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こんな大家さんはインボイス制度で損をする!?不動産投資家が知っておくべきインボイス対策を解説!
公開日: 2023年07月19日
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こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。
いよいよ10月1日からインボイス制度が始まります。
インボイスと聞くだけで蕁麻疹が出る人もいるかもしれませんが、今回は不動産投資家に特化したインボイス対策についてわかりやすく解説していきます。
テーマは、「こんな大家さんはインボイス制度で損をする!?不動産投資家が知っておくべきインボイス対策を解説!」ということで、
・インボイス制度とは一体どんなものか?
・大家さんにどんな関係があるのか?
についてお話しします。ぜひ最後までご覧ください!
インボイス制度とは一体どんなものか?
まずは、そもそもインボイス制度とは一体どんなものなのでしょうか?簡単に見ていきましょう。
概要
一言で言えば、「インボイス制度」というのは、ズバリ“益税”対策です。
“益税”とはいったい何でしょうか?
“益税”というのは、「消費税の非課税業者が商品の販売時にお客さんから受け取っている消費税については、税務署に納めなくて良い」というものです。
しかし、「それはやっぱり不公平だよね」と言うことで、頭のいい国税のお役人さんが今回の制度を考え出しました。それがインボイス制度です。
具体例
制度の目的がわかったところで、具体的な例で考えていきます。
あなたが、小さい店舗ビルを持っていたとしましょう。
ビルにはテナントとしてラーメン屋さんが入っていて、大家のあなたはラーメン屋さんから家賃を受け取っています。
<基本情報>
・店舗の年間家賃:900万円+消費税90万円=合計990万円
・ラーメン屋の売上:3,000万円+消費税300万円=合計3,300万円
インボイス制度開始前
この大家さんは売上(家賃収入)が1,000万円以下なので、免税事業者です。そのため、受け取った消費税90万円は納税しなくて良いことになっていました。
表にまとめると、次のとおりです。
<ビルの収支>
家賃
900万円
消費税(テナントから受領)
90万円←納税しなくて良い(益税)
合計売上
990万円
一方、テナントのラーメン屋さんはというと、売上が1,000万円以上あるので課税業者となり、お客さんから受け取った消費税300万円は納税の必要があります。
しかし、この300万円というのはまるまる納税する必要はありません。
お客さんから受け取った300万円の消費税と、大家さんに家賃の消費税として支払った90万円の差額である、210万円を納税すればよかったんですね。
表にまとめると、次のとおりです。
<ラーメン屋の収支>
売上(税抜)
3,000万円
家賃支払
900万円
借受け消費税(お客さんから受領)
300万円
仮払い消費税(ビルの大家へ支払い)
90万円
合計売上
3,300万円
合計家賃
990万円
※ラーメン屋は、借受け消費税300万-仮払い消費税90万円=210万円のみ納税。
インボイス制度開始後
では、インボイス制度が始まると、どのように変わるのでしょうか。
ラーメン屋さんの店主は、大家さんが課税事業者になって、インボイスを発行してくれないと、これまで確定申告の時に差し引けていた家賃の仮払い消費税90万円を差し引くことができなくなり、借受け消費税300万円を丸々納めないといけなくなります。
つまり、これまで大家さんが益税として受け取っていた消費税90万円を、ラーメン屋さんが代わりに負担しないといけなくなるわけです。
インボイス制度が“益税”対策と呼ばれる所以がここにあります。
インボイス制度への対策の3つのパターンを解説
インボイス制度の狙い・概要がわかったところで、どのような大家さんが対象になるのか、そして、どのように対策すべきかを3つのパターンに分けて解説していきます。
パターン1:既に課税売上が1,000万円超の大家さん
1,000万円超の課税売上がある大家さんは、既に課税事業者になっています。
ですから、インボイス制度が始まってもこれまでと変わることはありませんし、迷わずインボイス登録をすればいいでしょう。
パターン2:アパート(居住用賃貸)からの家賃が100%の大家さん
居住用賃貸の家賃というのは非課税です。そのため、今回の制度には関係ありませんので、インボイス登録の必要もありません。
パターン3:課税売上があり、テナントが課税事業者で、現在は免税事業者の大家さん
このパターンは、例えば貸事務所、貸店舗、貸駐車場を持っていて、課税売上が1,000万円以下の大家さんが対象です。
このような大家さんは、
・課税事業者になり、インボイスを発行する
・インボイスを発行しない
のいずれかを選ぶことになります。どちらを選ぶかは、個人の自由です。
しかし、どちらを選んでも、収益が減るリスクは避けられません。
なぜかというと、先ほどのラーメン屋の例でいえば、大家さんが課税事業者になり、インボイスを発行するとなると、(他に課税仕入れがなければ)消費税の90万円を丸々納める必要があるからです。
では、インボイスを発行しなければ良いかというと、そうでもありません。
なぜなら、テナントにとっては、大家さんがインボイスを発行してくれないと、消費税分の負担が増えてしまうからです。
先ほどのラーメン屋の例でいえば、大家さんがインボイスを発行してくれないと、ラーメン屋は300万円の消費税を支払わなければいけなくなり、差し引けなくなった90万円分のコストをどうカバーするかが問題になってきます。
そのため、大家さんは、
・同じ家賃で、インボイスを発行してくれる別の物件に引っ越される(=空室リスク)
・消費税分の家賃をまけてくれ、と言われる(=賃料減額リスク)
この2つの問題に直面する可能性があるわけです。
まとめ
というわけで今回は、「こんな大家さんはインボイス制度で損をする!?不動産投資家が知っておくべきインボイス対策を解説!」というテーマで解説してきました。
今回のインボイス制度では、「3年間は受け取った消費税の2割だけ納税すれば良い」という緩和措置があります。しかし、いずれにしても益税がなくなるのは時間の問題です。
僕個人の意見としては、インボイス登録をせずにちまちま節税を考えるよりも、売り上げをガンガン上げて課税事業者になり、資産を増やす方に脳みそを使った方が良いと思ったりもしますが・・・。
今回の話は少し難しかったかもしれませんが、何度も読み返して、しっかり理解するようにしましょう。ぜひ参考にしてみてください!
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こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。
いよいよ10月1日からインボイス制度が始まります。
インボイスと聞くだけで蕁麻疹が出る人もいるかもしれませんが、今回は不動産投資家に特化したインボイス対策についてわかりやすく解説していきます。
テーマは、「こんな大家さんはインボイス制度で損をする!?不動産投資家が知っておくべきインボイス対策を解説!」ということで、
・インボイス制度とは一体どんなものか?
・大家さんにどんな関係があるのか?
についてお話しします。ぜひ最後までご覧ください!
インボイス制度とは一体どんなものか?
まずは、そもそもインボイス制度とは一体どんなものなのでしょうか?簡単に見ていきましょう。概要
一言で言えば、「インボイス制度」というのは、ズバリ“益税”対策です。
“益税”とはいったい何でしょうか?
“益税”というのは、「消費税の非課税業者が商品の販売時にお客さんから受け取っている消費税については、税務署に納めなくて良い」というものです。
しかし、「それはやっぱり不公平だよね」と言うことで、頭のいい国税のお役人さんが今回の制度を考え出しました。それがインボイス制度です。
具体例
制度の目的がわかったところで、具体的な例で考えていきます。
あなたが、小さい店舗ビルを持っていたとしましょう。
ビルにはテナントとしてラーメン屋さんが入っていて、大家のあなたはラーメン屋さんから家賃を受け取っています。
<基本情報>
・店舗の年間家賃:900万円+消費税90万円=合計990万円
・ラーメン屋の売上:3,000万円+消費税300万円=合計3,300万円
インボイス制度開始前
この大家さんは売上(家賃収入)が1,000万円以下なので、免税事業者です。そのため、受け取った消費税90万円は納税しなくて良いことになっていました。
表にまとめると、次のとおりです。
<ビルの収支>
家賃 | 900万円 |
消費税(テナントから受領) | 90万円←納税しなくて良い(益税) |
合計売上 | 990万円 |
一方、テナントのラーメン屋さんはというと、売上が1,000万円以上あるので課税業者となり、お客さんから受け取った消費税300万円は納税の必要があります。
しかし、この300万円というのはまるまる納税する必要はありません。
お客さんから受け取った300万円の消費税と、大家さんに家賃の消費税として支払った90万円の差額である、210万円を納税すればよかったんですね。
表にまとめると、次のとおりです。
<ラーメン屋の収支>
売上(税抜) | 3,000万円 | 家賃支払 | 900万円 |
借受け消費税(お客さんから受領) | 300万円 | 仮払い消費税(ビルの大家へ支払い) | 90万円 |
合計売上 | 3,300万円 | 合計家賃 | 990万円 |
※ラーメン屋は、借受け消費税300万-仮払い消費税90万円=210万円のみ納税。
インボイス制度開始後
では、インボイス制度が始まると、どのように変わるのでしょうか。
ラーメン屋さんの店主は、大家さんが課税事業者になって、インボイスを発行してくれないと、これまで確定申告の時に差し引けていた家賃の仮払い消費税90万円を差し引くことができなくなり、借受け消費税300万円を丸々納めないといけなくなります。
つまり、これまで大家さんが益税として受け取っていた消費税90万円を、ラーメン屋さんが代わりに負担しないといけなくなるわけです。
インボイス制度が“益税”対策と呼ばれる所以がここにあります。
インボイス制度への対策の3つのパターンを解説
インボイス制度の狙い・概要がわかったところで、どのような大家さんが対象になるのか、そして、どのように対策すべきかを3つのパターンに分けて解説していきます。パターン1:既に課税売上が1,000万円超の大家さん
1,000万円超の課税売上がある大家さんは、既に課税事業者になっています。
ですから、インボイス制度が始まってもこれまでと変わることはありませんし、迷わずインボイス登録をすればいいでしょう。
パターン2:アパート(居住用賃貸)からの家賃が100%の大家さん
居住用賃貸の家賃というのは非課税です。そのため、今回の制度には関係ありませんので、インボイス登録の必要もありません。
パターン3:課税売上があり、テナントが課税事業者で、現在は免税事業者の大家さん
このパターンは、例えば貸事務所、貸店舗、貸駐車場を持っていて、課税売上が1,000万円以下の大家さんが対象です。
このような大家さんは、
・課税事業者になり、インボイスを発行する
・インボイスを発行しない
のいずれかを選ぶことになります。どちらを選ぶかは、個人の自由です。
しかし、どちらを選んでも、収益が減るリスクは避けられません。
なぜかというと、先ほどのラーメン屋の例でいえば、大家さんが課税事業者になり、インボイスを発行するとなると、(他に課税仕入れがなければ)消費税の90万円を丸々納める必要があるからです。
では、インボイスを発行しなければ良いかというと、そうでもありません。
なぜなら、テナントにとっては、大家さんがインボイスを発行してくれないと、消費税分の負担が増えてしまうからです。
先ほどのラーメン屋の例でいえば、大家さんがインボイスを発行してくれないと、ラーメン屋は300万円の消費税を支払わなければいけなくなり、差し引けなくなった90万円分のコストをどうカバーするかが問題になってきます。
そのため、大家さんは、
・同じ家賃で、インボイスを発行してくれる別の物件に引っ越される(=空室リスク)
・消費税分の家賃をまけてくれ、と言われる(=賃料減額リスク)
この2つの問題に直面する可能性があるわけです。
まとめ
というわけで今回は、「こんな大家さんはインボイス制度で損をする!?不動産投資家が知っておくべきインボイス対策を解説!」というテーマで解説してきました。今回のインボイス制度では、「3年間は受け取った消費税の2割だけ納税すれば良い」という緩和措置があります。しかし、いずれにしても益税がなくなるのは時間の問題です。
僕個人の意見としては、インボイス登録をせずにちまちま節税を考えるよりも、売り上げをガンガン上げて課税事業者になり、資産を増やす方に脳みそを使った方が良いと思ったりもしますが・・・。
今回の話は少し難しかったかもしれませんが、何度も読み返して、しっかり理解するようにしましょう。ぜひ参考にしてみてください!
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