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空室と同じ損失になる!家賃滞納の有効な対応術

公開日: 2022年06月08日

一時的な問題の場合は解決策を提案していく

こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。

賃貸経営において、最も厄介なトラブルは家賃滞納といっても過言ではありません。

優れた空室対策を行い満室経営を実現しても、家賃滞納を解決できなければ、空室があるのと変わらないからです。

そこで、今回は家賃滞納が発生した時の上手な対応術を時間軸で解説します。

様子を伺いながら、対応を変化させていく

○滞納1日目=お尋ね連絡

家賃滞納は、事実が発覚したその日に素早く対応することが大切です。

方法としては、携帯電話や自宅などに「お尋ね連絡」をするのが基本になります。

この段階では「お忘れではありませんか?」程度のソフトなアプローチを心がけましょう。

不在の場合は、留守番電話にメッセージを残しておくようにします。

同様の内容のメモをポストに投函したり、電子メールで連絡をするのもいいでしょう。

○滞納3日目=お尋ね再連絡

前回のアプローチで連絡が取れなかった場合、再度お尋ね連絡を行ないます。

郵便ポストに「お尋ねメモ」を投函しているなら、それがなくなっているかも確認しましょう。

もしメモがなくなっていたら、入居者は滞納の事実を確認しているはずです。

それでも振り込まれない場合、慎重に対応していく必要があります。

○滞納7日目=まめに電話連絡

携帯電話では居留守を使われることもあるため、状況によっては勤務先にも連絡します。

この段階までくると、うっかりではなく何かの事情で家賃が支払えないことが想定されるからです。

もしかすると、夜逃げという事態になっているかもしれません。

まずは、連絡を取ることを第一に考えて根気強くアプローチを続けます。

○滞納10日目=連帯保証人に対して連絡

この段階でも、家賃の振り込みがない場合は連帯保証人へ連絡を取ります。

ただし、滞納者の代わりに家賃を支払ってもらうのが目的ではありません。

仮に、連帯保証人に滞納分を支払ってもらっても、根本的な問題解決にならないからです。

そこで、まずは連帯保証人に味方になってもらい、滞納者へ家賃を支払うように連絡をしてもらいましょう。

連帯保証人から連絡が取れた場合は、家賃が振り込まれる可能性が高いといえます。

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○滞納14日目=滞納の原因が一時的かの確認と対応策の検討

滞納の事実が発覚して2週間が経過しても家賃の支払いがない場合、自宅を訪問し事情を伺う必要があります。

例えば、仕事を辞めてしまったという場合なら、次の就職先は決まっているのか…給料が入る日や家賃が支払える日はいつか…などを直接確認します。

滞納が一時的な問題なら、連帯保証人や家族から工面できないか、さらに分割払いで対応する方法などを提案していきます。

お互いが納得できる支払い方法が固まったら、絶対に口約束にはせず、覚書などの書面を取り交わすようにしましょう。

もしも、今後も支払える見込みがないのであれば、実家に帰ることや安い家賃の物件に転居してもらう方法などを模索しながら話し合いを続けていくことになります。

それでも支払ってもらえない場合

家賃滞納の原因が、一時的な理由ではない時には、退去してもらう方向で交渉することになります。

ただし、家賃が支払われないからといって、すぐに立ち退かせることはできません。

また滞納が続くからといって、勝手に部屋の鍵を交換したり、部屋に立ち入って荷物を出すようなことは絶対にしてはいけません。

このような行為は民法の考え方である「自力救済の禁止」に抵触し、損害賠償請求をされる恐れがあります。

強引な取り立て行為も厳禁で、20時以降の取り立て訪問などは法律で禁止されているのです。

このような点に留意しながら、早期退去の方向で動く必要があります。

理由は、建物の明け渡し請求と滞納家賃の請求では、法的手段の難易度に大きな差があるからです。

基本的に、家賃不払いによる建物の明け渡し訴訟と滞納家賃の請求訴訟は、別々の裁判になります。

しかも、普通借家契約では、入居者に継続して住みたいという意思があり、家賃の不払いがあっても支払う意思があれば継続して居住させなければなりません。

そのため、1ヵ月程度の家賃不払いでは明け渡し訴訟を起こすことはできないのです。

過去の判例をみても、滞納がおおむね3ヵ月以上になって、法的な明け渡し請求ができるといえます。

つまり、仮に滞納家賃の請求訴訟で勝訴しても、退去させるには家賃不払いによる建物明け渡し訴訟と強制執行の申し立てが必要になり、大変な時間と費用がかかってしまうわけです。

建物を明け渡してもらうためには、基本的に民事調停、通常訴訟による方法しかありません。

民事調停は低額な費用で解決できますが、滞納者に簡易裁判所に出向いてもらうなどの協力が必要です。

もしも、出廷協力が得られなければ、明け渡し訴訟による解決しかないのです。

明け渡し訴訟では、勝訴の判決を取ってから明け渡しの強制執行手続きという手順を踏まなければならないため、提訴から完全な明け渡しまでに1年ほどの時間がかかります。

さらに、強制執行まで含めると、費用も100万円ほど必要です。

係争中は、滞納家賃がかさむでしょうし、時間をかけるほど大家さんの損失が甚大になってしまうのです。

そのため、滞納トラブルが長期化しそうな場合は、すぐに弁護士さんなどに相談し、訴訟の準備を始める必要があります。