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アメリカの家賃上昇がエグい!

公開日: 2022年08月18日

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こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。

今日は、アメリカの賃貸市場についてお話ししたいと思います。

今、世界的にインフレ対策が行われていますね。

インフレが起きた発端としては、コロナの影響を最小限に抑えるために、世界中でお金を刷ってばらまいたことがあります。

さすがにこれだけの金融緩和をやれば、景気も株価も上昇しますので、コロナ明けは必ずインフレになる、とみんな予測していました。

 

不動産を含め、様々な物の値段が急上昇している

実際アメリカでは、かなり急激なインフレになっていて、2022年7月の消費者物価指数は、前年に比べて9.1%も増えています。

このインフレ率の伸びは、1981年以来、つまりちょうど30年前の高インフレ率を上回ったということがわかっています。

個別に見てみると、ガソリン価格が35%、食品も11%上昇していて、ありとあらゆる物の値段が上がっています。

これは日本も同じで、ガソリンについては、今は税金で調整して低く抑えられていますが、その他の原材料はかなり値上がりしています。

例えば、我々がいる建築業界では、木材が昨年と比べて5割も上がっていますし、食品や電気料金もとても上がっていますね。

そして、不動産価格も非常に値上がりしています。

なぜインフレになると不動産価格が上がるのかについては、折に触れてYouTubeなどで説明していますが、まずインフレになるとお金の価値が下がりますね。

要するに、物の価値が上がっていくのに収入が増えていかないと、例えば1万円で買えるものが、次は2万円出さないと買えなくなります。これがお金の価値が下がっているということです。

このお金の下落を嫌う人達は、そのお金をコモディティ(不動産や金、原油や穀物などの実物資産)に投資するようになります。

その結果、不動産価格が上昇しているのです。

さらに、アメリカの不動産価格が上がっている理由としては、金利が下がったために住宅ローンの金利も下がり、ローンが組みやすくなったので、みんなが住宅を買う方向に向かったということもあります。

 

アメリカでは、家賃も爆上がりしている

この動きは日本も同じで、日本でもこの2~3年で不動産価格が非常に上がってきています。

しかし、インフレ下における日本とアメリカの不動産市場には、決定的な違いがひとつあります。

それは何かと言うと、アメリカは物件の価格だけでなく、家賃も爆上がりしているのです。

具体的には、この1年間で全米の平均家賃は24%も上昇していて、ニューヨークなどは46%も上がっています。

実際、僕はアメリカのある都市で物件を所有していて、賃貸に出していますが、昨年は家賃が2,400ドルだったところを、この1年間で3,200ドルまで上げました。

実際に3割以上の家賃上昇を経験してみて、アメリカってすごいなと実感しています。

ただ、元々は2,900ドルの家賃をコロナの影響で2,400ドルまで下げてあげていたので、実質的な家賃の上昇は、コロナ前と比べて1割くらいだと思います。

とはいえ、アメリカのインフレは物件の価格だけではなくて、家賃もちゃんと同じように上がっていっているのです。

 

日本の家賃が上がらない構造的な理由

一方で、日本では不動産価格が上がっても家賃は上がりません。

なぜかと言うと、日本の構造的なものが原因です。

まず、日本では人口が減っていて、空き家が年々増えています。現在、日本の空き家は全国に850万戸もあり、その空き家率は約14%にものぼります。

さらに、今はローン金利が安く、賃貸よりも持ち家の購入に走る人がとても多いことも要因のひとつです。

さらに、決定的な構造上の問題は、日本では法的に、アメリカのように家賃を上げられないという実情があります。

日本の法律では、家主よりも入居者を手厚く保護する法律になっているからです。

一方で、アメリカの賃貸では、家主と借主が対等な立場になっているというか、どちらかというと家主の方が強い権利を持っていて、割と簡単に家賃の改定ができるようになっています。

滞納でもしようものなら、すぐに警察が立ち会って立ち退きを迫られますし、すぐに裁判で訴えられたりします。

契約の更新時に、「家賃を値上げします。この金額を払えないのであれば、とっとと出て行ってくれ」と言えるような法律になっているのです。

このような状況から、アメリカでは賃料の改定が容易になっているわけです。

さらに、今、アメリカがインフレ対策として、金利を上げていっていますが、そうなると住宅ローンの金利もあがって条件が厳しくなるので、賃貸需要が多くなり、その結果、家賃も上がるという極めて健全で合理的な理屈で、家賃も上がっていっています。

翻って、日本は不動産のマーケット自体が、昔から健全ではないので、インフレになっても家賃がなかなか上げられません。

そのため、日本の不動産はもしかしたら、完全な意味でのインフレヘッジにはならないかもしれません。

日本でも、金利が上がって持ち家が手に入りにくくなったら家賃も上がるかもしれませんが、空室が850万戸もある状態ですので、それも期待薄というところが実態なのかなと思います。

今日は、アメリカの家賃はなぜ上がるのか?日本との構造の違いについて解説しました。


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