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常に正しい道を歩くということ

公開日: 2023年05月29日

こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。

私も日々いろいろな壁にぶち当たっていますが(笑)、そんな時に読み返すのが、クロネコヤマトの宅急便の生みの親、故小倉昌男社長の「経営学」(日経BP社刊)です。

この本で学べることは、ひとことで言うと、常にチャレンジをし、誠実に徹すれば、必ず道は開けるということです。

利権が複雑に絡む旧郵政省と戦い、袖の下ではなく、誠実な経営と正論で、宅急便事業の許可を勝ち取ったのです。

 

人がハッピーになることはビジネスになる

小倉社長が先代から引き継いだ1971年当時のヤマト運輸は、商業貨物の配達業者でした。

引き継ぎ当時はオイルショックの影響で業績が低迷し、その起死回生の一手として宅急便事業を考えたのです。

当時は、今では一般的な宅配便などはなく、個人の宅配市場は未開拓で、競争相手になるのは国営企業である郵便局だけでした。

商業貨物が、倉庫から倉庫、工場から店舗など、大口で大量のルート配送であるのに対して、個人からの宅配物は毎回配達先が変わってきます。

しかも、全国ありとあらゆる場所に配達しなければなりません。

さらに小倉先生は、日本全国へたった1日で配達する宅急便網を構築する!と言ったのです。

これだと、ものすごい参入リスクばかりが目につきますね。

最初は社員の猛反対にあいました。

しかし小倉先生は、「もし、個人間での宅配システムができたとしたら、ものすごい市場規模になる」と確信していました。

具体的な市場規模も推計していて、少なくともそれは1,250億円になるはずだと。

しかし、いくら市場規模が大きいからといって、宅急便事業を始めるには莫大なコストがかかります。

しかも、宅配事業は郵政の独壇場ですから、相当な勇気と強い意志がなければ、恐ろしくて参入することはできません。

それでも小倉先生は、成功するための戦略を描き、宅配ネットワークのあるべき姿を描き、経営陣はもちろん、労働組合から運転手にまで、宅急便事業の理解を粘り強く説いていきました。

その苦労が「経営学」には語られています。

 

利権との戦いは直球勝負!世論を味方につけるしたたかさ

当時の日本の配送業は、利権の巣窟が複雑に絡み合っていました。

配送免許は都道府県ごとに与えられ、かつ複数の荷主を一台のトラックに積み合わせるにも免許が必要でした。

宅急便を始めるのなら、これらの免許はすべて取得しなければなりません。

運輸省に免許を申請すると、既存業者の反対があるからと、なんと申請書類が5年も放置されてしまいました。

しかし小倉先生は、ここであきらめず行政訴訟を起こし、免許を勝ち取るのです。

それだけではありません。

宅急便事業が始まってまもなく、小さなサイズの荷物の価格を安くしようとしました。

しかし、運輸省からはB to Bの路線トラックと同じ規定にしなければならないと認められなかったのです。

それでも粘り強く交渉した結果、「申請を進める」との返答を引き出しますが、1年経っても許可を得ることはできなかったのです。

そこで小倉先生がとった次の一手が秀逸でした。

伝説に残るある広告を打ったのです。

安価な宅急便メニューが始まるとの新聞広告を、実施開始日を記載しつつ出したのでした。

そして、その開始時期がきても許可を受けられなかったため、今度は、「運輸省が認可しないから安価な新メニューの開始は延期になった」お詫び広告を出したのです。

つまり、暗に「郵政は自分たちの既得権益を守るために、お客様の利益をないがしろにしている」とのメッセージを伝え、世論を味方につけたのです。

その後、新メニューは許可され、今のような宅急便が一般的に普及していったのです。

「経営学」の中にこんな一節があります。

「ヤマト運輸は、監督官庁に楯突いてよく平気でしたね、と言う人がいる。別に楯突いた気持ちはない。正しいと思うことをしただけである。あえて言うならば、運輸省がヤマト運輸のやることに楯突いたのだろう」なんとスカッとする言葉なのでしょうね。

小倉先生は、政治家などと結託してうまく立ち回れば、もっと事業を早く進めることができたでしょう。

しかしそうせずに、真正面から戦ったのです。

なんと頑固で意志の強い人なのでしょう!

何年か前に、道路交通法が改正されて、違法駐車が厳しく取り締まられることになった時も、ヤマト運輸はいち早く宅配の方法を「自転車とリヤカー」に切り替えました。

政治家にべったりな佐川急便は、いまだに違法駐車をして配達していますね。

正しいことは正しい、悪いことは悪い。

こういった小倉先生のDNAが故人となっても受け継がれているのは、どんな抵抗勢力があらわれても、宅急便を作った時の「正しいことをする」という精神があれば、必ず道は開けるということを企業文化として受け継いできているからでしょう。

一介の中小企業だったヤマト運輸が一兆円の大企業になった。

これがその精神を裏付ける何よりの証拠なのですから。

無いものを世の中に生み出そうとするとき、規模が違えど、あなたも必ず小倉先生と同じ経験をすることでしょう。

その時私たちがすべきことは、「正しいことをする」ということです。

相手の目を見て、正直に物事を行えないことはすべきではありません。

小倉先生、本当にすごい人です。

「経営学」は何度読んでも勇気がみなぎってきます。

道に迷った時、つまずいた時、ぜひ読むことをおすすめします。


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