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建築業者は簡単に倒産する?新築一棟投資のリスクと回避策を解説!
公開日: 2023年02月20日
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こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。
最近、不動産投資家の間で人気だった「新築RC専門の建築会社」が倒産した、というニュースが話題になっています。
そこで今回は、なぜ人気の建築会社が倒産したのか?その経緯と、新築一棟投資のリスク、回避策について取り上げていきます。ぜひ最後までご覧ください!
投資家に人気の建築業者が、まさかの倒産
今回倒産したのは、ユービーエム株式会社という東京江戸川区の業者です。
僕は全く知らなかったのですが、「土地を買って新築RCマンションを新築する」手法を取っている不動産投資家の間では、1、2位を争うほどの有名な建築業者だったようです。
この会社の創業は1991年なのですが、2018年の売上はわずか20億円程度でした。RCの建築会社で20億円というのは、非常に小さい規模だと思います。
ところが、「安くて良質な、RC専門の建築会社があるぞ」と投資家の間で噂が広まり、受注が急増したのでしょうか。直近の2022年の決算は、なんと100億円を超えていたんですよね。
そして昨年2022年頃から、「資金繰りがやばい」という噂が流れ始めて、ついに先月1月末には連絡が取れなくなったようです。
帝国データバンクによると、2022年中に着工し、23年1月以降に完成する予定の物件が少なくとも22件あります。また、楽待の取材によると、建築途中の現場がたくさんあり、被害者の数は多そうです。
投資家の間では、「施工品質も良いし、財務状況も良い」という噂で、「すぐに傾くとは思っていなかった」ということでした。
なぜ経営が傾いたのか?ウラケンの予想
では、ユービーエムという会社は、なぜ経営が傾いてしまったのでしょうか?
僕の想像では、おそらく、「建築費高騰の煽りをもろにくらったのではないか?」と思っています。
先ほども書いたように、ユービーエムは2018年くらいまでは売上20億円程度の会社でした。それが、わずか数年で売上が5倍に伸びたわけです。
会社としては、施工管理や設計の人員も増員していたと思います。
ところが、コロナ騒動が発生して、2020年くらいから建築費が高騰し始めます。2021年末には、コロナ前と比べ建設コストが1.5倍になっているんですね。
そうすると、建築コストが嵩んでしまい、
→赤字に転落
→資金繰りが悪化
→金融機関が融資に慎重になる
→運転資金の借り入れが難しくなる
→さらに受注して、手付金をもらって回すしかない・・・
と、自転車操業的になってしまったのではないでしょうか。
加えて、わずか4~5年で請負金額が5倍になっているわけですから、社内の体制も急拡大しているはずです。
そうすると、急ごしらえのスタッフで対応しなければなりませんから、
→途中でやめていく
→現場が滞る
→資金難で支払いが遅れる
→社長がノイローゼ
→連絡が取れなくなる
・・・と、こんなところではないかと思います。(これは僕の勝手な予想ですので、悪しからず)
経営悪化に繋がった、設計施工会社の特有事情
そして、今回のユービーエムという会社は、設計施工の会社です。“設計”と“施工”を一緒に請け負う会社は、実施設計を始める前に一括請負契約をします。1億円の物件なら1億円の請負契約をするわけですね。
1~2億円規模の物件でも、完成するまでに1年~1年半程度はかかっていたのではないかと思います。実施設計をして、建築確認申請、着工するまでに、意外と半年くらいはかかってしまうんですよね。
つまり、設計前に請負契約をして価格が確定してしまっているのに、その後、建築コストが急増してしまい、そのコスト増の分を施主さんに請求できなかったのではないか、と僕は睨んでいます。
不動産投資家に向けた注意喚起。新築一棟投資のリスク回避策とは?
さて、建築業者の倒産ばかりが話題になっていますが、今回の件で最も大きな被害を受けたのは、建築途中の施主さん、つまり不動産投資家です。
では、僕ら不動産投資家は、どうしたらこのような被害を避けられるのでしょうか?
新築一棟投資の具体的なリスク回避策をみていきましょう。
出来高以上の支払いは控えるべし
今すぐできるリスク回避策は、「出来高以上の支払いは控えるべし」という点です。
建築会社と連絡が取れなくなっても、建物の出来高以上に費用を払っていなければ、建築を継続できます。しかし、出来高以上に支払いをしている場合には、返金を期待するのは絶望的だと思います。
なので、みなさんが肝に銘じておくべきことは、新築工事を発注する際は、出来高以上の支払いはしないということです。
ただ、出来高以上の支払いをしていなくても、今回のように建築コストが上がってしまっていると、残代金の1.5倍くらいの支出は覚悟が必要ですが・・・。
見積もりが安い業者は、経営状況をチェックせよ
そして、見積もりが安い業者については、必ずその業者の経営状況をチェックしておきましょう。
新築の見積もりをとるときには、数社に見積もりをとって比較しますよね。その際、ついつい値段が安い業者へ発注しがちですが、何も考えずに発注するのではなく、「なぜ他社より安くできるのか」の理由を確認するようにしましょう。
また、東京商工リサーチなどで経営状況を調べることも有効です。
また、公共工事を請け負っている会社であれば、経営審査事項という成績表を役所へ提出しないといけないのですが、この経営審査事項は一般の人でも見ることができます。
・資格者の数
・現場代理人の数
・売り上げ
・負債
などなど、会社の成績表がバッチリ書いてありますので、経営状況を確認するのにうってつけです。
ウラケンの実体験談
最後に、僕の経験談をお話しします。
実は、僕も新築RCマンションを20年近く前に作ったことがあります。はじめに3~4社に見積もりをとったのですが、他の業者より15%くらい安い業者がいたんですよね。
予算に近かったので発注したくなったのですが、「いやちょっと待てよ」と思い留まりました。なぜなら、その会社は「3割の代金を手付金で支払ったら契約ができる」という条件付きだったからです。
怪しく思った僕は、すぐさまその業者の経営審査事項を調べました。すると、その業者には売上と同じだけの負債があっただけではなく、なんと!他社からの手形の焦付きがあったことが発覚しました。
そこで僕は、施工業者へ「手形が焦付いてませんか?」と聞いたところ、「あ、バレちゃいましたか」と・・・。
もしこの業者に、ただ安いからという理由だけで発注していたら、手付金を3割払ったところですぐに倒産し、今回のユービーエム騒動のようになっていたかもしれません。
まとめ
というわけで、今回は「新築一棟投資のリスク」というテーマで解説してきました。
新築を発注する際に重要なのは、
・出来高以上の支払いをしない
・発注前に経営状況を調査する
の2点です。そうすれば、もし倒産した場合でも建築は継続できますから、被害を最小限に抑えることができます。
あなたが新築工事を発注する際には、ぜひ参考にしてみてください!
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こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。
最近、不動産投資家の間で人気だった「新築RC専門の建築会社」が倒産した、というニュースが話題になっています。
そこで今回は、なぜ人気の建築会社が倒産したのか?その経緯と、新築一棟投資のリスク、回避策について取り上げていきます。ぜひ最後までご覧ください!
投資家に人気の建築業者が、まさかの倒産
今回倒産したのは、ユービーエム株式会社という東京江戸川区の業者です。僕は全く知らなかったのですが、「土地を買って新築RCマンションを新築する」手法を取っている不動産投資家の間では、1、2位を争うほどの有名な建築業者だったようです。
この会社の創業は1991年なのですが、2018年の売上はわずか20億円程度でした。RCの建築会社で20億円というのは、非常に小さい規模だと思います。
ところが、「安くて良質な、RC専門の建築会社があるぞ」と投資家の間で噂が広まり、受注が急増したのでしょうか。直近の2022年の決算は、なんと100億円を超えていたんですよね。
そして昨年2022年頃から、「資金繰りがやばい」という噂が流れ始めて、ついに先月1月末には連絡が取れなくなったようです。
帝国データバンクによると、2022年中に着工し、23年1月以降に完成する予定の物件が少なくとも22件あります。また、楽待の取材によると、建築途中の現場がたくさんあり、被害者の数は多そうです。
投資家の間では、「施工品質も良いし、財務状況も良い」という噂で、「すぐに傾くとは思っていなかった」ということでした。
なぜ経営が傾いたのか?ウラケンの予想
では、ユービーエムという会社は、なぜ経営が傾いてしまったのでしょうか?僕の想像では、おそらく、「建築費高騰の煽りをもろにくらったのではないか?」と思っています。
先ほども書いたように、ユービーエムは2018年くらいまでは売上20億円程度の会社でした。それが、わずか数年で売上が5倍に伸びたわけです。
会社としては、施工管理や設計の人員も増員していたと思います。
ところが、コロナ騒動が発生して、2020年くらいから建築費が高騰し始めます。2021年末には、コロナ前と比べ建設コストが1.5倍になっているんですね。
そうすると、建築コストが嵩んでしまい、
→赤字に転落
→資金繰りが悪化
→金融機関が融資に慎重になる
→運転資金の借り入れが難しくなる
→さらに受注して、手付金をもらって回すしかない・・・
と、自転車操業的になってしまったのではないでしょうか。
加えて、わずか4~5年で請負金額が5倍になっているわけですから、社内の体制も急拡大しているはずです。
そうすると、急ごしらえのスタッフで対応しなければなりませんから、
→途中でやめていく
→現場が滞る
→資金難で支払いが遅れる
→社長がノイローゼ
→連絡が取れなくなる
・・・と、こんなところではないかと思います。(これは僕の勝手な予想ですので、悪しからず)
経営悪化に繋がった、設計施工会社の特有事情
そして、今回のユービーエムという会社は、設計施工の会社です。“設計”と“施工”を一緒に請け負う会社は、実施設計を始める前に一括請負契約をします。1億円の物件なら1億円の請負契約をするわけですね。
1~2億円規模の物件でも、完成するまでに1年~1年半程度はかかっていたのではないかと思います。実施設計をして、建築確認申請、着工するまでに、意外と半年くらいはかかってしまうんですよね。
つまり、設計前に請負契約をして価格が確定してしまっているのに、その後、建築コストが急増してしまい、そのコスト増の分を施主さんに請求できなかったのではないか、と僕は睨んでいます。
不動産投資家に向けた注意喚起。新築一棟投資のリスク回避策とは?
さて、建築業者の倒産ばかりが話題になっていますが、今回の件で最も大きな被害を受けたのは、建築途中の施主さん、つまり不動産投資家です。では、僕ら不動産投資家は、どうしたらこのような被害を避けられるのでしょうか?
新築一棟投資の具体的なリスク回避策をみていきましょう。
出来高以上の支払いは控えるべし
今すぐできるリスク回避策は、「出来高以上の支払いは控えるべし」という点です。
建築会社と連絡が取れなくなっても、建物の出来高以上に費用を払っていなければ、建築を継続できます。しかし、出来高以上に支払いをしている場合には、返金を期待するのは絶望的だと思います。
なので、みなさんが肝に銘じておくべきことは、新築工事を発注する際は、出来高以上の支払いはしないということです。
ただ、出来高以上の支払いをしていなくても、今回のように建築コストが上がってしまっていると、残代金の1.5倍くらいの支出は覚悟が必要ですが・・・。
見積もりが安い業者は、経営状況をチェックせよ
そして、見積もりが安い業者については、必ずその業者の経営状況をチェックしておきましょう。
新築の見積もりをとるときには、数社に見積もりをとって比較しますよね。その際、ついつい値段が安い業者へ発注しがちですが、何も考えずに発注するのではなく、「なぜ他社より安くできるのか」の理由を確認するようにしましょう。
また、東京商工リサーチなどで経営状況を調べることも有効です。
また、公共工事を請け負っている会社であれば、経営審査事項という成績表を役所へ提出しないといけないのですが、この経営審査事項は一般の人でも見ることができます。
・資格者の数
・現場代理人の数
・売り上げ
・負債
などなど、会社の成績表がバッチリ書いてありますので、経営状況を確認するのにうってつけです。
ウラケンの実体験談
最後に、僕の経験談をお話しします。実は、僕も新築RCマンションを20年近く前に作ったことがあります。はじめに3~4社に見積もりをとったのですが、他の業者より15%くらい安い業者がいたんですよね。
予算に近かったので発注したくなったのですが、「いやちょっと待てよ」と思い留まりました。なぜなら、その会社は「3割の代金を手付金で支払ったら契約ができる」という条件付きだったからです。
怪しく思った僕は、すぐさまその業者の経営審査事項を調べました。すると、その業者には売上と同じだけの負債があっただけではなく、なんと!他社からの手形の焦付きがあったことが発覚しました。
そこで僕は、施工業者へ「手形が焦付いてませんか?」と聞いたところ、「あ、バレちゃいましたか」と・・・。
もしこの業者に、ただ安いからという理由だけで発注していたら、手付金を3割払ったところですぐに倒産し、今回のユービーエム騒動のようになっていたかもしれません。
まとめ
というわけで、今回は「新築一棟投資のリスク」というテーマで解説してきました。新築を発注する際に重要なのは、
・出来高以上の支払いをしない
・発注前に経営状況を調査する
の2点です。そうすれば、もし倒産した場合でも建築は継続できますから、被害を最小限に抑えることができます。
あなたが新築工事を発注する際には、ぜひ参考にしてみてください!
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