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J-REITが下がり続けている理由
公開日: 2026年10月15日
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6月に「今、急落しているJ-REITは狙い目かもしれない」というブログを書きました。
NAV倍率が1倍を割れて、平均利回りも5%を超えている。
不動産を直接買うより安く買えるのだから、見直す価値がある水準に来ている、という内容です。
あれから3か月半が経ちました。
東証REIT指数は10月8日に年初来安値の1,649.05を付けています。
1月の高値2,067から約2割安、記事を書いた6月からどんどん下がり続けているという状況です。
正直に言うと、僕の見立てはハズレました。
ただ、上記ブログの最後には「金利がさらに上昇し続ければ、価格はさらに下がる可能性があります」とも書いていました。
結果的には、そのリスクの方が現実になったわけです。
そこで今回は、外した見立てを黙ってスルーするのではなく、なぜ下がり続けているのか、検証してみたいと思います。
6月にブログを書いたとき、日本の長期金利は2.4%程度でした。
それが10月1日には3.095%まで上がっています。
この間に日銀は9月の会合で政策金利を1.25%に引き上げ、10年国債は3%台が当たり前になりました。
面白いのはここからです。
J-REITの平均分配金利回りは、6月末の5.09%から9月末には5.47%まで上がりました。
一見すると「さらにお得になった」ように見えますよね。
ところが、同じ期間に10年国債の利回りも2.67%から3.06%まで上昇しています。
そこで、J-REITと国債の利回り差を計算すると、6月末が2.42ポイント、9月末が2.41ポイント。
差はほとんど変わっていないんです。
つまり、J-REITは「割安になった」のではなく、金利が上がった分だけ、素直に値段が下がったということです。
国債で3%が取れるなら、J-REITでは5.5%くらいは欲しい。
投資家はそういう計算をしているわけです。
そこに海外投資家の売りも重なりました。
2026年1〜8月の海外投資家のJ-REIT売り越し額は1,997億円と、同じ期間では過去最大です。
NAV倍率とは、J-REITが持っている不動産を時価で評価した「中身の価値」に対して、いまの値段が何倍かを示す数字です。
6月末は0.84倍でしたが、9月には0.78倍まで下がりました。
これは、時価1億円の不動産をJ-REITが持っているのに、その株価が7,800万円というイメージです。
1億円のものを7,800万円で買える、と考えたら割安ですよね。
しかも日経の報道によれば、上場している58銘柄すべてがNAV倍率1倍割れ。
一方で、J-REITの中身そのものは傷んでいません。
1口あたりのNAVは上期に過去最高を更新し、予想分配金もほぼ横ばいです。
現物の不動産市場を見ても、4〜6月期の事業用不動産の取引額は1兆1,210億円(前年同期比+17%)。
東京駅前のビル「PCP丸の内」のオフィス部分は、ヒューリックなどの国内企業連合が約2,300億円で取得しました。
現物は高値で買われているのに、J-REITだけが売られている。
これ、普通に考えるとおかしな話だと思いませんか?
6月に僕が考えたのは、「金利が落ち着けば戻る」「ここまで安ければ、誰かが買いに来る」ということでした。
株式会社なら、純資産より株価が大幅に安ければ、購入の対象になって値段が戻ってくるはずですよね。
ところがJ-REITは、そうはなりませんでした。
なぜなら、J-REITは新陳代謝が進みにくい構造になっているからです。
どういうことかというと、J-REITは法律上、従業員を雇えない「箱」のような存在で、運用はスポンサー系列の資産運用会社に任せています。
だから割安でも自分で大きく動けないし、外から買収を仕掛けても通りにくい。
実際、2025年にシンガポールの投資ファンドが2つのJ-REITにTOB(株式公開買付け)を仕掛けましたが、スポンサー自身が買い増して防衛し、失敗に終わっています。
一方、アメリカのREITは、優良な不動産を呼び込む税の仕組みやM&Aで新陳代謝が進み、ここ数年で時価総額を大きく伸ばしています。
つまり、J-REITは「安くなっても、安さが解消されにくい構造」になっているわけです。
金利だけの問題なら、金利が止まれば価格は戻ります。
でも安さの理由が制度にもあるなら、金利が落ち着いても簡単には戻らない、ということなのだと思います。
少額から不動産に分散投資できて、管理の手間もない。
利回り5%台という水準も、6月より上がっています。
ただ、「割安だから買う」という理由だけで買うのは今はやめた方がいいと思います。
底は、金利の上昇が止まるまで見えないからです。
もし買うなら、値上がりではなく分配金を受け取り続ける前提で持つこと。
一度に買わず、時間を分けて少しずつ買うこと。
つまりドルコスト平均法で買うことです。
そして6月にも書いたとおり、固定金利の比率が高く、借入期間が長い銘柄を選ぶこと。
この3つは押さえておくべきかと思います。
さらに、僕ら大家にとってより大事なのは、現物とJ-REITの値段のズレが何を意味しているかということです。
先ほどのPCP丸の内を高値で買った国内企業連合は、入居企業の多くが数年以内に契約の満期を迎えるので、その更新のときに賃料を引き上げられると判断しました。
つまりプロは、「インフレの時代は、家賃を上げられる」と考えて買い進めるわけです。
金利が上がって借入のコストは増えますが、家賃を上げられる物件を持っていれば、インフレは味方にもなる。
これは、僕たち個人投資家にも当てはまります。
安いものには、安いなりの理由がある。
その理由が金利なのか、制度なのか、それとも中身なのか。
ここを分けて見る癖をつけると、J-REITだけでなく、物件を見る目もきっと変わってくるはずです。
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6月に「今、急落しているJ-REITは狙い目かもしれない」というブログを書きました。
NAV倍率が1倍を割れて、平均利回りも5%を超えている。
不動産を直接買うより安く買えるのだから、見直す価値がある水準に来ている、という内容です。
あれから3か月半が経ちました。
東証REIT指数は10月8日に年初来安値の1,649.05を付けています。
1月の高値2,067から約2割安、記事を書いた6月からどんどん下がり続けているという状況です。
正直に言うと、僕の見立てはハズレました。
ただ、上記ブログの最後には「金利がさらに上昇し続ければ、価格はさらに下がる可能性があります」とも書いていました。
結果的には、そのリスクの方が現実になったわけです。
そこで今回は、外した見立てを黙ってスルーするのではなく、なぜ下がり続けているのか、検証してみたいと思います。
6月から何が変わったのか
J-REITが下がり続けた理由で一番大きいのは、やはり金利です。6月にブログを書いたとき、日本の長期金利は2.4%程度でした。
それが10月1日には3.095%まで上がっています。
この間に日銀は9月の会合で政策金利を1.25%に引き上げ、10年国債は3%台が当たり前になりました。
面白いのはここからです。
J-REITの平均分配金利回りは、6月末の5.09%から9月末には5.47%まで上がりました。
一見すると「さらにお得になった」ように見えますよね。
ところが、同じ期間に10年国債の利回りも2.67%から3.06%まで上昇しています。
そこで、J-REITと国債の利回り差を計算すると、6月末が2.42ポイント、9月末が2.41ポイント。
差はほとんど変わっていないんです。
つまり、J-REITは「割安になった」のではなく、金利が上がった分だけ、素直に値段が下がったということです。
国債で3%が取れるなら、J-REITでは5.5%くらいは欲しい。
投資家はそういう計算をしているわけです。
そこに海外投資家の売りも重なりました。
2026年1〜8月の海外投資家のJ-REIT売り越し額は1,997億円と、同じ期間では過去最大です。
中身は傷んでいないのに、値段だけが下がる
ここで、もう一度NAV倍率の話をさせてください。NAV倍率とは、J-REITが持っている不動産を時価で評価した「中身の価値」に対して、いまの値段が何倍かを示す数字です。
6月末は0.84倍でしたが、9月には0.78倍まで下がりました。
これは、時価1億円の不動産をJ-REITが持っているのに、その株価が7,800万円というイメージです。
1億円のものを7,800万円で買える、と考えたら割安ですよね。
しかも日経の報道によれば、上場している58銘柄すべてがNAV倍率1倍割れ。
一方で、J-REITの中身そのものは傷んでいません。
1口あたりのNAVは上期に過去最高を更新し、予想分配金もほぼ横ばいです。
現物の不動産市場を見ても、4〜6月期の事業用不動産の取引額は1兆1,210億円(前年同期比+17%)。
東京駅前のビル「PCP丸の内」のオフィス部分は、ヒューリックなどの国内企業連合が約2,300億円で取得しました。
現物は高値で買われているのに、J-REITだけが売られている。
これ、普通に考えるとおかしな話だと思いませんか?
安さが解消されない理由は「制度」にあった
実は、ここに僕が読み違えたポイントがあります。6月に僕が考えたのは、「金利が落ち着けば戻る」「ここまで安ければ、誰かが買いに来る」ということでした。
株式会社なら、純資産より株価が大幅に安ければ、購入の対象になって値段が戻ってくるはずですよね。
ところがJ-REITは、そうはなりませんでした。
なぜなら、J-REITは新陳代謝が進みにくい構造になっているからです。
どういうことかというと、J-REITは法律上、従業員を雇えない「箱」のような存在で、運用はスポンサー系列の資産運用会社に任せています。
だから割安でも自分で大きく動けないし、外から買収を仕掛けても通りにくい。
実際、2025年にシンガポールの投資ファンドが2つのJ-REITにTOB(株式公開買付け)を仕掛けましたが、スポンサー自身が買い増して防衛し、失敗に終わっています。
一方、アメリカのREITは、優良な不動産を呼び込む税の仕組みやM&Aで新陳代謝が進み、ここ数年で時価総額を大きく伸ばしています。
つまり、J-REITは「安くなっても、安さが解消されにくい構造」になっているわけです。
金利だけの問題なら、金利が止まれば価格は戻ります。
でも安さの理由が制度にもあるなら、金利が落ち着いても簡単には戻らない、ということなのだと思います。
では、J-REITとどう向き合うか
もちろん、J-REITを否定するつもりはありません。少額から不動産に分散投資できて、管理の手間もない。
利回り5%台という水準も、6月より上がっています。
ただ、「割安だから買う」という理由だけで買うのは今はやめた方がいいと思います。
底は、金利の上昇が止まるまで見えないからです。
もし買うなら、値上がりではなく分配金を受け取り続ける前提で持つこと。
一度に買わず、時間を分けて少しずつ買うこと。
つまりドルコスト平均法で買うことです。
そして6月にも書いたとおり、固定金利の比率が高く、借入期間が長い銘柄を選ぶこと。
この3つは押さえておくべきかと思います。
さらに、僕ら大家にとってより大事なのは、現物とJ-REITの値段のズレが何を意味しているかということです。
先ほどのPCP丸の内を高値で買った国内企業連合は、入居企業の多くが数年以内に契約の満期を迎えるので、その更新のときに賃料を引き上げられると判断しました。
つまりプロは、「インフレの時代は、家賃を上げられる」と考えて買い進めるわけです。
金利が上がって借入のコストは増えますが、家賃を上げられる物件を持っていれば、インフレは味方にもなる。
これは、僕たち個人投資家にも当てはまります。
安いものには、安いなりの理由がある。
その理由が金利なのか、制度なのか、それとも中身なのか。
ここを分けて見る癖をつけると、J-REITだけでなく、物件を見る目もきっと変わってくるはずです。
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