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トルコ大地震に学ぶ、建物の耐震性と大家さんの責任
公開日: 2023年02月16日
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こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。
今、トルコでの地震被害が大変なことになっていますよね。どんどん被害が拡大しており、犠牲者の数は現時点で3万人を上回っています。
2011年の東日本大地震の犠牲者は1万6千人でした。その規模と比べても、今回のトルコ地震は甚大な被害を出していることがわかると思います。
ただ、東日本大震災と違う点としては、今回のトルコ地震は建物の倒壊で亡くなった方がほとんど、という点です。
日本の地震では、建物の倒壊は多くありません。東日本大震災では、犠牲者のほとんどは津波によるものでした。阪神大震災でも、地震後の火災で亡くなっている人が多かったんですよね。
つまり、日本の建物の耐震性は世界一厳しいため、建物倒壊による犠牲者は少なかった、と結論づけることができると思います。
海外の建物の耐震性は、日本と比較して低いのか?
では、なぜ今回のトルコ地震で多くの建物が倒壊したのでしょうか。
まず1つは、築年数が経過した耐震性の低い建物が多かったのではないか?ということです。トルコでも、1999年に耐震基準が強化されていたらしいのですが、ヨーロッパはそもそも古い建物が多いですから、旧耐震基準の建物が多かったのではないか?と僕はみています。
また、2つ目として、新興国にありがちな違反建築も要因ではないかと思います。実際に先日は、違反建設に関わった業者・設計士が空港で高飛びしようとしたところ、身柄を拘束された、というニュースが報じられていました。
トルコをはじめとする新興国はそもそもの所得水準が低い国なので、壁を薄く作ったり、必要な柱の本数を抜いたり・・・という違反建築が結構あったのではないかと推測しています。
そして、たとえ違反が見つかった場合であっても、修繕するお金がないため、罰金で済ませていたケースがかなり多いと思います。
ちなみに、僕が住んでいるマレーシアはトルコよりも若干の発展はしているものの、“新築”マンションであるにも関らず、壁に既にヒビが入っていたり、築10年かと思うくらい建物が汚かったりすることがあります。
また、僕の住んでいるコンドミニアムも、4年前に新築されたとは思えないほどで、日本の建物とは比べられないくらい品質が低いです。
マレーシアには地震がないとはいえ、それでも「こんなに細い柱で、いざという時に大丈夫なのか?」と思うことはよくあります。そのたびに、「地震国に住んでいなくてよかった・・・」と改めて実感します。
では、日本の建物の耐震性は大丈夫なのか?
さて、この地震のニュースを踏まえて気になるのは、「日本の建物の耐震性は大丈夫なのか?」ということですよね。
「大震災級の地震が発生したとしても、一定の安心感を抱くことができる」と言われているのは、「1981年以降に建てられた新耐震基準の建物」です。
・新耐震基準は、「震度6~7の地震」でも倒壊しない構造
・旧耐震基準は、「震度5の地震」でも倒壊しない構造
となっています。
1981年というのは、現在(2023年)から遡ると42年前です。そのため、築42年を過ぎた建物は旧耐震で建てられているということになります。築42年以上の物件については、しっかり耐震性をチェックして、木造であればシロアリが食っていないか、チェックするのが望ましいでしょう。
ただし、いくつか注意があります。
まず、大地震が起きた時に、どのような力の加わり方をするかで、新耐震でも、絶対に倒壊しないとは言い切れません。逆に言えば、旧耐震でもそこそこ堅固な建物はあるということです。
また、日本でも以前、姉歯事件というのがありました。デベロッパーの指示により、構造偽装をして安く分譲マンションを建築し、デベロッパーが利益を貪っていたわけです。僕らはこういった違反建築にも気をつけなくてはいけません。
不動産投資で、大家さんがやっておくべき耐震対策
日本では大なり小なり、毎年どこかで命の危険を感じるような地震が発生しています。
たとえ建物が崩壊しなかったとしても、タイルが剥がれたり、ひさしが落ちたり・・・という被害が発生する可能性は、新耐震基準でもあります。
不動産投資で重要なのは、旧耐震の建物について、すべてガチガチに補強をしなければならない、ということではありません。
それは予算的にも不可能ですし、必ず新耐震基準に合致するように補強しなさい、と法律で規制されているわけではないんですよね。
では、どこを気をつけるべきかというと、
地震が起きた時に
・倒壊する可能性がある
・ひさしが落ちる可能性がある
・ブロック塀が倒れる可能性がある
・・・など、現状の危険性を認識している場合(ヒビが入っている、剥がれかけている、ぐらぐらしている等)は、放置せずに補強/補修をする、ということです。
そうしないと、万が一地震が発生し、入居者が亡くなったり、第三者が被害を受けてしまったりすると、民法の規定する「土地工作物責任」を持ち主が問われることとなり、損害賠償をしなければならなくなることもあります。
実際に阪神淡路大震災の時は、「もしも地震が発生すれば、ひさしが落ちる可能性がある」ということをオーナーが認識していたのにも関わらず、それを放置して入居者が亡くなってしまったために、損害賠償を支払わらなければならなくなった、ということがありました。
こうした被害を未然に防ぐためにも、対策としては耐震診断をするのが一番です。
一般的にはお金がかかるものではありますが、補助金を拠出している自治体も多く、無料で耐震診断ができる場合もあります。ですので、ぜひお近くの自治体のホームページをチェックしてみましょう。
あとは、必要なことをしつつ、保険でカバーするしかありません。これだけの地震大国ですから、地震保険に対して高いだの安いだの文句を垂れている場合ではないわけです。
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こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。
今、トルコでの地震被害が大変なことになっていますよね。どんどん被害が拡大しており、犠牲者の数は現時点で3万人を上回っています。
2011年の東日本大地震の犠牲者は1万6千人でした。その規模と比べても、今回のトルコ地震は甚大な被害を出していることがわかると思います。
ただ、東日本大震災と違う点としては、今回のトルコ地震は建物の倒壊で亡くなった方がほとんど、という点です。
日本の地震では、建物の倒壊は多くありません。東日本大震災では、犠牲者のほとんどは津波によるものでした。阪神大震災でも、地震後の火災で亡くなっている人が多かったんですよね。
つまり、日本の建物の耐震性は世界一厳しいため、建物倒壊による犠牲者は少なかった、と結論づけることができると思います。
海外の建物の耐震性は、日本と比較して低いのか?
では、なぜ今回のトルコ地震で多くの建物が倒壊したのでしょうか。まず1つは、築年数が経過した耐震性の低い建物が多かったのではないか?ということです。トルコでも、1999年に耐震基準が強化されていたらしいのですが、ヨーロッパはそもそも古い建物が多いですから、旧耐震基準の建物が多かったのではないか?と僕はみています。
また、2つ目として、新興国にありがちな違反建築も要因ではないかと思います。実際に先日は、違反建設に関わった業者・設計士が空港で高飛びしようとしたところ、身柄を拘束された、というニュースが報じられていました。
トルコをはじめとする新興国はそもそもの所得水準が低い国なので、壁を薄く作ったり、必要な柱の本数を抜いたり・・・という違反建築が結構あったのではないかと推測しています。
そして、たとえ違反が見つかった場合であっても、修繕するお金がないため、罰金で済ませていたケースがかなり多いと思います。
ちなみに、僕が住んでいるマレーシアはトルコよりも若干の発展はしているものの、“新築”マンションであるにも関らず、壁に既にヒビが入っていたり、築10年かと思うくらい建物が汚かったりすることがあります。
また、僕の住んでいるコンドミニアムも、4年前に新築されたとは思えないほどで、日本の建物とは比べられないくらい品質が低いです。
マレーシアには地震がないとはいえ、それでも「こんなに細い柱で、いざという時に大丈夫なのか?」と思うことはよくあります。そのたびに、「地震国に住んでいなくてよかった・・・」と改めて実感します。
では、日本の建物の耐震性は大丈夫なのか?
さて、この地震のニュースを踏まえて気になるのは、「日本の建物の耐震性は大丈夫なのか?」ということですよね。「大震災級の地震が発生したとしても、一定の安心感を抱くことができる」と言われているのは、「1981年以降に建てられた新耐震基準の建物」です。
・新耐震基準は、「震度6~7の地震」でも倒壊しない構造
・旧耐震基準は、「震度5の地震」でも倒壊しない構造
となっています。
1981年というのは、現在(2023年)から遡ると42年前です。そのため、築42年を過ぎた建物は旧耐震で建てられているということになります。築42年以上の物件については、しっかり耐震性をチェックして、木造であればシロアリが食っていないか、チェックするのが望ましいでしょう。
ただし、いくつか注意があります。
まず、大地震が起きた時に、どのような力の加わり方をするかで、新耐震でも、絶対に倒壊しないとは言い切れません。逆に言えば、旧耐震でもそこそこ堅固な建物はあるということです。
また、日本でも以前、姉歯事件というのがありました。デベロッパーの指示により、構造偽装をして安く分譲マンションを建築し、デベロッパーが利益を貪っていたわけです。僕らはこういった違反建築にも気をつけなくてはいけません。
不動産投資で、大家さんがやっておくべき耐震対策
日本では大なり小なり、毎年どこかで命の危険を感じるような地震が発生しています。たとえ建物が崩壊しなかったとしても、タイルが剥がれたり、ひさしが落ちたり・・・という被害が発生する可能性は、新耐震基準でもあります。
不動産投資で重要なのは、旧耐震の建物について、すべてガチガチに補強をしなければならない、ということではありません。
それは予算的にも不可能ですし、必ず新耐震基準に合致するように補強しなさい、と法律で規制されているわけではないんですよね。
では、どこを気をつけるべきかというと、
地震が起きた時に
・倒壊する可能性がある
・ひさしが落ちる可能性がある
・ブロック塀が倒れる可能性がある
・・・など、現状の危険性を認識している場合(ヒビが入っている、剥がれかけている、ぐらぐらしている等)は、放置せずに補強/補修をする、ということです。
そうしないと、万が一地震が発生し、入居者が亡くなったり、第三者が被害を受けてしまったりすると、民法の規定する「土地工作物責任」を持ち主が問われることとなり、損害賠償をしなければならなくなることもあります。
実際に阪神淡路大震災の時は、「もしも地震が発生すれば、ひさしが落ちる可能性がある」ということをオーナーが認識していたのにも関わらず、それを放置して入居者が亡くなってしまったために、損害賠償を支払わらなければならなくなった、ということがありました。
こうした被害を未然に防ぐためにも、対策としては耐震診断をするのが一番です。
一般的にはお金がかかるものではありますが、補助金を拠出している自治体も多く、無料で耐震診断ができる場合もあります。ですので、ぜひお近くの自治体のホームページをチェックしてみましょう。
あとは、必要なことをしつつ、保険でカバーするしかありません。これだけの地震大国ですから、地震保険に対して高いだの安いだの文句を垂れている場合ではないわけです。
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