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入居者から「ペット可」にしてほしいと相談が…あなたならどうする?
公開日: 2023年02月03日
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こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。
今日は、入居者がペットを飼いたい!と言ってきたらどうするか?というお話をしたいと思います。
これからの賃貸業というのは、少子高齢化により空室率がどんどん高まっていきますので、限られた入居者を奪い合う戦国時代に突入してきます。
大家さんも、以前の常識に縛られずフレキシブルに対応していかなければ、なかなか満室経営はできない時代です。
実際にあった事例をもとにお話ししますので、あなたならどうするか?ぜひ一緒に考えてみてください。
入居途中で「ペットを飼いたい」と言われた事例
まず、今回の事例の前提条件を共有しておきましょう。
・築10年の比較的新しい戸建賃貸
・もともとペット不可
・現在の入居者が退去したとしても、比較的早く次の入居者が決まりそう
・現在の入居者は10年間借りてくれている
そんな物件の入居者が、ペットを飼いたいと言いだしました。親が施設に入るので、実家の犬を預からないといけなくなってしまったそうです。
本来はペット不可の物件ですので、ペットを飼いたいなら退去しなければなりません。
ただし、10年も住んでいて、近くにお友達もいるし、まだまだずっとこの物件に住み続けたい・・・ということでした。
この入居者は、管理会社に次のように相談してきたそうです。
「ペット不可なのは理解しているけれど、今より家賃が高くなってもいいし、敷金を積み増してもいい。ペットは小型犬のトイプードルでしっかり躾がされていて、性格も大人しく、無駄吠えも全くしない。もしペットを許可されなければ、3月末で退去するしかない」
さて、あなたが大家さんであればどのように対応しますか?
もともとペット不可で、次の客付もそこまで苦労することはないと思われるので、断ることもできるしょうし、ある程度の条件を追加してそれを飲んでくれればOKにする、といった方法もありますね。
条件というのは、例えば、家賃を1割り上げて、敷金をもう1か月分積み増してもらう・・・といったことが考えられるでしょう。
ペット可の判断は「感情論」と「経済合理性」の2つの側面から
ペット不可の物件をペット可にするときに考える論点は2つあると思います。
1つは「感情論」で、もう1つは「経済合理性」です。
感情論で考えられること
ペット不可にする大家側の感情論としては、物件を汚されたり、傷をつけられたりしたくないということがあると思います。
無駄吠えや飛びかかりなどをして、近隣に迷惑をかけて欲しくないということもあるかもしれません。
また、ペット可にしなくても稼働率を維持できる物件なので、ハナから「とにかくペットはダメです」と却下することもあるかもしれません。
経済合理性から考えられること
もう1つは、経済合理性についてです。
今回のペットを飼いたいというオファーを拒否した場合、入居者は3月末で退去するといっています。
不動産業界の繁忙期は大体3月で終わってしまうので、退去後の4月には繁忙期が終わってしまっています。そうなれば、次の入居者を見つけるまでに、2~3ヶ月ぐらいはかかるかもしれません。
さらに、10年も住んでいたので、退去時の原状回復リフォームの費用はそれなりにかかりそうです。
僕の経験では、10年以上住んでいるお部屋の原状回復には、およそ家賃の2~3ヶ月分はかかってきます。
さらに10年住んでいるということであれば、壁紙などの消耗品は減価償却が済んでいるという考え方になるので、国交省のガイドラインに従うと、おそらく原状回復の費用の50%以上は家主持ちになると思います。
さらに、リフォーム期間も考えないといけません。
業者さんが部屋の中を確認し、見積し、施工してもらい、確認して、その後の引っ越し・・・となれば、最低でも1ヶ月はかかります。
3月末に退去して、4月のリフォーム中に入居募集を開始したとしても、繁忙期はすでに終わっていますから、次の入居者が決まって引っ越しが完了するのは5月末くらいになるでしょう。
そうすると、4~5月までの2ヶ月分の家賃は入ってこないということになります。
さらに、新たに入居の募集をするとなれば、客付けの管理会社に広告料を1ヶ月分は払う必要があります。
ということで、ペット可のオファーを断ったとすると、
・リフォームコストに約2ヶ月分
・空室の期間が約2ヶ月
・広告料を1ヶ月分
ということで、約5ヶ月分の家賃の損失になります。
この物件の家賃は15万円だったので、75万円の損失が家主側に発生します。これは結構大きいですよね。
一方で、ペットOKにした場合、この約75万の損失はありません。
逆に、家賃を1割高くして1万5,000円アップしたとすると、年間18万円の収入増になります。
さらに、いま預けている敷金2ヶ月分を退去時に償却するということになれば、退去時の原状回復におけるオーナーの負担というのは、ほぼなくなってきます。
ということで、経済合理的に考えた場合、ペットOKにした方が絶対にお得ですし、ペット可の物件というのはまだまだ少ないので、さらに長く住んでもらえる可能性も高くなります。
まずはペットに会って、それから判断しよう
もちろん、物件を大事にしたいという気持ちは分かります。
ただ、僕はこういったケースは頭ごなしに断らずに、感情論は切り離して、まずは実際にペットに会ってみて、それから考えてもいいのではないかなと思っています。
ところで、この大家さんが最終的にどう対応したかということですが、「もともとペット不可でやっていたので、ダメと断った」とのことです。
以上、今日は入居者がペットを飼いたい!と言ってきたらどうするか?というお話でした。あなたもご自身だったらどうするか?ぜひ考えてみてください。
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こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。
今日は、入居者がペットを飼いたい!と言ってきたらどうするか?というお話をしたいと思います。
これからの賃貸業というのは、少子高齢化により空室率がどんどん高まっていきますので、限られた入居者を奪い合う戦国時代に突入してきます。
大家さんも、以前の常識に縛られずフレキシブルに対応していかなければ、なかなか満室経営はできない時代です。
実際にあった事例をもとにお話ししますので、あなたならどうするか?ぜひ一緒に考えてみてください。
入居途中で「ペットを飼いたい」と言われた事例
まず、今回の事例の前提条件を共有しておきましょう。・築10年の比較的新しい戸建賃貸
・もともとペット不可
・現在の入居者が退去したとしても、比較的早く次の入居者が決まりそう
・現在の入居者は10年間借りてくれている
そんな物件の入居者が、ペットを飼いたいと言いだしました。親が施設に入るので、実家の犬を預からないといけなくなってしまったそうです。
本来はペット不可の物件ですので、ペットを飼いたいなら退去しなければなりません。
ただし、10年も住んでいて、近くにお友達もいるし、まだまだずっとこの物件に住み続けたい・・・ということでした。
この入居者は、管理会社に次のように相談してきたそうです。
「ペット不可なのは理解しているけれど、今より家賃が高くなってもいいし、敷金を積み増してもいい。ペットは小型犬のトイプードルでしっかり躾がされていて、性格も大人しく、無駄吠えも全くしない。もしペットを許可されなければ、3月末で退去するしかない」
さて、あなたが大家さんであればどのように対応しますか?
もともとペット不可で、次の客付もそこまで苦労することはないと思われるので、断ることもできるしょうし、ある程度の条件を追加してそれを飲んでくれればOKにする、といった方法もありますね。
条件というのは、例えば、家賃を1割り上げて、敷金をもう1か月分積み増してもらう・・・といったことが考えられるでしょう。
ペット可の判断は「感情論」と「経済合理性」の2つの側面から
ペット不可の物件をペット可にするときに考える論点は2つあると思います。1つは「感情論」で、もう1つは「経済合理性」です。
感情論で考えられること
ペット不可にする大家側の感情論としては、物件を汚されたり、傷をつけられたりしたくないということがあると思います。
無駄吠えや飛びかかりなどをして、近隣に迷惑をかけて欲しくないということもあるかもしれません。
また、ペット可にしなくても稼働率を維持できる物件なので、ハナから「とにかくペットはダメです」と却下することもあるかもしれません。
経済合理性から考えられること
もう1つは、経済合理性についてです。
今回のペットを飼いたいというオファーを拒否した場合、入居者は3月末で退去するといっています。
不動産業界の繁忙期は大体3月で終わってしまうので、退去後の4月には繁忙期が終わってしまっています。そうなれば、次の入居者を見つけるまでに、2~3ヶ月ぐらいはかかるかもしれません。
さらに、10年も住んでいたので、退去時の原状回復リフォームの費用はそれなりにかかりそうです。
僕の経験では、10年以上住んでいるお部屋の原状回復には、およそ家賃の2~3ヶ月分はかかってきます。
さらに10年住んでいるということであれば、壁紙などの消耗品は減価償却が済んでいるという考え方になるので、国交省のガイドラインに従うと、おそらく原状回復の費用の50%以上は家主持ちになると思います。
さらに、リフォーム期間も考えないといけません。
業者さんが部屋の中を確認し、見積し、施工してもらい、確認して、その後の引っ越し・・・となれば、最低でも1ヶ月はかかります。
3月末に退去して、4月のリフォーム中に入居募集を開始したとしても、繁忙期はすでに終わっていますから、次の入居者が決まって引っ越しが完了するのは5月末くらいになるでしょう。
そうすると、4~5月までの2ヶ月分の家賃は入ってこないということになります。
さらに、新たに入居の募集をするとなれば、客付けの管理会社に広告料を1ヶ月分は払う必要があります。
ということで、ペット可のオファーを断ったとすると、
・リフォームコストに約2ヶ月分
・空室の期間が約2ヶ月
・広告料を1ヶ月分
ということで、約5ヶ月分の家賃の損失になります。
この物件の家賃は15万円だったので、75万円の損失が家主側に発生します。これは結構大きいですよね。
一方で、ペットOKにした場合、この約75万の損失はありません。
逆に、家賃を1割高くして1万5,000円アップしたとすると、年間18万円の収入増になります。
さらに、いま預けている敷金2ヶ月分を退去時に償却するということになれば、退去時の原状回復におけるオーナーの負担というのは、ほぼなくなってきます。
ということで、経済合理的に考えた場合、ペットOKにした方が絶対にお得ですし、ペット可の物件というのはまだまだ少ないので、さらに長く住んでもらえる可能性も高くなります。
まずはペットに会って、それから判断しよう
もちろん、物件を大事にしたいという気持ちは分かります。ただ、僕はこういったケースは頭ごなしに断らずに、感情論は切り離して、まずは実際にペットに会ってみて、それから考えてもいいのではないかなと思っています。
ところで、この大家さんが最終的にどう対応したかということですが、「もともとペット不可でやっていたので、ダメと断った」とのことです。
以上、今日は入居者がペットを飼いたい!と言ってきたらどうするか?というお話でした。あなたもご自身だったらどうするか?ぜひ考えてみてください。
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