようにします。

③立退料や正当事由が必要ない

定期借家契約には更新の概念はなく、契約終了により立ち退かせることが可能です。

貸主さんの正当事由も必要ありません。

④自宅を賃貸に出せる

例えば、転勤などで数年間空いてしまう自宅を一定期間だけ貸すことも可能です。

契約が終了すれば、自宅に戻れるため、安心して転勤先に赴任できます。

⑤契約期間を自由に設定できる

1ヵ月や1週間といった1年未満の契約なども有効です。

そのため、外国人などで連帯保証人がつけられない人や、就職が決まっていないような場合、まずは1ヵ月ごとの定期借家契約にし徐々に契約期間を長くしていく方法も可能です。

これで滞納リスクを軽減できます。

可能なものから切り替えていく

以上のように定期借家契約は、大家さんにとってメリットの多い制度ですが、住居の場合は定期借家制度が施行される以前(2000年2月末以前)の契約については「当事者同士で合意解約し定期借家契約で契約し直すことはできない」と規定されています。

ただし、これは法律が施行された2000年3月1日以降になされた普通借家契約は適用されませんので可能なものから切り替えるのが良いと思います。

とはいえ、一般的には借主さんに定期借家契約へ切り替えるメリットはないといわれています。

普通借家契約は、更新を繰り返すことで半永久的に住み続けられるうえに、貸主さんから契約解除や更新拒絶を受けた場合、貸主さんの正当事由を補完する相応の対価として立退料などを要求できるからです。

しかし、実際はそうとは限りません。

借主さんは、立退料を目当てに入居しているわけではありませんし、住環境の良い部屋に適正家賃で住み続けられれば問題ないわけです。

定期借家契約にしていくことで、「不良入居者を排除できて良好な住環境を保てます」などのメリットを説明し、切り替えを促進しましょう。

タイミングとして理想的なのは、借主さんが入れ替わる時などです。

また、入居中の場合は、更新時に申し出るのがいいと思います。

もしも、現状で家賃の減額などを要求されていたら絶好の機会です。

減額幅にもよりますが、受け入れる条件を定期借家契約にするわけです。

ちなみに、私も以前2000円家賃を下げる代わりに定期借家契約に切り替えて頂いた経験があります。

みなさんも、上手く定期借家契約を活用してください。