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銀行の破綻リスクに備える方法
公開日: 2023年03月22日
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こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。
SVB(シリコンバレー銀行)という、アメリカ西海岸に拠点を置く銀行が破綻して、大きなニュースになっていますね。
日本に住んでいる我々にとっても、このニュースは決して対岸の火事ではありません。
日本の金融機関においても、いつ破綻が起きてもおかしくないからです。
というわけで今回は、SVB銀行破綻のニュースを解説しつつ、銀行の破綻リスクをどうヘッジしていくか?というお話をします。ぜひ最後までご覧ください!
SVB銀行の破綻、一部始終
さて、SVBとは一体どのような銀行で、何が起きたのか?解説していきましょう。
どんな銀行だったか
SVBは、アメリカの新興企業を支援する銀行です。
この銀行は、「他の銀行よりも高い金利を出します!」と宣伝して預金を集め、集めた資金は
・ベンチャーキャピタルに融資
・米国債、不動産担保証券で運用
という形で活用していました。
新興企業へ経営指導をしながら、上場したらキャピタルゲインが入ってくるということで、儲けとしては大きなものになっていたようです。
一体どの程度の規模だったのかというと、
・総資産:2,000億ドル(日本円換算で30兆円程度)
・預金:1,800億ドル(日本円換算で25兆円程度)
・・・ということで、全米では20位の規模感の銀行でした。
どうして破綻してしまったのか?
では、なぜSVBは破綻してしまったのでしょうか?
その理由は、FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げにあります。
ここ1年で、FRBは急速に金利を引き上げていました。
SVBが保有している債券は、金利上昇に伴って価格が下がる金融商品です。
つまり、FRBが長期金利を上げていくことによって、SVBの保有する資産に評価損が出てしまっていたんですね。
この評価損が莫大な金額になっており、SVBは「BS(バランスシート)をなんとか改善しないといけない・・・」と手を打ちます。
そして、来る2023年3月8日、「米国債券を売却し、さらに増資をすることで、経営を健全化させる」という計画が発表されました。
ところが、この発表を受けて、シリコンバレーの各企業が、
「シリコンバレーバンクは潰れるのではないか?」
と、騒ぎになってしまうんですね。そして、翌日3月9日に、企業は一斉に預金を引き出そうとして取付け騒ぎになります。
しかし、窓口で「お金を返せ!」と言ったところで、SVBの手元に預金はありません。
SVBは、顧客であるシリコンバレーの企業へ預金を返金できず、破綻してしまったというわけです。
政府の対処
このSVBの破綻に対し、アメリカ政府はどのように対処したのでしょうか?
まず、アメリカには銀行が破綻した時の預金保険(ペイオフ)があります。
これは、1口座あたり25万ドル(3,000万円強)の補償です。
とはいえ、SVBの主要顧客には法人が多いです。100億円単位で資金を預けている企業も多かったため、ペイオフ制度に基づき、25万ドルしか保護されないとなると、99億7,000万円ものお金が吹っ飛び、株価が大暴落し、経済も大混乱・・・となるところでした。
ところが3月12日、バイデン大統領とFRBが協議をして、「25万ドルではなく、全額を保護する」と発表したのです。
これにより、世界経済や株式市場のクラッシュを防ぐことができ、大事には至りませんでした。
政府とFRBがすぐに協議して判断したのは、対応としてはとても良かったと思います。
もっとも、今回の破綻の発生は、政府によるお金のバラマキと、FRBによる金融緩和の手仕舞いによって起こされたものです。
FRBや政府も責任の一端を感じていたからこそ、即座に対策を打ってきたのではないでしょうか。
ちなみに、SVBの破綻の数日後にNYのシグネチャーバンクも破綻しましたが、ここも全額保護するということで、事態は収束しています。
日本でも、銀行破綻リスクに備えるべし!
では、日本で銀行破綻が起きた場合はどうなるでしょうか?
ここからは日本のペイオフ制度と、破綻リスクへの対策についてみていきましょう。
日本のペイオフ制度とは
アメリカと同じように、日本にもペイオフ制度は存在します。
日本のペイオフ制度は1970年代くらいからあったのですが、実際に本格稼働したのは2002年からです。
1997年に北海道拓殖銀行が破綻した時は、預金者全員が全額保護されました。
その後の2002年からペイオフ制度は本格稼働し、2010年の日本振興銀行の破綻で、初めて発動されます。
日本のペイオフ制度というのは、1預金あたり1,000万円の元本+金利のみしか完全には保護されないんですよね。ですから、2010年の破綻の際には、全額保護ではなく、上限の基で預金保護がされました。
ただし、1点だけ、よく誤解されがちなことを補足しておきましょう。
日本のペイオフ制度で完全保護される対象は“1,000万円の元本と金利まで”ですが、それを上回る金額については、破綻処理をして資産売却をして、残ったお金は債権者に分配する仕組みになっています。
例えば、2,000万円を預けていた場合
1,000万円は完全保護
↓
残りの1,000万円については、破綻処理後に銀行にお金が残っていれば戻ってくる
という具合で、1,001万円以上が全く返ってこないというわけではないんですよね。
どの銀行に預ければ安心、ということはない
14~15年前から、ペイオフへの関心は日本人にも高まってきています。
1,000万円以上の預金を預けている大家さんからは、「どの銀行に預けるのが一番安心ですか?」という質問を受けることもあります。
しかし、この質問に対して、「都銀なら安心」「地銀なら安心」というように、明確な回答をするのは正直難しいです。
実際、今回の破綻劇はわずか1週間もの間に展開されました。状況は一瞬で変わってしまうので予測がつかないのです。
たった10分で資産を完全に保護する方法
では、一体どのようにして1,000万円以上の預金を保全したら良いのでしょうか?
実は、1,000万円以上の預金でも全額保護される方法があります。
それは、普通の口座を「決済専用口座」に切り替えるだけで、全額保護することができるのです。
ただ、決済専用口座には金利が一切つきません。
その代わりに、預金残高が1,000万円以上あっても、1億円あっても、10億円あっても・・・決済専用口座はペイオフの対象からは外れ、全額が補償されます。
では、決済専用口座にするにはどうしたら良いかというと、そんなに難しいことはありません。
現在使用している口座を、そのまま専用口座にすれば良いだけの話です。
書類1枚の手続きをするだけで、10分後には決済専用口座に変更されます。ちなみに、決済専用口座をやめるのも簡単です。
僕も不動産管理会社を運営していますが、家賃の集金、敷金の回収に関しては口座に何かがあったら大変なので、この決済専用口座にしています。
これなら、いつ銀行が破綻しても資産の全額が保護されます。
今の日本の銀行預金には、ほとんど金利がつきません。ですので、万が一の事態を想定するなら、決済専用口座にするのが安心だと、僕は思っています。
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こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。
SVB(シリコンバレー銀行)という、アメリカ西海岸に拠点を置く銀行が破綻して、大きなニュースになっていますね。
日本に住んでいる我々にとっても、このニュースは決して対岸の火事ではありません。
日本の金融機関においても、いつ破綻が起きてもおかしくないからです。
というわけで今回は、SVB銀行破綻のニュースを解説しつつ、銀行の破綻リスクをどうヘッジしていくか?というお話をします。ぜひ最後までご覧ください!
SVB銀行の破綻、一部始終
さて、SVBとは一体どのような銀行で、何が起きたのか?解説していきましょう。どんな銀行だったか
SVBは、アメリカの新興企業を支援する銀行です。
この銀行は、「他の銀行よりも高い金利を出します!」と宣伝して預金を集め、集めた資金は
・ベンチャーキャピタルに融資
・米国債、不動産担保証券で運用
という形で活用していました。
新興企業へ経営指導をしながら、上場したらキャピタルゲインが入ってくるということで、儲けとしては大きなものになっていたようです。
一体どの程度の規模だったのかというと、
・総資産:2,000億ドル(日本円換算で30兆円程度)
・預金:1,800億ドル(日本円換算で25兆円程度)
・・・ということで、全米では20位の規模感の銀行でした。
どうして破綻してしまったのか?
では、なぜSVBは破綻してしまったのでしょうか?
その理由は、FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げにあります。
ここ1年で、FRBは急速に金利を引き上げていました。
SVBが保有している債券は、金利上昇に伴って価格が下がる金融商品です。
つまり、FRBが長期金利を上げていくことによって、SVBの保有する資産に評価損が出てしまっていたんですね。
この評価損が莫大な金額になっており、SVBは「BS(バランスシート)をなんとか改善しないといけない・・・」と手を打ちます。
そして、来る2023年3月8日、「米国債券を売却し、さらに増資をすることで、経営を健全化させる」という計画が発表されました。
ところが、この発表を受けて、シリコンバレーの各企業が、
「シリコンバレーバンクは潰れるのではないか?」
と、騒ぎになってしまうんですね。そして、翌日3月9日に、企業は一斉に預金を引き出そうとして取付け騒ぎになります。
しかし、窓口で「お金を返せ!」と言ったところで、SVBの手元に預金はありません。
SVBは、顧客であるシリコンバレーの企業へ預金を返金できず、破綻してしまったというわけです。
政府の対処
このSVBの破綻に対し、アメリカ政府はどのように対処したのでしょうか?
まず、アメリカには銀行が破綻した時の預金保険(ペイオフ)があります。
これは、1口座あたり25万ドル(3,000万円強)の補償です。
とはいえ、SVBの主要顧客には法人が多いです。100億円単位で資金を預けている企業も多かったため、ペイオフ制度に基づき、25万ドルしか保護されないとなると、99億7,000万円ものお金が吹っ飛び、株価が大暴落し、経済も大混乱・・・となるところでした。
ところが3月12日、バイデン大統領とFRBが協議をして、「25万ドルではなく、全額を保護する」と発表したのです。
これにより、世界経済や株式市場のクラッシュを防ぐことができ、大事には至りませんでした。
政府とFRBがすぐに協議して判断したのは、対応としてはとても良かったと思います。
もっとも、今回の破綻の発生は、政府によるお金のバラマキと、FRBによる金融緩和の手仕舞いによって起こされたものです。
FRBや政府も責任の一端を感じていたからこそ、即座に対策を打ってきたのではないでしょうか。
ちなみに、SVBの破綻の数日後にNYのシグネチャーバンクも破綻しましたが、ここも全額保護するということで、事態は収束しています。
日本でも、銀行破綻リスクに備えるべし!
では、日本で銀行破綻が起きた場合はどうなるでしょうか?ここからは日本のペイオフ制度と、破綻リスクへの対策についてみていきましょう。
日本のペイオフ制度とは
アメリカと同じように、日本にもペイオフ制度は存在します。
日本のペイオフ制度は1970年代くらいからあったのですが、実際に本格稼働したのは2002年からです。
1997年に北海道拓殖銀行が破綻した時は、預金者全員が全額保護されました。
その後の2002年からペイオフ制度は本格稼働し、2010年の日本振興銀行の破綻で、初めて発動されます。
日本のペイオフ制度というのは、1預金あたり1,000万円の元本+金利のみしか完全には保護されないんですよね。ですから、2010年の破綻の際には、全額保護ではなく、上限の基で預金保護がされました。
ただし、1点だけ、よく誤解されがちなことを補足しておきましょう。
日本のペイオフ制度で完全保護される対象は“1,000万円の元本と金利まで”ですが、それを上回る金額については、破綻処理をして資産売却をして、残ったお金は債権者に分配する仕組みになっています。
例えば、2,000万円を預けていた場合
1,000万円は完全保護
↓
残りの1,000万円については、破綻処理後に銀行にお金が残っていれば戻ってくる
という具合で、1,001万円以上が全く返ってこないというわけではないんですよね。
どの銀行に預ければ安心、ということはない
14~15年前から、ペイオフへの関心は日本人にも高まってきています。
1,000万円以上の預金を預けている大家さんからは、「どの銀行に預けるのが一番安心ですか?」という質問を受けることもあります。
しかし、この質問に対して、「都銀なら安心」「地銀なら安心」というように、明確な回答をするのは正直難しいです。
実際、今回の破綻劇はわずか1週間もの間に展開されました。状況は一瞬で変わってしまうので予測がつかないのです。
たった10分で資産を完全に保護する方法
では、一体どのようにして1,000万円以上の預金を保全したら良いのでしょうか?実は、1,000万円以上の預金でも全額保護される方法があります。
それは、普通の口座を「決済専用口座」に切り替えるだけで、全額保護することができるのです。
ただ、決済専用口座には金利が一切つきません。
その代わりに、預金残高が1,000万円以上あっても、1億円あっても、10億円あっても・・・決済専用口座はペイオフの対象からは外れ、全額が補償されます。
では、決済専用口座にするにはどうしたら良いかというと、そんなに難しいことはありません。
現在使用している口座を、そのまま専用口座にすれば良いだけの話です。
書類1枚の手続きをするだけで、10分後には決済専用口座に変更されます。ちなみに、決済専用口座をやめるのも簡単です。
僕も不動産管理会社を運営していますが、家賃の集金、敷金の回収に関しては口座に何かがあったら大変なので、この決済専用口座にしています。
これなら、いつ銀行が破綻しても資産の全額が保護されます。
今の日本の銀行預金には、ほとんど金利がつきません。ですので、万が一の事態を想定するなら、決済専用口座にするのが安心だと、僕は思っています。
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