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定期借家契約のススメ!怠惰な業者があなたの資産を危険にさらす!

公開日: 2022年09月14日

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こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。

今日は、「なぜ定期借家契約は普及しないのか?」というテーマでお話しします。

先日、僕のオフィスの近くで隣人トラブルがあり、狂った隣人がご近所さんをナイフで切りつけるという事件がありました。

長年、不動産投資をしていれば、誰もがこのようなモンスター入居者に振り回される可能性があります。

そこで今回は、入居者トラブルを回避する方法についてお話しします。

 

モンスター入居者への対応策とは?

入居者トラブル回避をするためにまず必要なのは、「入居前の面談をしっかりやる」ということです。

そして、おかしな入居者がいて何か起こしそうな雰囲気があった場合は、「防犯カメラを設置しておく」ことも重要です。

実際、今回の事件でも、事前に設置してあった防犯カメラに犯行の様子がバッチリ映っていたため、あえなく御用となりました。

しかし、入居時には良い人だと思っても、後になって問題のある人だと分かったりすることもあるかもしれません。

そのようなトラブルを防ぐためは、「定期借家契約」をするしかありません。

 

なぜ日本の賃貸借契約は「借主」に過保護なのか?

日本の借地借家制度は、昔から借りる人がガチガチに守られています。

これは昔、戦争で主を失った家庭の生活や住む場所を守るための法律になっていたことが理由だと考えられます。

例え家賃を滞納していても、家賃を払う「意思がある」のであれば、大家さんは簡単には立ち退かせることができないのです。

これは欧米ではありえない制度です。

欧米では、契約期間が満了したら当然出て行かないといけませんし、家賃を滞納したら即刻裁判所から通知が来て、強制退去させられたりします。

欧米には、日本のような普通借家契約も定期借家契約もなく、とにかく契約書が優先されます。

もちろん日本の契約書にも契約期間は書いてありますが、入居者が希望すれば、当然に更新できることになっているのです。

また、先ほども言ったように、家賃を滞納しても簡単に追い出されることはありません。

それを良いことに、モンスター入居者は無理難題を押し付けてきたりもするのです。

このような遥か昔の法律によって、問題を起こす入居者がしっかり守られていることには納得がいきませんよね。

そんな背景からできたのが「定期借家契約」でした。

 

トラブルの長期化を防ぐ!定期借家契約とは?

定期借家契約は2000年3月から施行され、今年で22年目になります。

この契約があるおかげで、トラブルの長期化を防ぐことができるようになりました。

なぜなら、定期借家契約の場合、期間満了と同時に契約が終了しますので、仮にモンスター入居者が居座ったとしても、裁判をすればすぐに判決が出て、すぐに強制執行ができるので、普通借家契約よりも断然早く解決できます。

このように非常に良い制度であるにも関わらず、定期借家契約は全然普及していません。

具体的な普及率としては、かなり古いデータしかないのですが、国交省の約15年前の調査で、全体の5%ほどしか定期借家契約は採用されていないということでした。

現在の状況は調査データがなく、またサンプルも少ないので一概には言えません。

しかし僕の体感的には、定期借家契約を採用している率は10年前とあまり変わらず、10%にも遠く及ばない、7~8%くらいだと思います。

 

なぜ定期借家契約は定着しないのか?

どうしてこの定期借家契約は普及しないのでしょうか。

これは管理をしている業者側の都合が大きいと思います。

定期借家契約は、通常の重要事項説明にあわせて、契約をする前に「この契約は定期借家契約で、更新がない契約です」ということを、書面をもって説明しなければなりません。

また、契約満了の6か月前までに、入居者に書面で「契約が終わりますよ」という通知をしないといけません。

この作業を怠ってしまうと、定期借家契約は成立せず、普通借家契約になってしまいます。すると、期間が満了しても契約を解除できなくなってしまうんですね。

定期借家契約は、普通借家契約に比べてこれら2つの作業が必要になります。

このたった2つの作業が追加されるだけなのに、怠惰な管理業者は「作業が煩雑」だと言ってやらないわけです。

そして、この傾向は大手不動産会社であればあるほど強くなっています。その手続きを周知させることが難しいのでしょう。

そして、定期借家契約を採用しないもう1つの事情は、「更新料が取れなくなる」ということがあります。

定期借家契約は、契約期間満了と同時に契約が終了しますから、業者は普通借家契約のような「更新手続き」ができなくなります。

すると、更新作業の時に取れるはずの「更新事務手数料1か月分ほど」が取れなくなってしまうのです。

つまり、業者自身の収益が減ってしまうから、定期借家契約をやりたくないし、大家さんにも勧めないという構図が出来上がってしまいます。

このような業者は、大家さんへの詭弁として、「定期借家契約にすると、入居者は2年で退去しないといけなくなるので、家賃下げないと決まりませんよ」とか、「礼金が取れなくなりますよ」というようなことを言うのです。

しかし、それらはまったく事実ではありません。

 

定期借家契約のウソ・勘違い

実際に僕の会社では、もう20年前からほぼ全ての賃貸借契約を定期借家契約で締結しています。

しかし、家賃を下げてもいませんし、むしろ高く貸していて、良い入居者にはさらに再契約をしてずっと住んでもらっています。

はじめから契約時に、「再契約型の定期借家契約です」とお伝えすれば、何ら問題なく入居者をつけることができます。

「定期借家契約にする理由は、モンスター入居者から他の入居者とアパートの環境を守るためだから、2年間、問題なく住んでいただければ、当然、再契約をさせていただきます」という説明をして、この20年間、問題なく満室経営できています。

さらに、再契約の時は「更新」ではなくて、新たな「契約」ですので、契約の仲介業務が発生します。つまり、法律的には仲介手数料1か月分がもらえるわけです。

実際には、継続契約であるので、半分の0.5か月分くらいしかもらっていませんが、更新料が全部なくなるというわけではありません。

つまり、定期借家契約がなかなか普及しない理由は、怠惰な業者の勉強不足が原因なのです。

定期借家契約については、不動産実務検定2級でしっかり勉強できますし、もはや常識です。

怠惰な業者のせいで、あなたの大事な資産が危険に晒されてしまう前に、自らの物件は自ら勉強して守るようにしてください。

今日は、なぜ定期借家契約は普及しないのか?というお話でした。


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