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新築投資モデルは崩壊している?これからの不動産投資スタイル

公開日: 2022年09月20日

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こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。

今日は、「新築投資モデル」の現状と今後についてお話ししたいと思います。

最近、新築の不動産投資はかなり難しくなってきています。

その理由は、

・日本では構造的に家賃が上がりにくく、
・そんな中で新築の投資コストが高騰している


という点にあります。

どういうことなのか、見ていきましょう。

 

新築投資が厳しくなっている理由

先日のブログでもお話ししましたが、日本では構造的に家賃が上がりにくいという特徴があります。

簡単におさらいすると、まず日本では「余分に住宅が供給されている」という状況があります。

日本はすでに超高齢社会に突入しており、人口は減り、空き家が増え続けています。現在、日本には850万戸も空き家があり、約14%が空き家の状態です。

供給過剰なので、家賃が上がる要素はないということでしたね。

また、法律的にも家賃が上げづらいということがあります。

日本では、借地借家法によって借主が手厚く守られているため、家賃が上がりづらい(上げづらい)のです。

一方で、土地価格の上昇や円安に伴う建築資材の高騰により、建物の新築にかかる費用は非常に高騰しています。

僕の体感でにいうと、コロナ前と比べて、3~4割は建築コストが上がっているのではないかと思います。

家賃は上がらないのに、投資コストはどんどん上がっていく・・・つまり、新築の投資利回りはどんどん下がっていくことになります。

そのため、新築投資は大変厳しい状況にあるのです。

 

アパートメーカー各社も、減収減益で新しいビジネスモデルに

このような影響もあり、以前はサラリーマンや地主さんに新築一棟アパートをたくさん売っていた上場会社のシノケンは、業績悪化のため、MBO(経営陣が参加する買収)で非公開化をすると発表しました。
 

(MBOとはマネジメント・バイアウトの略で、経営陣(あるいは従業員)が自社の株式や一部の事業部門を買収して独立することを指します。上場企業の株式を非公開にする際の手段として使われることもあります。)出典:SMBC日興証券


要するに公開した株を買い戻すという話です。

このような感じで、名立たるアパートメーカー各社も、減収減益によってビジネスモデルの転換を迫られています。

 

住宅大手の大和ハウスの新しいスキームにも無理がある

また、住宅大手の大和ハウスも、戸建住宅を20年以上保有してから売却すると借入残高がゼロになるという住宅ローンの取り扱いを始めたそうです。

この大和ハウスのスキームが、どういうものかを説明しましょう。

最初に30年や35年の住宅ローンを組んだとして、例えばこのローンの利用が20年を過ぎたとします。

そして、ローンを借りる際に設定した時期を過ぎると、購入者は次の3つの選択肢から対応を選ぶことができます。
 
  1. 住宅を手放して、ローンの借入残高をゼロにする(家はいらないので、その代わりにローンをチャラにしてくださいというもの)。
  2. そこから改めて長期のローンに借り換えて、月々の返済額を抑える。
  3. 住宅を購入した当初に契約したローンのまま返済を続ける。

1が選択された場合の買い取りは、国の機関である一般社団法人移住・住みかえ支援機構(JTI)が行います。買い取った物件は自前で賃貸に出したり、大和ハウスに売却したりします。

そして、大和ハウスは購入した物件を状況に応じてリノベーションをして再販するそうです。

しかし、よく考えてみて下さい。

そもそも、持ち家を買う理由は、老後まで住む家を確保するということと、持ち家が資産として残るかどうかということが、とても重要な意思決定要因となります。

それにもかかわらず、例えローンがなくなったとしても持ち家を手放してしまえば、持ち主はまた他の家に住まないといけません。

将来の残債以上の買い取り額を保証するのであればまだしも、残債がなくなるだけであったり、そこからまた新たなローンを組ませたりということであれば、高い新築なんか買わずに、最初から賃貸で良いのではないかと思ってしまいます。

しかも、JTIが買い取り、大和ハウスがそれをリノベーションして再販するとなると、2社が介在することになって、それぞれのフィーを抜かれてしまいます。

どちらも、絶対に損をしない買い取り額を設定するはずですので、このモデルが成立する地域というのはかなり絞られてくるでしょう。

苦肉の策として出してきたスキームなのだとは思いますが、僕から見るとユーザーを欺くようなスキームに思えてなりません。

裏を返せば、それくらいハウスメーカーは今厳しいのだと思います。

 

これからの不動産投資のスタイルとは?

ここまで新築コストが高くなってしまうと、不動産投資家が出来ることは、中古物件を買ってリフォームするか、どうしても新築にしたいのであれば、自ら企画して新築のマネジメントができるくらいのノウハウを不動産実務検定で学ぶか、当社のようなコンサル会社と一緒に工務店探しをしていくしかないのではないかと思っています。

いったん上がった建築価格というものは、なかなか下がることはないでしょうから、今の建築費がこれからのスタンダード、もしくは下限になっていくでしょう。

これからは、不動産投資をしていくのであればDIYスキルが必須ですし、マイホームにしても古い物件を購入してリフォームする欧米のようなスタイルに、徐々に変化していくのかなと思っています。

今日は、新築の不動産投資に関するお話でした。


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