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不動産投資は自己資金がないとできないのか?
公開日: 2023年05月15日
こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。
最近、不動産投資を目指す初心者の方々からの相談が増えてきました。
ちょうど私が起業した2002年頃のようなイメージ。
当時は、ロバート・キヨサキ氏の「金持ち父さん、貧乏父さん」を読んで不動産投資を始める人が多く、地主専門コンサルタントとして独立したにもかかわらず、サラリーマンのクライアントが増えていった当時の感じにそっくりです。
とにかく当時は、「金持ち父さん、貧乏父さん」の内容を鵜呑みにして、頭金なしに全額ローンで不動産を購入したい、という人が多くて本当に困りました。
まずキヨサキ氏が不動産投資を始めた時代も国も、当時の経済状況も全く違いますから、そのまま彼の投資手法が通用するはずがないのです。
そこで、真正直に不動産の原理原則を教えると、多くのクライアントが私の元を去っていきました(笑)
そして、「頭金なしで、不動産投資する方法!」などと大々的に宣伝する他のコンサルタントのところへ移っていったのです。
その後どうなったのかは知りません。その人たちの消息がほとんどわからないので、うまくいっていないのでしょう。
ところで、本当に頭金なしで不動産は買えないのでしょうか?
基本的にはYES。頭金がなければ不動産を購入することはできません。しかし、場合によっては頭金なしで買える場合もあります。
売る立場、お金を貸す立場になって考えてみる
では、なぜ頭金がないと不動産は買えないのでしょうか?具体的に考えてみましょう。
まず、あなたが不動産を売る立場だったらどうでしょうか?現金で買える客と、全額ローンがつけば買える客、あなたならどちらに売りたいですか?
当然、購入資金を全額自己資金で用意できる客ですね。
現金があれば、ローン特約(ローンがつかなければ契約は白紙撤回できる特約)をつける必要がありませんから、契約が白紙になるリスクもありません。
一方で、あなたが銀行だったらどうでしょうか?
一部上場企業に勤めていて年収も高いAさんと、派遣社員のBさん、どちらにお金を貸したいでしょうか?
当然Aさんですね。
では、これではどうでしょう?
派遣社員のBさんは頭金を500万円持っています。
一方、一部上場企業に勤めるAさんは貯金がなく頭金は0円です。
んー、微妙ですね(笑)
頭金があるとなると、銀行はその頭金をどうやって、どのくらいの期間で貯めたのかに関心を寄せてきます。
派遣社員でも、真面目に働いて2年で500万円を貯めたBさん。Bさんは1年で250万円、月に20万円貯められる人ということになります。
つまり、Bさんの不動産投資に融資をして、その後、仮に入居者が見つからず家賃から返済が困難になっても、Bさんは自分の稼ぎから月20万円は返済できる人であると銀行は判断するのです。
そして、Bさんが無理なく返済できる金額の範囲内で、融資を決定することになります。
これが債務者の与信判断といわれるものです。
結局、銀行は貸したお金は返してもらわなければなりません。
焦付きリスクを避けるために、このような基準を設けているわけです。
これに、会社の規模や勤続年数、年収が考慮されることになります。
もちろん、頭金がなくても年収だけで判断されることもありますが、もしあなたが高学歴、高年収のいわゆる高属性でないのなら、基本的に頭金を貯めるしか与信評価を高める術はない、と考えた方がいいでしょう。
もちろん、「無職」「貯金ゼロ」であれば、絶対に不動産融資を受けることはできません。
融資がうけられるとすれば、「サラ金」しかありません。
しかし、これには絶対に手を出してはいけませんし、そもそも100~200万円くらいまでしか借りられませんので、意味がありません。
ちまたでは、「普通の主婦が◯億、◯千万円~」などという本を見かけるので、「主婦の自分でも不動産投資ができるのでは?」と期待を膨らませる人も少なくありませんが、実際には、主婦であっても共働きで一流企業の社員(高属性)であったり、一流企業に勤める夫が連帯保証しているケースがほとんど。
ちゃんと借りられる理由があるのです。
やはり、安定収入がない、貯蓄もない「普通の主婦」だと、融資を受けることはできないのです。
不動産担保以上の融資はしない
もちろん、融資判断は与信(属性)判断だけで決まるものではありません。
その他にも、投資する不動産の担保が十分かどうかも重要な判断材料になります。
不動産の担保評価は、土地は路線価評価額の80%、建物は固定資産税評価額相当になるのが基本です。
ちなみに、担保評価は積算評価ともいわれることがあります。
例えば、土地+建物で合計1億円のアパートがあったとしましょう。
経験上、土地建物の担保評価は、大体70%の7000万円程度になるものが多いと思います。
つまり3000万円不足するので、その分の頭金(自己資金)が必要だということ。
当然、頭金を用意できなければ融資を受けることはできません。
あなたが銀行なら、もし返済が焦付き、債務者からの返済がストップしてしまったら、担保物件を売却して債権を回収するしかありません。
そのとき、担保価値以下でしか売却できなかったとしたら、債権回収は難しくなりますね。
したがって、融資の際は市場で売れる価格より随分と低い金額で見積もり、絶対に損をしない範囲の融資しかしないのが基本なのです。
しかし、中には積算評価が高い物件があります。
それは、積算評価が高いのではなく、売値が安いから積算評価が高いように見えるだけ。
先ほどの1億円の物件の売値が7000万円なら、担保評価が7000万円なので、基本的に頭金いらずで購入できます。
しかしそういう物件は、空室率が高いなど問題があるケースが多いので、購入後の管理能力がなければ、後々苦労することになります。
物件の事業収支がどうか?
最後は、物件の収支力です。
不動産投資に融資するのですから、その融資対象がしっかり稼いでくれなければ、返済不能リスクは高まってしまいます。
したがって、投資する物件の収支力も、融資審査には重要な要素になってくるのです。
では具体的に、どのように収支力を判断するのか?
それは、金利が6%で空室率が20%でも、キャッシュフローが1円でもプラスになるか?で判断されることになります。
今後は、空室率がますます拡大する傾向です。
したがって、最近は空室率を30%として、より厳しく見る銀行もあるでしょう。
これは、賃貸市場や経済状況が最悪の状況になっても、投資する不動産からの家賃収入で返済ができるのかどうかを見ているわけです。
あなたが銀行なら、最悪の状況になっても、しっかり返済資金を確保できる事業に融資したいですよね?
この基準でキャッシュフローがマイナスなら、融資は不可。
もしくは、キャッシュフローがプラスになるレベルまで自己資金を追加し、融資比率を下げたとして、再度収支力を判定することになります。
もし、それで収支がプラスになるようなら、収支力はOKということになります。
このように、融資の可否が決まる要因は、①属性、②担保、③収支の3つが噛み合わなければなりません。
基本的には、どれか1つでも欠けていれば、融資は受けられないのです。
でも積算(担保)評価以上の融資を受けられた人がいるのはなぜ?
このような疑問を持つ方もいるでしょう。
確かに、担保評価以上の融資を受けられた結果、自己資金ゼロで投資できた、という大家さんも存在します。
それは、「金利条件」というところで、銀行はリスクをヘッジしているのです。
このケースでは、●●●銀行のアパートローンが主なものですが、その金利は4%以上です。しかも変動金利。
長期金利が上昇したら、一気にアパートローンも上昇し、収益を圧迫します。
例えば、表面利回り10%のアパートを、金利4%のフルローンで購入したとしましょう。
管理費や固定資産税、修繕費、そしてローンを差し引いたとすると、その実質利回りは1%~2%程度です。
物件価格が5000万円なら、手元に残るお金は年50万円~100万円。月にするとわずか約4万円~8万円です。
部屋がワンルームだとして、1戸か2戸空室になったとしたら、たちまちマイナスキャッシュフローになるレベルです。
物件が買えたとしても、これではリスクの方が大きいといわざるを得ないでしょう。
したがって、購入後は、どんどん繰り上げ返済をして自己資本比率を上げていったり、金利を下げるために他の銀行に借り換えをする必要があります。
しかし、借り換えをするときは、当然、前述の3つの条件をクリアしなければなりません。
結局、属性、担保、収支のバランスが重要なのです。
なぜ手詰まり(買えなく)になってしまうのか?
物件を1棟買った後に、次の物件が買えなくなってしまう人の多くは、債務超過状態になってしまっているからです。
仮にあなたの属性評価が高く、2棟ほどフルローンで連続購入できたとしても、3棟目以降の購入はかなり難しくなります。
結局、ほぼ属性評価だけで融資を受けているだけであり、担保割れの債務超過になっているのです。
したがって、この先は、投資物件全体の自己資本比率を上げていかなければなりません。
でも、繰り上げ返済ができる自己資金がない場合はどうしたらいいのか?
実は、秘策があります。
フルローン物件を高く売って、そこで出た利益を自己資金として別の物件に投資することです。
もし、今ある物件が高く売れるなら、高く売って利益を出す。これが一番手っ取り早く自己資金を用意する方法です。
個人事業の場合、5年未満の売買で得た譲渡益には39%、5年以上の場合には20%の税金がかかりますが、それを差し引いても相当の自己資金をつくれるのならば、積極的に売却を試みるべきでしょう。
いかがですか?これから不動産投資をしようという人は、まず自己資金の確保が何より重要だということがお分かりいただけたのではないでしょうか?
ぜひ参考にしていただければと思います。
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最近、不動産投資を目指す初心者の方々からの相談が増えてきました。
ちょうど私が起業した2002年頃のようなイメージ。
当時は、ロバート・キヨサキ氏の「金持ち父さん、貧乏父さん」を読んで不動産投資を始める人が多く、地主専門コンサルタントとして独立したにもかかわらず、サラリーマンのクライアントが増えていった当時の感じにそっくりです。
とにかく当時は、「金持ち父さん、貧乏父さん」の内容を鵜呑みにして、頭金なしに全額ローンで不動産を購入したい、という人が多くて本当に困りました。
まずキヨサキ氏が不動産投資を始めた時代も国も、当時の経済状況も全く違いますから、そのまま彼の投資手法が通用するはずがないのです。
そこで、真正直に不動産の原理原則を教えると、多くのクライアントが私の元を去っていきました(笑)
そして、「頭金なしで、不動産投資する方法!」などと大々的に宣伝する他のコンサルタントのところへ移っていったのです。
その後どうなったのかは知りません。その人たちの消息がほとんどわからないので、うまくいっていないのでしょう。
ところで、本当に頭金なしで不動産は買えないのでしょうか?
基本的にはYES。頭金がなければ不動産を購入することはできません。しかし、場合によっては頭金なしで買える場合もあります。
売る立場、お金を貸す立場になって考えてみる
では、なぜ頭金がないと不動産は買えないのでしょうか?具体的に考えてみましょう。まず、あなたが不動産を売る立場だったらどうでしょうか?現金で買える客と、全額ローンがつけば買える客、あなたならどちらに売りたいですか?
当然、購入資金を全額自己資金で用意できる客ですね。
現金があれば、ローン特約(ローンがつかなければ契約は白紙撤回できる特約)をつける必要がありませんから、契約が白紙になるリスクもありません。
一方で、あなたが銀行だったらどうでしょうか?
一部上場企業に勤めていて年収も高いAさんと、派遣社員のBさん、どちらにお金を貸したいでしょうか?
当然Aさんですね。
では、これではどうでしょう?
派遣社員のBさんは頭金を500万円持っています。
一方、一部上場企業に勤めるAさんは貯金がなく頭金は0円です。
んー、微妙ですね(笑)
頭金があるとなると、銀行はその頭金をどうやって、どのくらいの期間で貯めたのかに関心を寄せてきます。
派遣社員でも、真面目に働いて2年で500万円を貯めたBさん。Bさんは1年で250万円、月に20万円貯められる人ということになります。
つまり、Bさんの不動産投資に融資をして、その後、仮に入居者が見つからず家賃から返済が困難になっても、Bさんは自分の稼ぎから月20万円は返済できる人であると銀行は判断するのです。
そして、Bさんが無理なく返済できる金額の範囲内で、融資を決定することになります。
これが債務者の与信判断といわれるものです。
結局、銀行は貸したお金は返してもらわなければなりません。
焦付きリスクを避けるために、このような基準を設けているわけです。
これに、会社の規模や勤続年数、年収が考慮されることになります。
もちろん、頭金がなくても年収だけで判断されることもありますが、もしあなたが高学歴、高年収のいわゆる高属性でないのなら、基本的に頭金を貯めるしか与信評価を高める術はない、と考えた方がいいでしょう。
もちろん、「無職」「貯金ゼロ」であれば、絶対に不動産融資を受けることはできません。
融資がうけられるとすれば、「サラ金」しかありません。
しかし、これには絶対に手を出してはいけませんし、そもそも100~200万円くらいまでしか借りられませんので、意味がありません。
ちまたでは、「普通の主婦が◯億、◯千万円~」などという本を見かけるので、「主婦の自分でも不動産投資ができるのでは?」と期待を膨らませる人も少なくありませんが、実際には、主婦であっても共働きで一流企業の社員(高属性)であったり、一流企業に勤める夫が連帯保証しているケースがほとんど。
ちゃんと借りられる理由があるのです。
やはり、安定収入がない、貯蓄もない「普通の主婦」だと、融資を受けることはできないのです。
不動産担保以上の融資はしない
もちろん、融資判断は与信(属性)判断だけで決まるものではありません。その他にも、投資する不動産の担保が十分かどうかも重要な判断材料になります。
不動産の担保評価は、土地は路線価評価額の80%、建物は固定資産税評価額相当になるのが基本です。
ちなみに、担保評価は積算評価ともいわれることがあります。
例えば、土地+建物で合計1億円のアパートがあったとしましょう。
経験上、土地建物の担保評価は、大体70%の7000万円程度になるものが多いと思います。
つまり3000万円不足するので、その分の頭金(自己資金)が必要だということ。
当然、頭金を用意できなければ融資を受けることはできません。
あなたが銀行なら、もし返済が焦付き、債務者からの返済がストップしてしまったら、担保物件を売却して債権を回収するしかありません。
そのとき、担保価値以下でしか売却できなかったとしたら、債権回収は難しくなりますね。
したがって、融資の際は市場で売れる価格より随分と低い金額で見積もり、絶対に損をしない範囲の融資しかしないのが基本なのです。
しかし、中には積算評価が高い物件があります。
それは、積算評価が高いのではなく、売値が安いから積算評価が高いように見えるだけ。
先ほどの1億円の物件の売値が7000万円なら、担保評価が7000万円なので、基本的に頭金いらずで購入できます。
しかしそういう物件は、空室率が高いなど問題があるケースが多いので、購入後の管理能力がなければ、後々苦労することになります。
物件の事業収支がどうか?
最後は、物件の収支力です。不動産投資に融資するのですから、その融資対象がしっかり稼いでくれなければ、返済不能リスクは高まってしまいます。
したがって、投資する物件の収支力も、融資審査には重要な要素になってくるのです。
では具体的に、どのように収支力を判断するのか?
それは、金利が6%で空室率が20%でも、キャッシュフローが1円でもプラスになるか?で判断されることになります。
今後は、空室率がますます拡大する傾向です。
したがって、最近は空室率を30%として、より厳しく見る銀行もあるでしょう。
これは、賃貸市場や経済状況が最悪の状況になっても、投資する不動産からの家賃収入で返済ができるのかどうかを見ているわけです。
あなたが銀行なら、最悪の状況になっても、しっかり返済資金を確保できる事業に融資したいですよね?
この基準でキャッシュフローがマイナスなら、融資は不可。
もしくは、キャッシュフローがプラスになるレベルまで自己資金を追加し、融資比率を下げたとして、再度収支力を判定することになります。
もし、それで収支がプラスになるようなら、収支力はOKということになります。
このように、融資の可否が決まる要因は、①属性、②担保、③収支の3つが噛み合わなければなりません。
基本的には、どれか1つでも欠けていれば、融資は受けられないのです。
でも積算(担保)評価以上の融資を受けられた人がいるのはなぜ?
このような疑問を持つ方もいるでしょう。
確かに、担保評価以上の融資を受けられた結果、自己資金ゼロで投資できた、という大家さんも存在します。
それは、「金利条件」というところで、銀行はリスクをヘッジしているのです。
このケースでは、●●●銀行のアパートローンが主なものですが、その金利は4%以上です。しかも変動金利。
長期金利が上昇したら、一気にアパートローンも上昇し、収益を圧迫します。
例えば、表面利回り10%のアパートを、金利4%のフルローンで購入したとしましょう。
管理費や固定資産税、修繕費、そしてローンを差し引いたとすると、その実質利回りは1%~2%程度です。
物件価格が5000万円なら、手元に残るお金は年50万円~100万円。月にするとわずか約4万円~8万円です。
部屋がワンルームだとして、1戸か2戸空室になったとしたら、たちまちマイナスキャッシュフローになるレベルです。
物件が買えたとしても、これではリスクの方が大きいといわざるを得ないでしょう。
したがって、購入後は、どんどん繰り上げ返済をして自己資本比率を上げていったり、金利を下げるために他の銀行に借り換えをする必要があります。
しかし、借り換えをするときは、当然、前述の3つの条件をクリアしなければなりません。
結局、属性、担保、収支のバランスが重要なのです。
なぜ手詰まり(買えなく)になってしまうのか?
物件を1棟買った後に、次の物件が買えなくなってしまう人の多くは、債務超過状態になってしまっているからです。仮にあなたの属性評価が高く、2棟ほどフルローンで連続購入できたとしても、3棟目以降の購入はかなり難しくなります。
結局、ほぼ属性評価だけで融資を受けているだけであり、担保割れの債務超過になっているのです。
したがって、この先は、投資物件全体の自己資本比率を上げていかなければなりません。
でも、繰り上げ返済ができる自己資金がない場合はどうしたらいいのか?
実は、秘策があります。
フルローン物件を高く売って、そこで出た利益を自己資金として別の物件に投資することです。
もし、今ある物件が高く売れるなら、高く売って利益を出す。これが一番手っ取り早く自己資金を用意する方法です。
個人事業の場合、5年未満の売買で得た譲渡益には39%、5年以上の場合には20%の税金がかかりますが、それを差し引いても相当の自己資金をつくれるのならば、積極的に売却を試みるべきでしょう。
いかがですか?これから不動産投資をしようという人は、まず自己資金の確保が何より重要だということがお分かりいただけたのではないでしょうか?
ぜひ参考にしていただければと思います。
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