ブログ
老朽化した分譲マンションの末路...築60~70年で勃発する、建て替え問題
公開日: 2023年04月12日
▼今日の記事を音声で楽しみたい方はこちら
こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。
本日は、「老朽化した分譲マンションの末路」というテーマでお話をしていきます。
購入して自分で住む場合も、投資用として賃貸する場合も、たとえ新築マンションといえど、それは人間が作った建造物に過ぎません。
形あるものですから、時間が経つとともに必ず老朽化していきます。
しかし、多くの方は、目の前に広がる新築マンションの「夢」に目を奪われ、「マンションの老朽化」という現実から目を背けています。
購入の段階から、「このマンションはいずれ劣化していく」ということを意識している人は、ほとんどいないのではないでしょうか。
つまり、多くの方が、「たった今購入したこのマンションが、30~40年後にどうなってしまうのか?」ということを、全く理解していないのです。
もちろん、戸建てや賃貸アパートのように、オーナーが1人の場合であれば、建て替え/取り壊し/大規模修繕も自由にできます。
しかし、何百人、何千人というオーナーが共同で区分所有するマンションの場合は、そうはいきません。
ということで今回は、「老朽化した分譲マンションは、最終的にどうなってしまうのか?」という疑問にお答えします。
これは、「自分の購入したマンションにずーっと住み続けた場合、そのマンションはどうなってしまうのか?」というお話に言い換えることもできます。
多くの方が気になっているテーマだと思いますので、ぜひ最後までご覧ください!
鉄筋コンクリート住宅の寿命は何年なのか?
まず前提として、鉄筋コンクリート住宅の寿命について解説していきます。
コンクリートの寿命とは?
まずは、コンクリートそのものの寿命について見ていきましょう。
コンクリートには、強度というものがあります。
・一般
・標準
・高強度
・超高強度
・・・といくつか種類がありますが、一般的な分譲マンションに使われるコンクリートは、標準コンクリートです。
標準コンクリートの耐用年数は、
・大規模修繕が不要な期間:65年程度
・供用限界期間※:100年
(※大規模修繕工事を実施することで、延長使用が可能な期間)
・延命寿命(タイルなどによる外装仕上げをバッチリした場合):120年~130年
と言われています。
つまり、大規模修繕をし続けたとしても、建物の寿命は120年~130年ということです。
実際に、80年間も利用されたアパートが存在する
こんなお話をすると、「本当にそんなにもつの?」と、疑問に思う方も多いかもしれません。
日本最古のコンクリート住宅は、(有名な軍艦島を除けば)大正15年に建てられた表参道の同潤会アパートになります。
表参道の同潤会アパートは、2003年に表参道ヒルズとして建て替えられるまで、約80年間もコンクリート住宅として実際に利用されていました。
今でもアパートの一部は保存されており、お洒落なテナント等に活用されています。
つまり、大正時代の建築技術であっても、メンテナンスをすれば100年間近くは利用が可能というわけです。
そうすると、築30年、築40年のマンションは、実際の耐用年数からするとまだまだ築浅と考えることもできます。
むしろ、築50年で建て替えるというのは、建物の構造寿命からすると、「所有者にそれだけのメリットがないともったいない・・・」ということになることもしれません。
築60~70年で勃発する、建て替え問題
では、新築から60~70年が経過した時、建て替えの議論が起こったらどうなるのでしょうか?
現在の区分所有法では、建て替え決議には所有者の5分の4以上の賛成が必要です。
ただし、この決議が採択されたとしても、「建て替え費用を誰が持つのか?」という問題が残ります。
所有者が年金受給者だったり、稼ぎや貯蓄が一切なかったりすることもあるので、全額を全員が負担できるかというと、そうでもないんですよね。
そうすると、建て替えはできない、ということになってしまいます。
ウルトラCの解決策とは?
そこで出てくるのが、「容積緩和」というウルトラCの解決策です。
「容積緩和」とはなんでしょうか?具体例を挙げると、例えば容積率が200%のマンションがあったとします。
※容積率・・・敷地面積に対してどの割合で建物を建てられるか。容積率が200%の場合、建物の面積を土地の2倍の面積にできるということ
これを行政の側で、容積率を200%→400%へ変更したとしましょう。
こうすると、今の2倍の面積の住宅を建てられるようになります。
その余計に増えた住戸を新規で分譲することにより、建築費用を捻出できる、という方法です。
さらに、もしも新築当初より土地代が高くなっていれば、デベロッパーに一部の土地の権利を譲渡して、自己負担なしで建て替える・・・ということも、可能性としてはアリになります。
このように、建て替えはデベロッパーの協力なしにはできないので、どんなデベロッパーと組むのかがとても重要になってきます。
人口減少社会では、切り離せない問題
ただし、先ほどの解決策には、いくつか注意点があります。
まず、日本に大量のマンションが存在する中で、全てのマンションの容積が緩和されるわけではありません。
また、そもそも土地値が上がっていないと、建て替えが全額自己負担になることもあります。そうすると、建て替えるのは難しいでしょう。
建て替えが難しくなってしまうと、
・土地だけで売却する
・朽ち果てるまで使い続ける
という道しか残されません。
また、先ほど「ウルトラC」と紹介した容積変更ですが、無事に容積を2倍にアップさせたとして、増えた住戸を購入してくれる人が一体どれだけ存在するのか?を、よく考える必要があります。
というのも、将来的には日本の人口は半分になっていくからです。
今でも、全国に850万戸も空き家があります。
そこからマンションの数が倍になり、しかも人口は半分に減っていく・・・。
たとえ全ての分譲マンションの容積率を2倍にする法律を作ったとしても、半分以上は空室になってしまう、ということも起こり得るのではないでしょうか?
このように考えると、分譲マンションを購入するポイントは、「仮に現在の値段がめちゃくちゃ高かったとしても、価格が上昇していく超一等地で購入する」ということになるのではないかと思います。
これから分譲マンションの購入を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください!
▼ウラケンに質問できるオンラインサロンはこちら
こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。
本日は、「老朽化した分譲マンションの末路」というテーマでお話をしていきます。
購入して自分で住む場合も、投資用として賃貸する場合も、たとえ新築マンションといえど、それは人間が作った建造物に過ぎません。
形あるものですから、時間が経つとともに必ず老朽化していきます。
しかし、多くの方は、目の前に広がる新築マンションの「夢」に目を奪われ、「マンションの老朽化」という現実から目を背けています。
購入の段階から、「このマンションはいずれ劣化していく」ということを意識している人は、ほとんどいないのではないでしょうか。
つまり、多くの方が、「たった今購入したこのマンションが、30~40年後にどうなってしまうのか?」ということを、全く理解していないのです。
もちろん、戸建てや賃貸アパートのように、オーナーが1人の場合であれば、建て替え/取り壊し/大規模修繕も自由にできます。
しかし、何百人、何千人というオーナーが共同で区分所有するマンションの場合は、そうはいきません。
ということで今回は、「老朽化した分譲マンションは、最終的にどうなってしまうのか?」という疑問にお答えします。
これは、「自分の購入したマンションにずーっと住み続けた場合、そのマンションはどうなってしまうのか?」というお話に言い換えることもできます。
多くの方が気になっているテーマだと思いますので、ぜひ最後までご覧ください!
鉄筋コンクリート住宅の寿命は何年なのか?
まず前提として、鉄筋コンクリート住宅の寿命について解説していきます。コンクリートの寿命とは?
まずは、コンクリートそのものの寿命について見ていきましょう。
コンクリートには、強度というものがあります。
・一般
・標準
・高強度
・超高強度
・・・といくつか種類がありますが、一般的な分譲マンションに使われるコンクリートは、標準コンクリートです。
標準コンクリートの耐用年数は、
・大規模修繕が不要な期間:65年程度
・供用限界期間※:100年
(※大規模修繕工事を実施することで、延長使用が可能な期間)
・延命寿命(タイルなどによる外装仕上げをバッチリした場合):120年~130年
と言われています。
つまり、大規模修繕をし続けたとしても、建物の寿命は120年~130年ということです。
実際に、80年間も利用されたアパートが存在する
こんなお話をすると、「本当にそんなにもつの?」と、疑問に思う方も多いかもしれません。
日本最古のコンクリート住宅は、(有名な軍艦島を除けば)大正15年に建てられた表参道の同潤会アパートになります。
表参道の同潤会アパートは、2003年に表参道ヒルズとして建て替えられるまで、約80年間もコンクリート住宅として実際に利用されていました。
今でもアパートの一部は保存されており、お洒落なテナント等に活用されています。
つまり、大正時代の建築技術であっても、メンテナンスをすれば100年間近くは利用が可能というわけです。
そうすると、築30年、築40年のマンションは、実際の耐用年数からするとまだまだ築浅と考えることもできます。
むしろ、築50年で建て替えるというのは、建物の構造寿命からすると、「所有者にそれだけのメリットがないともったいない・・・」ということになることもしれません。
築60~70年で勃発する、建て替え問題
では、新築から60~70年が経過した時、建て替えの議論が起こったらどうなるのでしょうか?現在の区分所有法では、建て替え決議には所有者の5分の4以上の賛成が必要です。
ただし、この決議が採択されたとしても、「建て替え費用を誰が持つのか?」という問題が残ります。
所有者が年金受給者だったり、稼ぎや貯蓄が一切なかったりすることもあるので、全額を全員が負担できるかというと、そうでもないんですよね。
そうすると、建て替えはできない、ということになってしまいます。
ウルトラCの解決策とは?
そこで出てくるのが、「容積緩和」というウルトラCの解決策です。
「容積緩和」とはなんでしょうか?具体例を挙げると、例えば容積率が200%のマンションがあったとします。
※容積率・・・敷地面積に対してどの割合で建物を建てられるか。容積率が200%の場合、建物の面積を土地の2倍の面積にできるということ
これを行政の側で、容積率を200%→400%へ変更したとしましょう。
こうすると、今の2倍の面積の住宅を建てられるようになります。
その余計に増えた住戸を新規で分譲することにより、建築費用を捻出できる、という方法です。
さらに、もしも新築当初より土地代が高くなっていれば、デベロッパーに一部の土地の権利を譲渡して、自己負担なしで建て替える・・・ということも、可能性としてはアリになります。
このように、建て替えはデベロッパーの協力なしにはできないので、どんなデベロッパーと組むのかがとても重要になってきます。
人口減少社会では、切り離せない問題
ただし、先ほどの解決策には、いくつか注意点があります。
まず、日本に大量のマンションが存在する中で、全てのマンションの容積が緩和されるわけではありません。
また、そもそも土地値が上がっていないと、建て替えが全額自己負担になることもあります。そうすると、建て替えるのは難しいでしょう。
建て替えが難しくなってしまうと、
・土地だけで売却する
・朽ち果てるまで使い続ける
という道しか残されません。
また、先ほど「ウルトラC」と紹介した容積変更ですが、無事に容積を2倍にアップさせたとして、増えた住戸を購入してくれる人が一体どれだけ存在するのか?を、よく考える必要があります。
というのも、将来的には日本の人口は半分になっていくからです。
今でも、全国に850万戸も空き家があります。
そこからマンションの数が倍になり、しかも人口は半分に減っていく・・・。
たとえ全ての分譲マンションの容積率を2倍にする法律を作ったとしても、半分以上は空室になってしまう、ということも起こり得るのではないでしょうか?
このように考えると、分譲マンションを購入するポイントは、「仮に現在の値段がめちゃくちゃ高かったとしても、価格が上昇していく超一等地で購入する」ということになるのではないかと思います。
これから分譲マンションの購入を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください!
▼ウラケンに質問できるオンラインサロンはこちら
