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マンションの建て替え決議要件が改正されました
公開日: 2025年06月20日
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こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。
今日は、マンションの建て替え決議要件が緩和されたということで、その内容についてシェアしたいと思います。
2025年5月に区分所有法の改正案が可決・成立し、いよいよ2026年4月から施行されることになりました。
今回の改正は建て替えだけでなく、大規模改修や取り壊し、一括売却といった区分所有マンションの重大な決議に関わる要件が大きく緩和されました。
分譲マンションにお住まいの方や、区分マンションに投資をしている方にとっては、必ずキャッチアップしておかなければいけない情報だと思いますので、詳しく解説していきます。ぜひ最後までご覧ください!
改正の3つのポイント
1. 一括売却・大規模リノベーションの要件緩和
2. 危険建物の建て替え要件の更なる緩和
3. 所在不明者の除外
建て替えの現実的な困難さ
1. 建築費と解体費の高騰
2. 修繕積立金の不足
3. 1世帯あたりの負担額の問題
4. 容積緩和の困難さ
5. 新築分譲部分の販売リスク
6. 住民の当事者意識の問題
今回の改正で注目すべき点
まとめ
改正の3つのポイント
今回の改正のポイントは3つあります。
1. 一括売却・大規模リノベーションの要件緩和
取り壊しや一括売却、大規模なリノベーションを実行するためには、これまで原則として全員一致が必要でした。
しかし、今後は5分の4以上の賛成で可能になります。
建て替えに関してはもともと5分の4以上の賛成が要件でしたが、今回の改正によって、一括売却なども5分の4以上の賛成で可能になるということです。
2. 危険建物の建て替え要件の更なる緩和
建て替え・取り壊し・一括売却・大規模リノベーションのいずれのケースも5分の4以上の賛成が必要ですが、耐震性に問題があるなど、建物が危険な状態になっている場合には、4分の3以上の賛成で対応できるようになります。
3. 所在不明者の除外
そして、今回の改正でかなり画期的な点が、所在不明者を賛成の母数から除外できるようになったという点です。
例えば、所有者が海外在住で連絡がつかない場合や、死亡していて相続登記がなされておらず、合意形成ができない場合があります。
そういった場合は、裁判所の許可があれば、所在不明の所有者を賛成率の計算から除外できるようになりました。
これにより、5分の4以上の賛成を得て意思決定できる可能性がグッと高まったわけです。
建て替えの現実的な困難さ
ここまで見ると、老朽マンションの建て替え決議が現実的に進みそうな気もするかもしれませんが、以前も解説した通り、建て替えは非常に難しいのが現実です。
なぜかというと、乗り越えられない6つの大きな壁が存在するからです。その壁とは、次の通りです。
1. 建築費と解体費の高騰
建て替える際に容積率を緩和して部屋数を増やし、増えた分を新たに分譲して、その収益で建て替え費用を賄うという方法があります。
しかし、建築コストが上がっているため、それでは費用が足りないという問題があります。
2. 修繕積立金の不足
分譲マンションには修繕積立金を滞納している世帯が少なからず存在するため、合意形成が難航したり、建て替えに充てられる修繕積立金が不足したりする問題があります。
3. 1世帯あたりの負担額の問題
以前報道がありましたが、1人2,000万円を負担したとしても、99%のマンションは建て替えが困難とされています。
40年を超えるマンションの所有者はほとんどが高齢者世帯のため、2,000万円以上も負担できるか?という問題や、高齢者は先が短いのに2,000万円も負担してマンションを建て替えたいのか?という問題も出てきます。
4. 容積緩和の困難さ
都市計画法上、周辺にビルが建ち並ぶ都心であればまだしも、郊外や住宅街では日照権や景観の問題があります。
容積率を緩和すると日陰の時間が長くなり、近隣の大反対に遭う可能性があります。
5. 新築分譲部分の販売リスク
容積緩和を受けて部屋数を増やして建て替えたとしても、郊外のマンションではそれが売れるのか?という問題があります。
建築費が高くなっているということは、そのぶん分譲価格も高くなります。もし売れなければ建て替え自体ができません。
6. 住民の当事者意識の問題
そもそも理事会や住民にやる気があるのか、合意形成をするつもりがあるのかという問題もあります。
当事者意識の乏しい世帯が多いマンションでは、話し合いの段階にすら進めない可能性もあるわけです。
今回の改正で注目すべき点
こういった問題は以前から露呈しています。
実際、建て替えに成功しているマンションは、全体の1%にも及びません。
そのため、今回の改正で注目すべき点は、建て替えができるようになったわけではなく、ルールを変えやすくなったという点でしょう。
例えば、管理規約の変更や修繕の決議が全区分所有者の多数決ではなく、集会の出席者の多数決で可能になった点は大きいと思います。
出席しない人の分は考慮しなくて良くなったわけです。
これにより、例えばマンションで民泊をして騒音問題が発生した場合に、民泊利用を制限することができるなど、居住者たちの環境を良くするような規約の変更が可能になってきます。
まとめ
というわけで今回は、「マンションの建て替え決議要件の改正」について解説してまいりました。
法改正が行なわれたとしても、やはり建て替えは難しいというのが結論です。
しかし、管理規約を変更できる可能性は高まっています。
そのため、区分所有マンションは建て替えを前提とするのではなく、「保有し続けることを前提として、修繕を繰り返していく」ことを考えるべきです。
そのための管理規約の変更などをやっていった方が良いのではないかと思います。
例えば、イタリアやフランスなどヨーロッパ地域の建物は基本的に取り壊すことができません。
建て替えがそもそもできないため、建物を永続的に維持していくための法律があるわけです。
そういったヨーロッパの制度を見習いつつ、日本の区分所有マンションも永続的に使っていくことを前提として、管理規約や修繕を考えていった方が良いのではないかと思います。
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こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。
今日は、マンションの建て替え決議要件が緩和されたということで、その内容についてシェアしたいと思います。
2025年5月に区分所有法の改正案が可決・成立し、いよいよ2026年4月から施行されることになりました。
今回の改正は建て替えだけでなく、大規模改修や取り壊し、一括売却といった区分所有マンションの重大な決議に関わる要件が大きく緩和されました。
分譲マンションにお住まいの方や、区分マンションに投資をしている方にとっては、必ずキャッチアップしておかなければいけない情報だと思いますので、詳しく解説していきます。ぜひ最後までご覧ください!
改正の3つのポイント
1. 一括売却・大規模リノベーションの要件緩和
2. 危険建物の建て替え要件の更なる緩和
3. 所在不明者の除外
建て替えの現実的な困難さ
1. 建築費と解体費の高騰
2. 修繕積立金の不足
3. 1世帯あたりの負担額の問題
4. 容積緩和の困難さ
5. 新築分譲部分の販売リスク
6. 住民の当事者意識の問題
今回の改正で注目すべき点
まとめ
改正の3つのポイント
今回の改正のポイントは3つあります。1. 一括売却・大規模リノベーションの要件緩和
取り壊しや一括売却、大規模なリノベーションを実行するためには、これまで原則として全員一致が必要でした。
しかし、今後は5分の4以上の賛成で可能になります。
建て替えに関してはもともと5分の4以上の賛成が要件でしたが、今回の改正によって、一括売却なども5分の4以上の賛成で可能になるということです。
2. 危険建物の建て替え要件の更なる緩和
建て替え・取り壊し・一括売却・大規模リノベーションのいずれのケースも5分の4以上の賛成が必要ですが、耐震性に問題があるなど、建物が危険な状態になっている場合には、4分の3以上の賛成で対応できるようになります。
3. 所在不明者の除外
そして、今回の改正でかなり画期的な点が、所在不明者を賛成の母数から除外できるようになったという点です。
例えば、所有者が海外在住で連絡がつかない場合や、死亡していて相続登記がなされておらず、合意形成ができない場合があります。
そういった場合は、裁判所の許可があれば、所在不明の所有者を賛成率の計算から除外できるようになりました。
これにより、5分の4以上の賛成を得て意思決定できる可能性がグッと高まったわけです。
建て替えの現実的な困難さ
ここまで見ると、老朽マンションの建て替え決議が現実的に進みそうな気もするかもしれませんが、以前も解説した通り、建て替えは非常に難しいのが現実です。なぜかというと、乗り越えられない6つの大きな壁が存在するからです。その壁とは、次の通りです。
1. 建築費と解体費の高騰
建て替える際に容積率を緩和して部屋数を増やし、増えた分を新たに分譲して、その収益で建て替え費用を賄うという方法があります。
しかし、建築コストが上がっているため、それでは費用が足りないという問題があります。
2. 修繕積立金の不足
分譲マンションには修繕積立金を滞納している世帯が少なからず存在するため、合意形成が難航したり、建て替えに充てられる修繕積立金が不足したりする問題があります。
3. 1世帯あたりの負担額の問題
以前報道がありましたが、1人2,000万円を負担したとしても、99%のマンションは建て替えが困難とされています。
40年を超えるマンションの所有者はほとんどが高齢者世帯のため、2,000万円以上も負担できるか?という問題や、高齢者は先が短いのに2,000万円も負担してマンションを建て替えたいのか?という問題も出てきます。
4. 容積緩和の困難さ
都市計画法上、周辺にビルが建ち並ぶ都心であればまだしも、郊外や住宅街では日照権や景観の問題があります。
容積率を緩和すると日陰の時間が長くなり、近隣の大反対に遭う可能性があります。
5. 新築分譲部分の販売リスク
容積緩和を受けて部屋数を増やして建て替えたとしても、郊外のマンションではそれが売れるのか?という問題があります。
建築費が高くなっているということは、そのぶん分譲価格も高くなります。もし売れなければ建て替え自体ができません。
6. 住民の当事者意識の問題
そもそも理事会や住民にやる気があるのか、合意形成をするつもりがあるのかという問題もあります。
当事者意識の乏しい世帯が多いマンションでは、話し合いの段階にすら進めない可能性もあるわけです。
今回の改正で注目すべき点
こういった問題は以前から露呈しています。実際、建て替えに成功しているマンションは、全体の1%にも及びません。
そのため、今回の改正で注目すべき点は、建て替えができるようになったわけではなく、ルールを変えやすくなったという点でしょう。
例えば、管理規約の変更や修繕の決議が全区分所有者の多数決ではなく、集会の出席者の多数決で可能になった点は大きいと思います。
出席しない人の分は考慮しなくて良くなったわけです。
これにより、例えばマンションで民泊をして騒音問題が発生した場合に、民泊利用を制限することができるなど、居住者たちの環境を良くするような規約の変更が可能になってきます。
まとめ
というわけで今回は、「マンションの建て替え決議要件の改正」について解説してまいりました。法改正が行なわれたとしても、やはり建て替えは難しいというのが結論です。
しかし、管理規約を変更できる可能性は高まっています。
そのため、区分所有マンションは建て替えを前提とするのではなく、「保有し続けることを前提として、修繕を繰り返していく」ことを考えるべきです。
そのための管理規約の変更などをやっていった方が良いのではないかと思います。
例えば、イタリアやフランスなどヨーロッパ地域の建物は基本的に取り壊すことができません。
建て替えがそもそもできないため、建物を永続的に維持していくための法律があるわけです。
そういったヨーロッパの制度を見習いつつ、日本の区分所有マンションも永続的に使っていくことを前提として、管理規約や修繕を考えていった方が良いのではないかと思います。
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