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日本の相続税が世界一高い理由。それは、日本人の貯蓄率の高さにアリ?

公開日: 2023年05月15日

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こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。

今回は、日本の相続税について考えてみたいと思います。

皆さんは、日本の相続税の最高税率が何%かご存知でしょうか?

答えは【55%】なのですが、実はこれ、世界一高い水準です。

では、他の先進国はどうでしょうか。

2位:フランス(45%)
3位:アメリカ、イギリス(40%)※同率3位
5位:ドイツ(30%)

と、このような具合です。

もちろん、各国によって相続税の計算方法は異なり、基礎控除額も違うため一概に比較はできないものの、それでも日本が圧倒的に相続税が高いというのが事実です。

そこで今回は、「なぜ日本の相続税は高いのか?」について詳しく解説していきます。ぜひ最後までご覧ください!

 

日本の相続税の歴史を紐解いてみると・・・

まず、日本の相続税の歴史をみていきましょう。

相続税の起源は、明治時代にまで遡ります。なんでも、日露戦争の戦費を確保するために相続税ができたと言われています。

明治・大正の頃は、相続税の最高税率は18%程度でした。

ところが、昭和25年になると相続税の最高税率は90%にまで跳ね上がります。

その後、昭和・平成と最高税率が70%の時代が続き、今は55%に下がってきました。

・・・と、こうして戦後の歴史をみていくと、90%→70%→55%と、だんだん下がっていることが分かります。

しかし、世界的に見たらまだまだ高いのが現状です。

昔からの地主さんは、相続で資産を国に取られないよう、アパートを建てたり資産の圧縮をしたりして、相続税対策を講じてきたという歴史があります。

 

なぜ日本の相続税は高いのか?2つの意味合いを解説

では、なぜ日本の相続税は高いのでしょうか。

その答えを知るには、相続税の意味合いを理解する必要があります。

相続税には、2つの意味合いがあります。

 

1、所得税の補完


相続税の目的の1つは、「生前に非課税の所得を得ていたり、贈与など色々な理由で課税できなかったりしたお金を、相続時に一律で課税する」ということです。

わかりにくいと思いますので、消費税で考えてみましょう。

今の日本の消費税率は10%ですが、他の先進国は20%と、日本の2倍です。

ですから、日本では消費税で取れない税金を相続税で徴収している、という考え方ができます。

では、日本は他の先進国と同じように、消費税を高くして、相続税を低くすることはできないのでしょうか?

日本が消費税を3%から5%に引き上げたのは、1997年でした。

さらに、5%から8%に引き上げたのが2014年ですが、民衆からの反発もあり、かなり大変でしたよね。

そして、現行の10%にまで引き上げたのは2019年ですが、最初の引き上げから、なんと20年以上もの時が経過しています。

ということで、日本で「消費税を上げる!」というと、なかなか民意を得ることができません

かといって強制的に消費税を上げてしまえば、民意を得られずに政権交代ということにもなりまねません。

しかし、相続税は違います。

相続税は一定の富裕層にだけ課せられる税金ですので、ほとんどの日本人には関係がなく、文句を言われることがあまりありません。

お金持ちだけが文句を言いますが、日本人全体の民意は得やすいため、政権を交代させることなく税金を徴収できるというわけです。

だからこそ、日本の相続税は高いんですよね。

 

2、富の再分配


相続税の目的の2つ目は、相続時に富裕層の資産をガラガラポンして、富を再分配する、ということです。

相続税がないと、財産がある人とない人の格差がずっと固定されてしまい、貧富の差がどんどん拡大していきます。

貧富の差の拡大を防ぐために、富裕層から相続税を徴収するというわけですね。

ちなみに、日本の高度経済成長期に資産を増やした人の中には、地主さんが多くいらっしゃいました。

なぜかというと、高度経済成長期に人口が急増し、インフラが整備されたことで、二束三文の土地の多くが数百倍の価値にまで跳ね上がったからです。

実際、今では地価の高い地域も、大昔は田んぼだらけだったということも多いです。

経済の成長とともに自然と資産が増えていったという人が、大勢いるんですよね。

例えば、千葉県浦安市はかつて、現在の面積の半分を海が占めていました。

漁村として、海苔やアサリをとって生計を立てている人が多かったんですね。

しかし、日本が高度成長期に突入すると、海は埋め立てられ、高速道路が造られ、ディズニーランドが誘致され、浦安市は一気に発展します。

そして、漁業権を放棄する代わりに、埋め立てた土地をもらったわけです。

このように、一瞬で地主になったような人は、戦後に数多く存在していました。

そしてそれは、必ずしも農家、漁師の人たちの実力ではなく、日本が経済成長をした結果、その恩恵にあずかった人が多かったというわけです。

ですから、生前に土地を有効活用できず、地域経済にも貢献しないのであれば、その分は国に返してね、というのが相続税というわけです。

 

ウラケンが考える、相続税が高い理由。それは貯蓄率の高さにアリ!

以上2つの理由が、日本の相続税が高い教科書的な理由でした。

ただし、以上2つの理由は、相続税を勉強すれば必ず導くことができる答えです。

ウラケン的には、日本の相続税の高さにはもう1つ、ある理由が隠されていると思っています。

それは何かというと、日本人の貯蓄率の高さです

日本人は、貯蓄率が異様に高いことで知られています。

具体的なデータを挙げると、日本の金融資産のうち、なんと50%が預金(現金)として貯蓄されています。さらに、その現金の多くは高齢者が保有しているという事実です。

バブル崩壊以降のデフレによって低金利政策が続いており、株などリスク資産への投資意欲が、高齢者であればあるほど低くなっています。

高齢者は年金も満額もらえるわけですが、バブル崩壊にトラウマがあったり、老後への不安があったりすることから、お金を溜め込む傾向にあります。

ですから、「溜め込んだお金を使わないのであれば、相続税として国に返してね」という意味合いも込められているのではないか?というのが僕の意見です。

アメリカであれば、金融資産に占める現金の貯蓄率は、日本の3分の1以下の15%程度です。

株や債券などは、投資信託で運用しています。だから経済が回って、税収が潤うんですよね。結果、所得税も相続税も、日本より低い水準です。

日本の相続税を低くするためには、高齢者のお金がいったん外に出ないといけません。

ですので、あと20~30年は、先進国No.1の相続税率が続いてしまうのではないでしょうか。

以上、「日本の相続税が世界一高い理由。それは、日本人の貯蓄率の高さにアリ?」というテーマで解説してきました。ぜひ参考にしてみてください!


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