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なぜ?欧米の家は古くなるほど価値が高くなるのか?
公開日: 2022年08月27日
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こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。
今日は、「なぜ欧米の家は古くなるほど価値が高くなるのか?」というテーマでお話ししたいと思います。
先日、「アメリカの家賃上昇がエグい」というお話をさせていただきました。
まずは、簡単にその内容をおさらいしましょう。
日本では家賃を上げることが難しく、ずっと一定の水準を保ち続けていますが、アメリカでは、家賃は時間の経過とともに上がっていくのが一般的です。
その理由は3つあります。
1つは、人口が増加していることです。今、アメリカの人口は約3億3千万人です。この人口が、2050年には約3億8千万人にまで増えるという予測がされています。
2つ目は、この人口増加に伴って、GDPが順調に増加しているという要因があります。経済成長をすれば、不動産価格も上がっていきますし、家賃も上がっていくというロジックです。
3つ目の理由は、日本と比べて家主の立場が強いということです。日本と違い、アメリカでは借主よりも家主の方が強い権利を持っていて、割と簡単に家賃の改定ができるようになっています。
もし家賃を滞納したら、すぐに警察の立会いのもとで立ち退きを迫られるし、すぐに裁判で訴えられたりもします。このような関係性から、賃料の改定が容易なのです。
欧米の家は、古くなればなるほど価値が上がる
そして、実はこの3つの理由の他にもう1つ、家賃が上がっていく要因があります。
それは、欧米では「家は古くなればなるほど価値が上がっていく」という「文化」があることです。
不動産の価格というのは、インフレ経済によって上昇していきますが、これとは別に、「古いものは良い」「古いものは価値がある」という文化があるのです。
日本のように、築50年にもなってしまうと、建物が「無価値」になるということはありません。逆に100年も200年も経った家の価値が、何倍、何十倍になることが普通なのです。
そして、今日の本題はここからです。
なぜ、欧米の家は古くなるほど価値が高くなり、日本の家は古くなるほど価値がゼロになるのかについてですが、僕はその理由は2つあると思っています。
1つは木の文化と石の文化の違いで、もう1つは住宅政策の違いです。
木の文化と石の文化の違い
これはイギリスについてですが、イギリスの建物は昔から石でできているのが普通です。
石でできているので、木と比べて劣化しにくく長持ちします。
近代に入って断熱技術が発達してくると、イギリスでは「外断熱」という手法が取られていきました。
どうして日本のような「内断熱」を採用しなかったのかというと、内断熱だと外壁の石自体が蓄熱してしまって、断熱効果が薄れてしまうからです。
例えば、冬になると、自分の体を覆うようにダウンジャケットなどを着たりしますよね。
これと同じような感じで、建物全体を外から包んでしまう外断熱工法を採用することによって、夏は涼しく、冬は暖かいという理想の居住空間を手に入れることができました。
その結果、建物の耐久性にも大きく貢献することになりました。
一方で、昔から木の文化があった日本では、木自体に調湿効果があるので、風通しの良い家を建てれば、断熱する必要はありませんでした。
しかし、近代になって冷暖房技術が発達するようになると、建物自体を断熱しないと熱効率が悪くなります。
そこで、簡単に施工できて、コストも安い内断熱工法が取られるようになっていきました。
しかし、内断熱にした結果、結露が起きるようになってしまいました。
昔の古い家では、冬になって暖房をつけたりストーブを焚いたりすると、結露がたくさんできましたよね。
日本の家は、夏は暑く、冬は寒い内断熱工法が主流になってしまったのです。
結露が起きると、なぜいけないかというと、木がその水を吸い込んでしまい、木が腐ったり、カビが生えてダニがわいたりして、喘息など、人の健康に悪影響を及ぼすことがあります。
また、その結露が木を腐食させてシロアリが発生し、その結果、日本の建物は50年くらいでボロボロになってしまう、つまり古くなればなるほど価値がなくなってしまうということが起きてしまったのです。
住宅政策の違い
もう一つは、政策の違いです。
欧米では、街並みを守る文化があります。そのため、勝手に古い建物を解体したりすることができません。
さらには、しっかりメンテナンスをしていないと、行政から罰金を課せられたりします。
窓先に洗濯物を干してはいけないという法律があるところすらあります。
イギリスなどでは、200年、300年と経っている家が、超高値で取引されるのが当たり前ですし、そもそも古い建物の建て替えができないので、新築で建てる場所がありません。
結果、住宅の供給が制限されているので、家の価値は古くなればなるほど高くなっていくということになります。
ちなみに、欧米でもドイツなどでは、自分の庭を手入れしていないと罰金を課せられたりする法律があるので、庭がきれいに手入れされていて、絵画のように街並みが整っていたりします。
一方で、日本は戦後の焼け野原の復興のために、安普請な公団住宅が次々と建てられました。
そして、田中角栄首相の日本列島改造論を旗印に、これまた安普請な分譲住宅がベッドタウンにたくさんできてしまいました。
先ほども説明したように、日本では内断熱工法という、断熱性能がとても悪い家が主流です。
そんな家が大量生産されてしまったために、どの家も30年、40年、50年と経てば家の価値がゼロになっていってしまう・・・という状態になりました。
つまり、欧米と日本には、家の歴史に大きな違いがあるので、欧米の家は古くなればなるほど価値が高くなり、日本の家は古くなればなるほど価値がゼロになっていく、という「常識」ができてしまったのです。
日本の住宅は、国民の財産であり、国の財産でもあると思います。
このような政治の失態によって、日本国民の財産が失われてしまっているという事実は、しっかりと理解しておくと良いと思います。
今日は、なぜ?欧米の家は古くなるほど価値が高くなるのか?というお話でした。
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こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。
今日は、「なぜ欧米の家は古くなるほど価値が高くなるのか?」というテーマでお話ししたいと思います。
先日、「アメリカの家賃上昇がエグい」というお話をさせていただきました。
まずは、簡単にその内容をおさらいしましょう。
日本では家賃を上げることが難しく、ずっと一定の水準を保ち続けていますが、アメリカでは、家賃は時間の経過とともに上がっていくのが一般的です。
その理由は3つあります。
1つは、人口が増加していることです。今、アメリカの人口は約3億3千万人です。この人口が、2050年には約3億8千万人にまで増えるという予測がされています。
2つ目は、この人口増加に伴って、GDPが順調に増加しているという要因があります。経済成長をすれば、不動産価格も上がっていきますし、家賃も上がっていくというロジックです。
3つ目の理由は、日本と比べて家主の立場が強いということです。日本と違い、アメリカでは借主よりも家主の方が強い権利を持っていて、割と簡単に家賃の改定ができるようになっています。
もし家賃を滞納したら、すぐに警察の立会いのもとで立ち退きを迫られるし、すぐに裁判で訴えられたりもします。このような関係性から、賃料の改定が容易なのです。
欧米の家は、古くなればなるほど価値が上がる
そして、実はこの3つの理由の他にもう1つ、家賃が上がっていく要因があります。それは、欧米では「家は古くなればなるほど価値が上がっていく」という「文化」があることです。
不動産の価格というのは、インフレ経済によって上昇していきますが、これとは別に、「古いものは良い」「古いものは価値がある」という文化があるのです。
日本のように、築50年にもなってしまうと、建物が「無価値」になるということはありません。逆に100年も200年も経った家の価値が、何倍、何十倍になることが普通なのです。
そして、今日の本題はここからです。
なぜ、欧米の家は古くなるほど価値が高くなり、日本の家は古くなるほど価値がゼロになるのかについてですが、僕はその理由は2つあると思っています。
1つは木の文化と石の文化の違いで、もう1つは住宅政策の違いです。
木の文化と石の文化の違い
これはイギリスについてですが、イギリスの建物は昔から石でできているのが普通です。石でできているので、木と比べて劣化しにくく長持ちします。
近代に入って断熱技術が発達してくると、イギリスでは「外断熱」という手法が取られていきました。
どうして日本のような「内断熱」を採用しなかったのかというと、内断熱だと外壁の石自体が蓄熱してしまって、断熱効果が薄れてしまうからです。
例えば、冬になると、自分の体を覆うようにダウンジャケットなどを着たりしますよね。
これと同じような感じで、建物全体を外から包んでしまう外断熱工法を採用することによって、夏は涼しく、冬は暖かいという理想の居住空間を手に入れることができました。
その結果、建物の耐久性にも大きく貢献することになりました。
一方で、昔から木の文化があった日本では、木自体に調湿効果があるので、風通しの良い家を建てれば、断熱する必要はありませんでした。
しかし、近代になって冷暖房技術が発達するようになると、建物自体を断熱しないと熱効率が悪くなります。
そこで、簡単に施工できて、コストも安い内断熱工法が取られるようになっていきました。
しかし、内断熱にした結果、結露が起きるようになってしまいました。
昔の古い家では、冬になって暖房をつけたりストーブを焚いたりすると、結露がたくさんできましたよね。
日本の家は、夏は暑く、冬は寒い内断熱工法が主流になってしまったのです。
結露が起きると、なぜいけないかというと、木がその水を吸い込んでしまい、木が腐ったり、カビが生えてダニがわいたりして、喘息など、人の健康に悪影響を及ぼすことがあります。
また、その結露が木を腐食させてシロアリが発生し、その結果、日本の建物は50年くらいでボロボロになってしまう、つまり古くなればなるほど価値がなくなってしまうということが起きてしまったのです。
住宅政策の違い
もう一つは、政策の違いです。欧米では、街並みを守る文化があります。そのため、勝手に古い建物を解体したりすることができません。
さらには、しっかりメンテナンスをしていないと、行政から罰金を課せられたりします。
窓先に洗濯物を干してはいけないという法律があるところすらあります。
イギリスなどでは、200年、300年と経っている家が、超高値で取引されるのが当たり前ですし、そもそも古い建物の建て替えができないので、新築で建てる場所がありません。
結果、住宅の供給が制限されているので、家の価値は古くなればなるほど高くなっていくということになります。
ちなみに、欧米でもドイツなどでは、自分の庭を手入れしていないと罰金を課せられたりする法律があるので、庭がきれいに手入れされていて、絵画のように街並みが整っていたりします。
一方で、日本は戦後の焼け野原の復興のために、安普請な公団住宅が次々と建てられました。
そして、田中角栄首相の日本列島改造論を旗印に、これまた安普請な分譲住宅がベッドタウンにたくさんできてしまいました。
先ほども説明したように、日本では内断熱工法という、断熱性能がとても悪い家が主流です。
そんな家が大量生産されてしまったために、どの家も30年、40年、50年と経てば家の価値がゼロになっていってしまう・・・という状態になりました。
つまり、欧米と日本には、家の歴史に大きな違いがあるので、欧米の家は古くなればなるほど価値が高くなり、日本の家は古くなればなるほど価値がゼロになっていく、という「常識」ができてしまったのです。
日本の住宅は、国民の財産であり、国の財産でもあると思います。
このような政治の失態によって、日本国民の財産が失われてしまっているという事実は、しっかりと理解しておくと良いと思います。
今日は、なぜ?欧米の家は古くなるほど価値が高くなるのか?というお話でした。
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