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レオパレスの家賃減額裁判の結果についてわかりやすく解説!家主が取るべきサブリース契約の対策とは?

公開日: 2023年06月16日

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こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。

本日は、皆さんも気になっているであろう、「レオパレスのサブリース家賃減額裁判」に関する最新情報が入ってきたので、シェアしていきたいと思います。

今回の記事では

・そもそも裁判で何を争っていたのか?
・なぜ一方的な家賃の減額ができるのか?
・家主がとるべきサブリース契約の対策とは?

について解説していきます。ぜひ最後までご覧ください!

 

裁判の一部始終をおさらい

まずは、今回の裁判の経緯をみていきましょう。

ことの発端は、2021年4月に遡ります。

家賃保証契約の物件について、レオパレスは“家賃適正化”をはかるとして、家主との合意なしに一方的に減額した家賃を振り込んできたのです。

大家さんからすれば、「一体どういうこと??」という感じですが、この家賃減額を双方の合意なしに実行してしまったことが問題となりました。

そこでレオパレスは、「減額した家賃は適正である」という主張を正当化するため、家主を相手取って裁判を起こします。

これに対して、もちろん家主側も黙っているわけがありません。従来支払われるべき未払い分の家賃支払いをレオパレスに求める裁判を起こします。

こうした経緯で、双方とも譲らずに裁判で争っていたというわけです。

そして結果的にこの裁判は、 “和解”という形で決着しました。

今回の件で和解に至った4物件の合意内容は次のとおりです。

■2物件→これまで通りの家賃で据え置き
■1物件→レオパレス側は従来の保証家賃より32%少ない112万円へ減額を求めていたが、最終的に149万円で合意
■1物件→レオパレス側は133万円へ減額を求めていたが、最終的に150万円で合意

賃料改定となった2物件の平均の減額率は10%程度だったそうです。

 

今回の裁判の「なぜ?」から業界事情を紐解く

今回の裁判について一部始終をみてきたところで、皆さんが「なぜ?」と疑問に思われるであろうポイントを解説していきましょう。

 

一方的な家賃の減額請求は、なぜ発生するのか


まず、家賃保証契約の物件において、一方的な家賃の減額請求はなぜ発生するのでしょうか。

そもそも前提として、レオパレスの保証家賃は高く設定されています

業界では有名な話ですが、レオパレスの建築費はとても高額なんですよね。プレハブのスカスカなアパートを、めちゃくちゃ高い建築費で請け負っています。

しかし、建築費を補える家賃収入がないと、オーナーは銀行から借り入れができません。そこでレオパレスは、相場よりも高い家賃で物件を借り上げて、家賃保証をしているわけです。

だから、築後数年も経てば、相場と比べて家賃の額が不相応になるのは当たり前なのです。

そして、入居者が決まらなければ、建築時にたんまり取った利益から充当する・・・そんな強引なビジネスモデルで回していました。

(余談ですが、レオパレスは社宅に強いです。普通の賃貸借契約で貸すのではなく、チケット制で、“いつでも、どのレオパレスにも移動できる”というようなことをやっていました。ビジネス的な観点で見れば、稼働率をあげてトータルの家賃を稼ぐという努力自体は評価できると思います。)

しかし、高額な建築費を補うために高額な家賃保証をしないと回っていかない・・・このようなビジネスモデルは、いくらなんでも無理があったと思います。

 

なぜレオパレスは和解を選択したのか?


今回、レオパレス側が和解をする姿勢を見せたことは、同様の裁判をするオーナーにとっても有益な情報だと思います。

しかし、なぜレオパレスは和解を選択したのでしょうか?

その理由は、裁判所にしっかり判決を出されて、「レオパレスはこれだけ払いなさい」という前例ができてしまうと、それが全国の裁判のベースとなってしまいかねない・・・と考えたからだと思います。

下手な前例を作ってしまうより、和解してしまえということですね。

また、先ほどお話ししたように、減額家賃133万円に対して合意家賃は150万円という物件もありました。

これは家賃の差が17万円ほどしかありません。オーナーさんにしてみれば、毎月17万円の保証家賃に対して数百万円の弁護士費用をかけた裁判だったわけです。

レオパレスとしては、「一方的に減額家賃を振り込んだとしても、家主は裁判なんて起こしてこないだろう」とたかを括っていた節もあったのではないかと思います。

 

サブリース契約は、家賃を保証する契約ではない!大家がとるべき対策とは

法律を理解している人にとっては当然ですが、サブリース契約の場合、借主は入居者ではなく不動産会社(今回のケースではレオパレス)になります。

そして借主が不動産会社であったとしても、そこでは借地借家法が適用されることになります。

借地借家法32条には、

「建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。」

と書いてあります。

つまり、契約途中の減額請求は当然に可能となり、一方的に減額した家賃を振り込むのも、別に法律違反ではないということです。

裁判で確定するまでは、自分が正しいと思う家賃を振り込めば良いというわけです。

この法律は、立場が弱いはずの家主側が、減額家賃を受け取らなければならないとう、非常に変な法律なのです。

 

家主が打つべき対策


サブリース契約では「高い家賃を保証してもらえる」という情報だけが先行しています。

そのため、裏の仕組みをきちんと理解していないと、このようなトラブルに巻き込まれてしまう可能性が高くなるわけです。

しかし、不動産実務検定などでしっかりと勉強していれば、

・契約内容に、「一方的に家賃を減額できない」という特約をつける
・サブリース契約を定期借家契約にして、問題を長引かせない


といった対策を取ることも可能です。

レオパレスに限らず、家賃保証は情報弱者の家主を逆手にとって儲けるビジネスモデルですので、十分に注意しましょう。


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