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京都市が、ついに空き家への課税を開始・・・空き家新税についてわかりやすく解説!

公開日: 2023年04月07日

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こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。

先日、衝撃的なニュースがあったので、紹介していきます。

京都市が、「空き家に課税をする」という条例を総務省に申請し、2026年度から実施する方向になった、という報道がありました。

このことは、“空き家新税”と呼ばれているようですね。

今回はこの空き家新税について、

・なぜ、空き家に課税するのか?
・空き家問題に対し、国や自治体はどのような取り組みをしているのか?
・空き家問題に関するウラケンの意見

を解説していきます。ぜひ最後までご覧ください!

 

そもそも、空き家の問題点とは?

一番の問題点は、“放置されてしまう”空き家が非常に多いことです。

具体的には、現在日本には850万戸弱の空き家があり、その数は年々増えています。

みなさんの中にも、「田舎の実家を相続したけど、自分は都市部に家を購入して住んでいる」という方が、かなりいらっしゃるのではないでしょうか?

せっかく相続した田舎の実家が、

・草がボーボーに生い茂り、まるでジャングルのようになっている
・悪戯で石が投げつけられ、窓ガラスは割れ、まるで廃墟のようになっている

・・・このような状態になっているケースが非常に増えているのです。

こんな状態の空き家は、防犯上も良くありません。

例えば、

・放火の危険性がある
・ゴミが投げ入れられて、生活環境が悪くなる
・近隣の景観が悪くなる

などなど、空き家の近隣に住んでいる人にとってもデメリットが大きいのです。

もちろん、このような空き家は田舎だけでなく、都心にも存在するわけですから、空き家問題は日本全国で大問題となっているということです。

 

国も自治体も、空き家対策に試行錯誤中

今回は京都市での条例制定が話題となりましたが、国が全く対策を施していないかというと、もちろんそんなことはありません。

実は、2015年に制定した「空き家対策特別措置法」が、かれこれ7~8年間も運用されています。

この「空き家対策特別措置法」は、空き家に対して、取り壊し・売却・建て替えなどなどの利用促進を図り、環境を良くしていこう、という試みです。

具体的には、

・草むしりがされておらず、草がボーボーに生い茂っている
・郵便受けのチラシが片付けられていない

というような空き家を、自治体が「特定空き家」と認定します。全く管理がされていない空き家を特定し、炙り出すわけですね。

本来、住宅が建っている土地は、その評価額が6分の1になるという特例があり、固定資産税が安くなるのですが、「特定空き家」に指定されると評価減の特例がなくなります。

そして、年間の固定資産税が4~5倍に跳ね上がってしまうという仕組みです。

こうした仕組みがあれば、国民も空き家を放置することはないだろう・・・と国も考えたわけです。

しかしながら、この法律が運用されているにも関わらず、日本では年々空き家が拡大しています。

おそらく、自治体レベルではこの法律が機能していなかった、というのが実情ではないでしょうか。

実際のところ、定期的に街を巡回し、空き家の状態をチェックするというのは職員にとっても大変ですからね。

 

京都市が「空き家新税」を策定し、空き家への課税を開始


そこで京都市が“空き家新税”を策定し、「空き家に課税をします」と発表したのです。

具体的に言うと、2026年から、空き家を“放置しているだけ”で課税される、とのことです。

この条例では、

日常的に「住まい」としていない物件の所有者が課税対象となる。
・税率は家屋の固定資産評価額に応じて3段階に分け、資産価値の低い家屋ほど税率を下げる

という運用になりそうです。

空き家への課税で徴収する税金は9億5千万円ほどになる試算で、それを空き家対策に充てようとしているようです。

ちなみに余談ですが、京都の空き家新税について、賃貸物件の空き家は対象外ですので、投資家の方は安心してください。

 

国も改正案を制定


国の方でも、2015年の空き家対策特別措置法が機能していないことから、2023年3月の国会で改正案が議論されていました。

これまでは、倒壊の可能性のある空き家を「特定空き家」と指定していたんですよね。

その特定空き家をさらに放置すると、行政が解体工事をして、その費用を本人や相続人へ請求する(行政代執行)、という法律になっていました。

しかし、倒壊の可能性のある空き家というのは、かなりボロボロの状態です。

そこで今回の改正では、そこまで行かなくても、例えばヒビが入ったり、窓が割れていたりするような建物を「管理不全空き家」(管理が行き届いていない空き家)と認定し、固定資産税の特例を外すということです。

また、罰のみならず、飴も用意されています。

例えば、

・本来:住居専用地域は、用途変更ができない
→今後:カフェや店舗などに用途変更しやすくする

・本来:幅4m未満の道路に面する土地は建て替えができず、中心線から2mの後退(セットバック)が必要
→セットバックなしで建て替えできるようにする

などなど、利用促進を図る仕組みを徐々に整えているようです。

 

不動産のプロ、ウラケンが考える空き家対策とは

国や自治体の動きとしては、要するに

“空き家を取り壊したり、売却したり、有効利用を図らないと、固定資産税の特例というインセンティブを外しますよ”

という、罰を与えて税金を徴収し、有効利用を促進しようとしているわけです。

しかし、実際の持ち主からすると、わざわざ取り壊すのにも費用がかかるので、結局何もしないのではないか?と僕は思ってしまうんですよね。

一番の問題は、空き家を解体して更地にして、駐車場や公園にすると、固定資産税が4~5倍に跳ね上がってしまうことです。

ですから、本当に空き家問題を解決したいのであれば、

解体費用を助成(自治体が持つ)

とか

固定資産税の特例を継続(解体して更地にしても、住宅用地としての特例を5~10年間は継続。その間に売却/建て替えをしてもらう)

といったことをしないと、根本的な問題は解決しないのではないでしょうか。


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