ブログ

最高裁の判決で、家賃滞納の“追い出し条項”が無効に?不動産投資への影響を徹底解説!

公開日: 2023年01月21日

▼今日の記事を音声で楽しみたい方はこちら


こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。

先日、最高裁の判決で、「家賃滞納の“追い出し条項”が無効にされた」というニュースを目にしました。

今回の最高裁判決は、賃貸業界に激震が走っています

「滞納をしても、立ち退かせることができなくなるのでは?」
「契約書に書いてあっても、無効になってしまうなんて・・・」

と懸念の声も聞かれ、今後の不動産投資に大きな影響を与えかねません。

そこで今回は、裁判の概要から今後の賃貸業界への影響、大家がとるべき対策について詳しく解説していきます。ぜひ最後までご覧ください。

 

裁判の概要

今回の裁判は、家賃保証会社が賃借人と結んでいる特約について、その契約条項の是非が問われたものです。

一体どのような特約を結んでいたかというと、

「賃貸住宅の家賃を、借主が2ヶ月滞納し、借主と連絡も取れない場合、借主が物件を明け渡したとみなして、退去手続きに入ることができる」

というものです。

この裁判は、2022年12月12日に最高裁の判決が下されました。

結果はというと、最高裁はこの条項を「違法」とする判決を下し、特約条項の差し止めが命じられてしまったのです。

 

裁判の争点と、賃貸業界への影響は?

今回の判決を受けて、「入居者が家賃を滞納しても、今後は入居者を追い出すことができないのか?」というと、実はそうではありません。

というのも、今回の裁判結果というのは、「“2ヶ月で”立ち退きを迫るのは、消費者契約法に基づくとあまりにも一方的であり、違法」という判決でした。

この“2ヶ月”という支払い猶予の期間が争われたのであって、滞納に起因する立ち退き自体が違法、ということではないんですよね。

滞納に起因する裁判というのはこれまでも判決がありましたが、支払い猶予の期間は3ヶ月が基準となっていました。

これは暗黙の了解のようなものでしたが、それが今回初めて、「3ヶ月間は入居者に支払いの猶予を与えなさい」最高裁の判決で明確になった、ということになります。

今回の判決を踏まえると、今後の賃貸業界では

・滞納に起因する賃貸借契約の解除自体は可能
・入居者が3ヶ月間家賃滞納をしたら、契約解除の裁判をして判決をとり、それでも退去しない場合は強制執行で立ち退かせることができる


という基準が明確になったというわけです。

 

日本は借主に甘い!欧米は真逆

そもそも日本は、大家よりも借主の方が強い権利を持っている不可思議な国です。

例えばアメリカの場合は、たった1日でも家賃の支払いが遅れたら、滞納金を払わないと契約を継続することができません

2週間も家賃滞納をしてしまうと、何の予告もなく訴状が届きます。

ちなみに、僕が所有するアメリカのコンドミニアムは、中華系アメリカ人の一家が借りてくれているのですが、契約開始の8月から一度も期日を守って振り込んでもらえず、毎月、法的手続きに入る直前に駆け込みで支払いがなされています。

そのため、入居者は延滞のペナルティーとして毎月150ドル(2万円)を余計に払ってくれている状態です。

多めに振り込まれるのは僕にとっては嬉しいことなので、「また来月も滞納してくれないかな~」なんて思っているのですが(笑)

 

滞納は最低⚪︎ヶ月分の機会損失!大家が打つべき対策とは

先ほどは欧米の例を上げましたが、日本はというと、入居者が家賃滞納をしていたとしても、すぐに法的手段に入ることができません

そして、入居者が家賃滞納をしてしまうと、立ち退きまでのリードタイムとして8ヶ月は家賃損失が発生してしまうことになります。

3ヶ月の家賃滞納→契約解除の訴訟開始、判決が出るまでに3ヶ月→強制退去までの2ヶ月計8ヶ月です。

そのため、家賃滞納対策としては滞納保証の一択しかないと思います。

滞納保証の中には、訴訟費用のみならず、残置物の撤去費用や原状回復費用などもカバーされるものがありますので、そういったものに入っておくのがマストです。

そして、家賃滞納だけではなく、近隣に迷惑をかけるモンスター入居者などのトラブルの早期解決においては、定期借家契約がマストです。

日本では、店子さんは「弱者」という立場になっています。それを逆手にとられ、要らぬトラブルに大家さんが巻き込まれないようにする必要があります。

賃貸経営をしている人は、必ず

・滞納保証
・定期借家契約


を守るようにした方が良いでしょう。

▼ウラケンに質問できるオンラインサロンはこちら