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一家のための家族信託の話(後編)
公開日: 2023年05月25日
こんにちは!YouTuber ウラケン不動産です。
今回は、前回のブログに続いて、「家族信託のメリット・デメリット」についてお伝えいたします。
家族信託のメリット、デメリットとは?
さて、家族信託のメリットを整理しましょう。
1、本人(老親)の判断能力がなくなっても、すべて受託者(子供など)の判断で財産の管理運用、処分ができる。
2、信託契約に記載があれば、「資産運用の目的」「節税の目的」で財産の管理、運用、処分ができる。(この点は成年後見制度と大きく違う)
3、信託契約に記載があれば、受託者名義で不動産購入の借り入れを起こすこともできる。
4、家族信託は公証人による立会いのもとに公正証書でつくられ、信託は登記され、誰でも信託内容を閲覧することができる。
つまり、家族信託は、信託契約に記載があれば、親の資産をどのようにでもできるというのが、今までにない大きなメリットなのです。
逆にデメリットですが、今の所、これといったデメリットは見当たりません。
強いていえば、費用がかかるところですが、これは万が一、老親が認知症になった時に全く相続対策ができなくなることを考えれば、取るに足らないものでしょう。
もう1つあげるとすれば、実際に金融機関が、信託口座の新規開設および受託者(子供など)への融資をした経験が少なく、時間がかかることが多いことでしょう。
家族信託を進める場合は、家族信託による口座開設、融資実績のある金融機関と付き合うことが重要になってくるでしょう。
家族信託の実務のポイント
実際に家族信託を導入するには、どのような手順を踏めばいいのでしょうか?
信託の目的が相続対策の場合を例に、その手順を解説していきましょう。
1、家族信託に詳しい弁護士、司法書士を見つける
実はここが一番難しいかもしれません。
家族信託を実務的に行なっている弁護士は、まだほとんどいません。
また、司法書士も、極めて専門性の高い実務ノウハウが必要なため、家族信託の実務経験が豊富な専門家を見つけることが第一でしょう。
2、信託制度の説明と理解
まずは、何を目的に信託をするのか?認知症対策か?相続対策なのか?司法書士などの専門家を立会人として、老親と子供などの相続人等と、信託の仕組みを含めてよく話し合うことが重要です。
3、信託費用の理解
実際、司法書士に支払う信託組成報酬は、規模にもよりますが、信託財産の0.2%~1%の範囲。
公証人へ支払う費用は数万円です。
信託登記も登録免許税(土地固定資産評価の0.3%、建物固定資産評価の0.4%)と、司法書士報酬が15万円程度になります。
4、信託契約書の作成
信託契約に盛り込む内容の確認を、司法書士などと十分打ち合わせを進め、原案を作成し、公証役場、金融機関へ提示してすり合わせをします。
5、公正証書の作成、公証人の立会い
公証人のスケジュールを調整し、信託公正証書を作成します。
6、信託の登記
通常の不動産登記と同じで、委託者、受託者の共同申請を、司法書士が代理する形で登記します。
信託登記がなされると、登記簿に信託目録がつき、誰でも閲覧することができます。
7、信託口座の開設と資金移動
信託公正証書ができたら、金融機関に受託者名義の信託口座を開設します。
8、相続対策の検討、融資の申し込み
相続対策として、アパートなどの新築請負契約を行う場合、信託としての請負契約や融資の申請を行います。
ちなみに融資については、融資を受けるのは「受託者(子など)」となり、万が一返済困難となった場合は、委託者だけでなく、受託者個人の財産についても責任遡求されることになります。
9、着工、引き渡し、所有権保存登記、抵当権設定登記
書類や押印等の業務は、すべて受託者が進めていきます。
10、信託の計算書合計表の届出と確定申告
最後に、税務署に信託の計算書合計表の届出と確定申告を行います。
以上が家族信託の手順です。
ちなみに、信託の途中で委託者(老親)が死亡した場合はどうなるのでしょうか?
これは信託契約書に、委託者(老親)が死亡した場合には信託は終了すると書かれていれば、その時点で信託が終了することになります。
逆に信託が終了すると書かれていなかった場合は、受益権のみが相続されることになります。
一方、信託の途中で受託者(子供など)が死亡した場合はどうなるのでしょうか?
これは、兄弟姉妹に信託が移ることになり、兄弟姉妹がいない場合には、信託は終了することになります。
んー、なかなか難しいですねぇ。(汗)
しかし、家族信託とは、老親が認知症になってしまった場合の、あらゆる財産保全リスクを回避できる万能な法律行為であることは理解できたのではないでしょうか?
この手の対策は、地震保険などと一緒で、差し迫った必要性がないとなかなか動き出せません。
しかし、1億以上の資産を保有する方は、近い将来には、必ず家族信託での対策をすべきでしょう。
いずれにしても、家族信託は、契約次第でさまざまな信託のパターンを設定することができるので、まずは家族信託に詳しい専門家に相談するのが一番です。
ぜひ参考にしていただければ幸いです。
▼ウラケンに質問できるオンラインサロンはこちら
今回は、前回のブログに続いて、「家族信託のメリット・デメリット」についてお伝えいたします。
家族信託のメリット、デメリットとは?
さて、家族信託のメリットを整理しましょう。1、本人(老親)の判断能力がなくなっても、すべて受託者(子供など)の判断で財産の管理運用、処分ができる。
2、信託契約に記載があれば、「資産運用の目的」「節税の目的」で財産の管理、運用、処分ができる。(この点は成年後見制度と大きく違う)
3、信託契約に記載があれば、受託者名義で不動産購入の借り入れを起こすこともできる。
4、家族信託は公証人による立会いのもとに公正証書でつくられ、信託は登記され、誰でも信託内容を閲覧することができる。
つまり、家族信託は、信託契約に記載があれば、親の資産をどのようにでもできるというのが、今までにない大きなメリットなのです。
逆にデメリットですが、今の所、これといったデメリットは見当たりません。
強いていえば、費用がかかるところですが、これは万が一、老親が認知症になった時に全く相続対策ができなくなることを考えれば、取るに足らないものでしょう。
もう1つあげるとすれば、実際に金融機関が、信託口座の新規開設および受託者(子供など)への融資をした経験が少なく、時間がかかることが多いことでしょう。
家族信託を進める場合は、家族信託による口座開設、融資実績のある金融機関と付き合うことが重要になってくるでしょう。
家族信託の実務のポイント
実際に家族信託を導入するには、どのような手順を踏めばいいのでしょうか?信託の目的が相続対策の場合を例に、その手順を解説していきましょう。
1、家族信託に詳しい弁護士、司法書士を見つける
実はここが一番難しいかもしれません。
家族信託を実務的に行なっている弁護士は、まだほとんどいません。
また、司法書士も、極めて専門性の高い実務ノウハウが必要なため、家族信託の実務経験が豊富な専門家を見つけることが第一でしょう。
2、信託制度の説明と理解
まずは、何を目的に信託をするのか?認知症対策か?相続対策なのか?司法書士などの専門家を立会人として、老親と子供などの相続人等と、信託の仕組みを含めてよく話し合うことが重要です。
3、信託費用の理解
実際、司法書士に支払う信託組成報酬は、規模にもよりますが、信託財産の0.2%~1%の範囲。
公証人へ支払う費用は数万円です。
信託登記も登録免許税(土地固定資産評価の0.3%、建物固定資産評価の0.4%)と、司法書士報酬が15万円程度になります。
4、信託契約書の作成
信託契約に盛り込む内容の確認を、司法書士などと十分打ち合わせを進め、原案を作成し、公証役場、金融機関へ提示してすり合わせをします。
5、公正証書の作成、公証人の立会い
公証人のスケジュールを調整し、信託公正証書を作成します。
6、信託の登記
通常の不動産登記と同じで、委託者、受託者の共同申請を、司法書士が代理する形で登記します。
信託登記がなされると、登記簿に信託目録がつき、誰でも閲覧することができます。
7、信託口座の開設と資金移動
信託公正証書ができたら、金融機関に受託者名義の信託口座を開設します。
8、相続対策の検討、融資の申し込み
相続対策として、アパートなどの新築請負契約を行う場合、信託としての請負契約や融資の申請を行います。
ちなみに融資については、融資を受けるのは「受託者(子など)」となり、万が一返済困難となった場合は、委託者だけでなく、受託者個人の財産についても責任遡求されることになります。
9、着工、引き渡し、所有権保存登記、抵当権設定登記
書類や押印等の業務は、すべて受託者が進めていきます。
10、信託の計算書合計表の届出と確定申告
最後に、税務署に信託の計算書合計表の届出と確定申告を行います。
以上が家族信託の手順です。
ちなみに、信託の途中で委託者(老親)が死亡した場合はどうなるのでしょうか?
これは信託契約書に、委託者(老親)が死亡した場合には信託は終了すると書かれていれば、その時点で信託が終了することになります。
逆に信託が終了すると書かれていなかった場合は、受益権のみが相続されることになります。
一方、信託の途中で受託者(子供など)が死亡した場合はどうなるのでしょうか?
これは、兄弟姉妹に信託が移ることになり、兄弟姉妹がいない場合には、信託は終了することになります。
んー、なかなか難しいですねぇ。(汗)
しかし、家族信託とは、老親が認知症になってしまった場合の、あらゆる財産保全リスクを回避できる万能な法律行為であることは理解できたのではないでしょうか?
この手の対策は、地震保険などと一緒で、差し迫った必要性がないとなかなか動き出せません。
しかし、1億以上の資産を保有する方は、近い将来には、必ず家族信託での対策をすべきでしょう。
いずれにしても、家族信託は、契約次第でさまざまな信託のパターンを設定することができるので、まずは家族信託に詳しい専門家に相談するのが一番です。
ぜひ参考にしていただければ幸いです。
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